見出し画像

「最近、あなたが引き寄せた嬉しいことは何ですか?」ハッピーライティングマラソン#10

わたしには長年眠らせていた資格がある。社会福祉士資格である。わたしは若いころから福祉の道を志していたわけではない。元々は求人広告の営業の仕事をしていた。ゼロ年代はネットでの求人もあったが、まだ紙媒体の需要も少なくはなかった。わたしが所属した会社は新聞の折り込み求人の会社だった。

その会社がリーマンショックのころに倒産した。つぶれるまでの過程は坂道を転げ落ちるようだった。人間個人の生きるさまと同様に、上りつめるのは一朝一夕にいかないが堕ちるのは一瞬である。

わたしは営業職で職を探したが見つからなかった。約200社に応募したがすべて結果につながらなかった。途方に暮れたわたしは、いよいよしかたないとばかりに福祉の職に就いたのである。知的障がい者の施設で働くようになった。

振り返れば約11年間を福祉の世界で過ごした。訴えや主張を伝えづらい人々である。その利用者たちがわたしをつくったといえる。よく聴き、よく観て心を研ぎ澄まさなくては彼らの隣人にはなれない。たくさんのゆたかさが利用者のなかにはある。

わたしは約5年ぶりに福祉の世界に復帰する。今度はソーシャルワーカーとして。主として対象となる利用者は異なるが、自信の源泉はあの11年の日々である。眠らせていた資格を生かす機会をわたしは引き寄せた。

いいなと思ったら応援しよう!