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子どもが『勝ちたい』と思う瞬間はどう作られるのか

「うちの子、勝ちたいって思っているのかな?」

そんなふうに感じたことはないでしょうか。
一生懸命に取り組んではいるけれど、負けてもあまり悔しそうではない。
そもそも勝ち負けに関心が薄いように見える。
親としては少し気になるところかもしれません。

私自身、4人の子どもを育てながら、そしてスポーツの現場に関わる中で、「勝ちたい」という気持ちは教えるものではなく、ある瞬間に自然と芽生えるものだと感じています。

では、その瞬間はどのようにして生まれるのでしょうか。

まず一つ言えるのは、
「勝つことの意味が本人の中で具体化したとき」
に初めて生まれる、ということです。

例えば、それまで何となく試合に出ていた子が、あと一歩で勝てた経験をしたとします。
そのとき、
「もう少しで勝てた」
「自分にもできるかもしれない」
と感じた瞬間、ただの参加が『挑戦』に変わります。

この「届きそうで届かなかった経験」は、とても重要です。
簡単に勝てる状況でもなく、全く歯が立たない状況でもない。
その中間にある体験こそが、
「次は勝ちたい」という感情を引き出します。

もう一つ大切なのは、
「自分でやった実感」
があるかどうかです。

大人が細かく指示を出し続けた結果の勝利よりも、自分で考えて動いた中で得た結果の方が、子どもにとっての価値は大きくなります。

これは日常の中でも同じです。
「こうしなさい」と言われてやったことよりも、
「自分でやってみたこと」の方が、成功しても失敗しても記憶に残ります。

そして、その積み重ねが「次はもっと良くしたい」という気持ちにつながっていきます。

さらに言えば、
「比較の対象が他人ではなく過去の自分になったとき」、
勝ちたい気持ちはより安定して育ちます。

誰かに勝つことだけを目的にしてしまうと、相手次第で気持ちが揺れてしまいます。
しかし、
「昨日の自分よりできた」
「前より上手くなった」
と感じられる環境では、自然と向上心が生まれます。

結果として、その延長線上に「勝ちたい」という感情が乗ってくる。
この順番が大切だと感じています。

我が家でも、最初から
「勝ちなさい」
と伝えることはほとんどありませんでした。

それよりも、
「どうだった?」
「どこが良くなった?」
といった声かけを続けていく中で、ある日ふと「次は勝ちたい」と子どもが口にする瞬間がありました。

その言葉は、誰かに言わされたものではなく、自分の中から出てきたものでした。

だからこそ私は、「勝ちたい気持ちを育てよう」と力む必要はあまりないのではないかと思っています。
大切なのは、あと一歩の経験と、自分でやった実感、そして過去の自分と向き合える環境を整えること。

その積み重ねの中で、子どもは自分のタイミングで「勝ちたい」と思うようになります。

そしてその気持ちは、外から与えられたものよりも、ずっと強く、長く続くものになるはずです。

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