愛媛ひとり旅【番外編】友情のミモザ
鯛めしを食べるために道後温泉商店街のお店で順番を待っていると、突然手の中のスマホが震える。電話に出ると彼女は言った。
「今から3時まで、1時間くらいそっちに行けそうなんやけど」
えっ、今から!?会うのは明日のはず。私は少し面食らっていた。
「多分、30分くらいで着くと思うから」
彼女の威勢のいい声がそう告げる。
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愛媛にはやり取りをしているnoterさんが住んでいる。愛媛といえども広いし、彼女がどの辺りに住んでいるのかも知らない。でも、会えるのであれば会ってみたい。
愛媛行きを決めた時に彼女に連絡をし、最終日に松山で落ち合うことになった。
出発前日、彼女から本人確認のために電話で話したいと言われた。私のエッセイが本当だという証拠はどこにもない。なりすましのおじさんかもしれない。
私は彼女に言われるまで、そんなこと微塵も考えていなかった。だから人に騙されたりもするのだろう。
「もしもし」
私の第一声は緊張していた。しかし、気がつけば40分近く経っていた。
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ソワソワしながら鯛めしを食べていると彼女から着いたと連絡が入る。自動ドアの向こうにいる人物を見て、すぐに彼女だと分かった。ソワソワしていたのが嘘のような「久しぶり」という感じの空気。初対面感はまるでなかった。
商店街を散策して飲食店に入る。会話は尽きない。
「私は変やから、私と仲のいい人も変な人が多い」「私と合うってことはむくみんも変ってことやで」と彼女。「私も変やから」と私。
変じゃないよ、と否定するべきだったのかもしれないと思ったが、きっと彼女はそんな事は気にしないだろう。
そしてあっという間に1時間が過ぎた。
会う前の彼女の印象は聡明でしっかりしている人。会うと想像以上に自分の考えがぶれない芯のある人だった。いつもフラフラしている私とは随分違う。
でもひとつだけ想像と違うことがあった。それは背の高さ。彼女は私よりも背が高いと思いこんでいた。なぜそう思ったのだろう。彼女の声からイメージしていた気がする。
別れ際、彼女が私に紙袋を手渡してくれる。
「これ砥部焼き。せっかくやから既製品じゃなくて注文してん」
紙袋の中には包装紙に包まれた箱が入っていた。
私は彼女が書いた砥部焼の記事を読むまでその存在を知らなかった。
こうして他府県に住む人と知り合って、新しいものやことを知れるのってなんだか素晴らしい。
そして紙袋の中にはもうひとつ。私がアイコンに使っている「むくみオレンジ」の原画が入っていた。私のアイコンは私のみかん愛を知った彼女が描いてくれたものだ。
「これを渡せる日が来るなんて」その彼女の言葉に感慨深いものを感じた。

が書かれていた
箱の中にはマグカップと小皿が入っていた。私の好きな黄色。そして可愛いミモザ。

お礼のメッセージを送ると
「喜んでもらえてよかった!ミモザは、友情だよ」
「むくみんは黄色が好きやし、ミモザって思って」
と返信が来た。ミモザの花言葉は友情なのか。
粋なはからいをしてくれる彼女の心遣いにジンとした。
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翌日、大街道で待ち合わせ、時間があるから松山城に行ってみようと言いながらロープウェイ街を散策した。飲食店やお土産物屋さんがずらりと並んでいる。彼女がぜひ食べて欲しいと言っていた霧の森菓子工房の霧の森大福。お店の前には列ができていた。ホテルの朝食を食べた私のお腹はまだはち切れそうで、別腹のスイーツと言えども入る余地はなかった。
そして少し歩くと、可愛いお店を発見した。
Mustakivi house
私は彼女を気にかけつつも店内を隅々まで物色する。
購入しようと決めたお皿は一点一点手作りで微妙に形が違う。彼女は私より真剣にお皿の形を比べ、こっちの方がいい、とアドバイスしてくれた。砥部焼愛に溢れた頼もしい彼女。
そして小腹が空いた彼女はたい焼きを購入する。

食べることが大好きと言っていたが、本当に大好きそうだ。
私がMustakivi houseで長居をしたせいで、松山城に行く時間がなくなってしまった、
彼女の案内で黒船というお蕎麦屋さんで昼食をとる。しかし、まだお腹がいっぱいで完食できる自信がなかった。
注文したのは釜揚げそば。十割蕎麦が蕎麦湯に浸かっている。麺がボソボソと切れるのではないか、と正直あまり期待していなかった。が、美味しい!!蕎麦の風味と喉越しの良さ。十割なのにツルツルしている。今まで食べたお蕎麦の中でもかなり上位。お腹がいっぱいだったのに、ペロリと平らげてしまった。

また食べたい
彼女は黒紅そば(豚)と蕎麦の実入り炊き込みご飯のセット。(写真を撮り忘れた)
豚蕎麦の麺はざるそばとは異なり平麺でつけ麺スタイル。つけ汁はお出汁ではなく中華風。こちらも一口頂いたが美味しかった。松山に来たらまた寄りたいお店。
食後に霧の森菓子工房に寄ると人気の霧の森大福のバラ売りは完売していた。彼女は帰りの列車で食べて欲しいと箱入りの霧の森大福(ひとつ私にお裾分けしてくれる)とマドレーヌを買ってくれる。こんなに案内してもらって、私が買えばよかったなと帰りの道中で後悔した。
大街道商店街に移動し出発時間までお茶をする。彼女は商店街にある青果店が経営するパフェ屋さんに連れて行ってくれるつもりだった。せっかく愛媛に来たのだからみかんパフェを食べるべきだ。しかし私のお腹はまだ悲鳴をあげていた。
そこで彼女がピックアップしてくれていた別の喫茶店に入った。レトロな内装の昔ながらの喫茶店。
「むくみんはこういうお店の方が好きかなと思って」
と彼女。はい、そうです。ドンピシャです。

好きなペンダントランプ

タイル張りのひさしがかわいい
ソファの布もいい

私の好きな黄色のカップで出てきた!
カフェオレの下にコースターが敷かれているのも素敵
2人でnoteのこと、その他あれやこれやと話すうち出発時間ギリギリになってしまった。慌てて会計を済まし大通りの伊予電に向かう。目の前のホームで電車を待っていると来た電車には「道後温泉行き」と書いてあった。「違うっ!あっちのホームや!」2人して大慌てで移動する。
ドタバタとした別れになってしまった。でもそれがなんだか私達らしいなと思った。
(帰りにバタバタし過ぎて霧の森大福のことは2人とも忘れていた。私の分の霧の森大福は彼女の胃袋におさまっただろう。)
次はお腹を空かして、彼女と会いたい。そして霧の森大福とみかんパフェを食べよう。

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特急しおかぜに乗り、サコッシュを開けると彼女がくれたマドレーヌがちょこんと顔を出していた。瀬戸内海を眺めながら食べようかと思ったが、温かい紅茶と一緒に味わいたい。もちろん彼女がくれた砥部焼のカップで。
翌日、仕事から帰宅し彼女のくれたマグカップにアールグレイを注ぐ。

栗のマドレーヌ。栗の形をしている。
栗の風味とお茶の香り。ふわふわでとても美味しい。さすが食いしん坊の彼女。
これまでのnoteでのやり取りから、私の好みを考え案内してくれた彼女。彼女が大阪に来る事になった時、私は食いしん坊の彼女の舌とお腹を満たすような案内ができるだろうか。自信がない。
大阪のおすすめスポットなんて全くわからない。
彼女が大阪に来る時のために今から情報収集をしなければならない。
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今日も私の横にはミモザのマグカップが置かれている。
私のために前々から注文してくれていたこのカップ。もし私が成りすましのおじさんだったらどうしてたんだい?
そう思うと少し笑いが込み上げてくる。

