転職して半年。ランチを一人で食べる日々が、地味にしんどい
転職して半年。ランチを一人で食べるのが、こんなにしんどいとは思わなかった。
仕事が辛いわけじゃない。人間関係がひどいわけでもない。パワハラもないし、残業も少ない。条件だけ見れば、前の会社よりよっぽどいい。
でも、昼休みがくるたびに胃のあたりが重くなる。
お弁当を持っていかなくなった理由
前の会社では、同期と3人でいつもランチに行っていた。
「今日どこ行く?」が合図で、エレベーターを降りて、駅の方に歩いて、だいたい同じ3軒をローテーションしていた。
たまにハズレの店に入って、「これはないね」と笑い合った。その時間があったから午後も乗り切れていた気がする。
転職してからは、毎日一人だ。
最初のうちはお弁当を作っていた。デスクで食べれば、「一人でランチに出る人」にならずに済むと思ったから。
でもそのうち気づいた。デスクで一人、黙々と弁当を食べている自分は、もっと孤独に見えるのかもしれないと。
誰かに見られているわけじゃない。気にしているのは自分だけだ。頭ではそうわかっている。
でも、周りが連れ立ってオフィスを出ていくのを見ると、どうしてもお腹の底に冷たいものが落ちてくる。
結局、お弁当を作るのをやめた。コンビニで適当に買って、近くの公園のベンチで食べるようになった。
オフィスにいるよりは少しだけ楽だった。桜が散ったあとの公園は人がまばらで、一人でいても目立たない。
こういう話、些細だと思われるかもしれない。「ランチくらい一人で食べればいいじゃん」と。確かにそうだ。
命に関わるわけでもない。でも、毎日のことだから、地味にこたえる。ボディブローみたいに、じわじわ効いてくる。
前の職場に戻りたいわけじゃない
転職したこと自体は後悔していない。
という話を、ときどき聞く。私の周りにも何人かいた。条件はいい。仕事も悪くない。でも「居場所がない」という、履歴書には書けない感覚に苦しんでいる人。
職場に馴染めないと、だんだん自分の方がおかしいんじゃないかと思えてくる。
みんな普通に会話しているのに、自分だけ輪に入れない。前の会社では普通にできていたのに。
でも、前の会社でできていたのは「普通にできていた」のではなくて、何年もかけて少しずつ関係を作ったからだ。
最初から馴染んでいたわけじゃない。それを忘れてしまっている。
新しい職場で半年。半年というのは微妙な時間で、「まだ新人だから」という空気はもう薄れているのに、人間関係はまだぜんぜんできていない。このギャップがきつい。
前の職場に戻りたいかと聞かれたら、そうじゃない。ただ、前の職場にあった「なんでもない会話ができる安心感」だけは持ってきたかった。そういうことだと思う。
ランチの話ではなく、孤独の話
ここまで書いて思ったんですけど、これはランチの話じゃないですね。
昼の45分間を一人で過ごすことが辛いんじゃなくて、「自分にはここに居場所がない」と毎日突きつけられることが辛い。
ランチの時間は、それが一番わかりやすく表に出る瞬間なだけで。
朝のエレベーターもそうだ。みんな「おはよう」と言い合っている中で、自分だけ誰にも声をかけられない。
別にいじめられているわけじゃない。ただ「まだその距離じゃない」だけ。でもそれが、毎朝ほんの少しずつ削ってくる。
私自身、過去に環境が大きく変わったことがあって、あの時期のことは今でも覚えている。
新しい場所で誰も知り合いがいない状態は、想像より重い。知り合いゼロの街で最初の週末を過ごした方の話を、以前書いたことがあります。
状況は違っても、あの「誰にも声をかけられない」感覚は似ていると思う。
話は少しずれるけれど、前にどこかで読んだ話が忘れられない。人間にとって一番のストレスは、仕事の量でも難易度でもなくて、「所属感のなさ」だという研究があるらしい。
自分がどこにも属していない、という感覚。ランチの孤独がしんどいのは、たぶんそういうことだ。
45分間の食事の問題ではなくて、8時間いる場所に自分の席はあるのに「居場所」がない、という感覚の問題。
半年後の自分に
転職して半年で孤独を感じている人に、「大丈夫、そのうち慣れるよ」とは言いたくない。
慣れるかもしれないし、慣れないかもしれない。そんなことはわからない。
ただ、今しんどいのは事実で、その「しんどさ」は甘えでも贅沢でもないとは伝えたい。
仕事がうまくいっていても、人間関係がないと人は消耗する。それはごく当たり前の反応だと思う。
私がこういう文章を書いているのは、似たような夜を過ごしている人が読んでくれたらいいなと思っているからで、何か具体的な解決策を提示できるわけではないです。すみません。
ただ一つだけ。
ランチを一人で食べている自分を、あんまり責めないでほしい。
前の職場の同期だって、最初の数ヶ月は一人でお弁当を食べていた日があったはずだ。たぶん。覚えていないだけで。
新しい場所で孤独なのは、あなたに何かが欠けているからじゃなくて、関係を作る時間がまだ足りていないだけだ。
公園のベンチで、コンビニのおにぎりを食べながらこの記事を読んでいる人がもしいたら。
それはそれで、悪くない昼休みだと思いますよ。少なくとも、今この瞬間は一人じゃないので。
