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ダジャレバナナ|ショートショート
参加させて頂きました。
「ドロップのアメじゃないぞ」
学校帰り、駅で一緒になった親父と家路を歩いていると雨が降ってきた。
親父は空を見上げて「雨か」と呟いた後、冒頭のセリフを俺に向かって得意げにいった。
「親父もそういうことをいう年齢にさしかかってきたか」
と俺が呆れると、
「心外だな。辛亥革命だ」
「…恥ずかしいからやめろよ」
「ダジャレが趣味で、しゅみません!」
「だからやめろって」
そんなやり取りをしているときだった。
背後から女の悲鳴があがった。
「ひったくり!」
俺が振り返ると、女物のバッグを抱きかかえた人相の悪い男がこちらのほうへ猛然と走ってくる。
俺は動揺して親父を見た。
親父は悠然と男の前に立ちはだかり、不敵な笑みを浮かべながら俺を見返した。
「ここは通さん。父さんだけにな」
しかし、その直後、親父は男の強烈な体当たりを受け、転んで全身を強打した。
「親父?! 大丈夫か!」
俺が親父のもとへ駆け寄ると、
「そ…そ…」
親父は顔を歪めて振り絞るようにいった。
「…そんな…バ…ナナ」
親父の最期の言葉だった。
(おわり)
