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探究学習のポイント~地域×データの視点から~

福島大学「地域×データ」実践教育推進室では、高校生の探究をサポートしており、2024年3月には高校生に向けて探究の方法を紹介する動画を作成されました。室長の前川直哉先生に、制作した動画の内容や動画に込めた思い、そして高校生が探究学習を進めるポイントについてお話をお伺いしました。


高校【探究】サポート動画の紹介

福島大学「地域×データ」実践教育推進室では、地域課題を科学的に捉え、その解決に向けた主体的な取り組みのできる人材の育成を行っています。また、高校の「探究」との連携およびサポートも行っています。2024年3月には、ホームページや「Youtube」で高校生向けの探究サポート動画を公開しました。

動画は「問いの立て方」や「資料(本、論文)の探し方」など探究学習の各ステップに基づいて作られています。動画は5~10分ほどで要点をギュッとまとめており、福島大学の教員が講師となり解説をしています。

サポート動画の一覧

探究へのアドバイス

①適切な「問い」を立て言語化しよう

高校生の中には、探究の最初のステップである「問いの立て方」について難しさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

1つ目のアドバイスとしては、答えが出せないような大きすぎる問いは避けたほうがよい、ということです。答えが出せない問い、とは例えば「どうすれば良い教育が行えるか?」のような大きすぎる問いのことです。高校生が探究に取り組む時間は長くても1年程度と限られていますので、その中で何らかの答えが出せる問いにするとよいと思います。

こちらの「③問いの立て方」に関する動画では、「答えを出す手段があるか、ないか」、「答えを出す必要性が高いか、低いか」の2軸で4象限に分類し、問いの妥当性を検証しているのでぜひご覧ください。

探究へのアドバイス②問いを短い文で言語化しよう

2つ目のアドバイスとしては、問いは必ず短い文で言語化してみましょう。「あなたは何について調べているの?」と聞かれたときに答えられるように、文字化・言語化する。文字化・言語化できて初めて問いが定まります。

また、これは大学生に指導するときにも伝えているのですが、問いは変わってよいのです。調べれば調べるほど問いは変わっていくのは当然です。ただ、変わるたびに今何を調べているかということをノート1,2行程度の長さで短く文字化しておきましょう。そうすると先生や探究をサポートする大人たちがアドバイスしやすくなります。

探究へのアドバイス②データを活用し、探究を楽しもう

探究を進めるときにはぜひ「データ」を活用してほしいと考えています。インタビュー調査のような質的な調査に加えて、しっかりとデータと向き合い、「数字・データから何が言えるか」ということに向き合うことで探究の内容がどんな人にも理解・納得をしてもらいやすくなります。

データの扱い方については⑤オープンデータの使い方 というところで紹介しています。また「地域×データ」実践教育推進室のホームページでは、探究に利用できるデータのリンク集を紹介しています。こちらには福島県の統計年鑑や総務省の統計総合窓口などを紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。

また、高校生の皆さんには調べて楽しいことを探究してほしいと思います。研究で行き詰っている大学生によく言うことは、「それを調べて楽しいか」ということです。もちろん実際はしんどいとか大変だとか、いろいろあるでしょうが、新しい気づきがあることについては楽しさを感じられる、楽しいと思えば頑張れる。だから、やっていて楽しいかどうかという点にはこだわるべきだと思います。

自分のペースに合わせて動画の活用を

2024年12月には新たに3本の動画を公開しました。「アンケート調査」に関する2本と「インタビュー調査」に関する動画1本です。いずれも、高校の先生方から「アンケート調査とインタビュー調査の動画も作ってほしい」という声をいただいたので新たに作りました。

アンケート調査、インタビュー調査についてしっかり伝えようと思うと、大学でも半年ほどかかります。特に高校生に意識してほしいところについて10分ほどでコンパクトにまとめています。

動画の中でも伝えていますが、特に大切なのは事前準備です。インタビューもアンケートも相手の時間をいただくわけですので、実施できるのは基本的には1回だけです。「何のためにアンケートやインタビューを行うか」、「どんなことを質問するのか」といった準備や企画に力を入れられるとよいと思います。

追加分も含めて、動画の合計本数は9本になりました。高校生のみなさんには自分の探究のペースに合わせて、気になる動画を見てほしいと思います。2025年度には、高校生の皆さんが気軽にアクセスできるようにカードを作り、福島の各高校に配布しました。受け取った方もいらっしゃると思います。筆箱の中に入れたり、生徒手帳に挟んだりしながら、探究の進め方で困ったときに活用してほしいです。(2025年10月追記)


自分だからこそできる探究を

最後に、福島で探究を進める皆さんに対して、自分のテーマに「地域」を掛け合わせてみることをおすすめします。例えば、SDGsを題材に探究を行う高校生はたくさんいます。ただ、「SDGsの何番をテーマにする」というだけでは問いが広すぎます。一般的な水資源問題、男女平等についてではなく、福島県〇〇地域の水源についてだとか、福島県○○市の男女平等について他地域と比較する、となると途端にオリジナリティーが上がります。これを調べているのはたぶん全国の高校生で自分一人ではないか、というテーマをぜひ見つけてください。そういった意味で探究テーマに地域を掛け合わせるのはお勧めです。

探究というものは基本的には終わりのないものです。何か1つ分かった時、実はその何倍もの「わからないこと」や「さらに調べなければいけないこと」が見えてくる。それに向き合っていくと新たな探究活動が始まっていきます。

でもこのことは探究をやらない人には実感できません。探究を一度やってみると、びっくりするくらい知らないことやわからないことが自分の周りにはあふれていることに気づきます。だからこそまずは最初の一歩を踏み出してみる、ちょっとでもいいからひっかき傷をつけてみるといった行為が大切です。ぜひ自分だからこそできる探究を楽しんでほしいです。

前川先生が紹介していたサポート動画の全編やオープンデータなどのリンク集はこちら!

福島大学「地域×データ」実践教育推進室ホームページ「高校探究」

福島大学「地域×データ」実践教育推進室の紹介

福島大学「地域×データ」実践教育推進室では、福島大学の学生に対し「むらの大学」などフィールドワーク科目による地域実践教育とデータサイエンス実践教育を行っています。

地域実践学修「むらの大学」の授業では、原発事故により避難を余儀なくされ、 現在も復興と地域再生に取り組む地域(双葉郡川内村、大熊町、南相馬市小高区、飯館村)を実際に訪れ、地域住民の方々から震災の体験や地域の実情についてお話を伺っています。

これまで学生のみなさんが行ったインタビュー記録のアーカイブは、ホームページにまとまっているのでぜひご覧ください。

問い合わせ先:
福島大学 教育推進機構「地域×データ」実践教育推進室
region-data@adb.fukushima-u.ac.jp