インスタントしわ袋あるいはぬめり亀の絶頂|ショートショート
爪毛さんの企画に参加させていただております。
AIが発明した外付け金玉袋、通称「インスタントしわ袋」は、いつでもどこでも簡単に取り外し可能。
取り付けることで女であっても男の力をフルに発揮できる優れものだ。
この商品の登場によって女は単体で生殖できるようになり、男は必要とされなくなった。
インスタントしわ袋の便利なところは、いつでも女から男になれること。
女子トイレが混雑していた場合、女は袋を取り付けて男子トイレに入ることができる。
性別の使い分けはビジネスシーンでも有利に働くため、金玉袋を取り外せない男の市場価値はなくなった。
商品の浸透とともに性別の概念は消え、男女という言葉の代わりに、女は取っ手がとれるフライパンに由来して、ティファール、男はその外見的特徴から、ぬめり亀、と呼ばれた。
一昔前の決まり文句だった、男の子がほしい、が嘘のように、全国民がティファールをほしがった。
ぬめり亀の中には性器を切除してティファール化した者も多く、彼らは、嘘つき、と呼ばれ、ティファールとぬめり亀の双方から蔑まれた。
ティファール
ぬめり亀
嘘つき
ティファールを支配者としたこの三つの階級で社会は成り立った。
支配から逃れるためにぬめり亀一行はタイムマシンで過去へ向かった。
着いたのは令和。
ぬめり亀にとっては天国だっだが、令和の男たちは自分たちの肩身の狭さを嘆いていた。
ここからさらに男は落ちてゆく。
それを知らない令和の男たちをよそに、ぬめり亀一行は人生の幸福に浸っていた。
(おわり)
