ハナ数字|ショートショート
※サムネイルは爪毛さん作成のものとなります
参加させていただきました。
楽しい企画をありがとうございます。
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海里は絶対臭感の持ち主だった。
臭気判定士である父親の英才教育により機械に頼らずともぴたりと臭いの数値を当てることができた。
父親と同じ臭気判定士となった彼女は同僚たちから一目おかれ、職場一のイケメン判定士とは恋人関係にあった。
一見幸せな生活を送る彼女だったが、奥底には常に人知れぬ悩みがあった。
3、46、7、12…
海里にとって臭いはただの数字だった。
悪臭ならそれでいいのだが、花の香りも、焼きたてのパンの匂いも、アロマの匂いも、鼻の中に入った瞬間に無味乾燥な数字に変わった。
自分は一生匂いを楽しむことができない…
女友達が匂いの話で盛り上がる度にそんな疎外感を感じ、それが彼女を落ち込ませた。
そんな中で迎えた海里の誕生日に恋人の男がプレゼントを贈った。
一瓶の香水だった。
恋人に促されるまま彼女が瓶のフタを開けて匂いを嗅ぐと、限りなく薄い匂いの、1、だった。
人の気持ちも知らないで…
彼女が内心苛立っていると男は別の香水の瓶を差し出した。
匂いを嗅ぐと、4。
男がまた香水の瓶を差し出す。
匂いは10。
それで海里は何となく察した。
1、4、10…
語呂合わせなのではないか。
男は「次で最後」といって香水を一瓶差し出した。
6だった。
14106(愛してる)
真意に気づいた海里がはっとして顔をあげると、恋人は悪戯っぽく笑った。
後日。
デパートに足を運んだ彼女は間違いのないように何度も香水の匂いを確かめ、恋人へのお返しとして強めの香水を買った。
瓶の中から漂う匂いは32。
そう。
me to。
(おわり)
