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こじかの結婚


直しても直しても、小説が書き上がらない。
初めてのエッセイ。

家出して約一年。
十九歳の冬。
お金が貯まった。
武蔵小金井のアパートに引っ越す。
新しいアルバイト先で働く。

メガネをかけた男に出会う。
年上。

双子座
AB型
動物占い こじか 
ぜんぶわたしと同じ。


仕事の帰り。
「好きです」と男は言う。
わたしは嫌な顔をする。
走って逃げる。

翌日。
男がご飯に誘う。
わたしは一緒に食べる。

「高校時代に美容室でバイトしていました」とわたし。
「ぼくの髪を切って」と男。

わたしの部屋で髪を切る。
そのあと餃子を作ってあげる。
「味がしない」と男。
男は帰る。

一年後。
「やっぱり好きです」と男は言う。
わたしはアルバイトを辞める。
遠くへ引っ越す。
携帯を解約する。
すべて男と縁を切るため。


男から手紙が届く。
文通する。
三回目。
「絶交します」と送る。

すぐに携帯を契約し直す。
わたしは男に連絡をする。

男とご飯に行く。
「二度と会いたくない」とわたしは言う。
帰る。

一週間後。
男とカフェに行く。
男とライブに行く。
男と美術館に行く。
男と夜中に初詣に行く。

男の家の鍵を雪の中に投げる。
「まじで目の前から消えてほしいです」とわたしは言う。
自己嫌悪。


夢を見る。
暗闇にスポットライト。
男が立っている。
微笑んでいる。
わたしは男に歩み寄る。
男にゲロをかける。
男は微笑んでいる。

目が覚める。
男に連絡する。

男と散歩する。
川の鯉を眺める。
男は喋らない。
電車に乗る。
新宿駅に着く。
「さようなら」とわたしは言う。
男は俯いている。
電車のドアが閉まる。
電車は去る。

わたしは男にメールを送る。
「秋葉で降りてください」

わたしは次の電車に乗る。
秋葉原に行く。
男がホームの端に立っている。
わたしは同じホームの逆の端に降りる。

人の列に並んで男のもとへ向かう。
男はもとの場所で立ったまま。
向かい合う。
男が手を繋ごうとする。
わたしは払う。

数年後。
結婚する。