小説|雪のように儚く(仮)|第4話|捜索
こんばんは
fuwamaru-studioです🤗
これまでの話↓
【第4話】
* * *
叔父から連絡を受けたあと、私と両親は急いで東北へ向かいました。
鈴がいなくなった。
その事実を、とても現実のこととして受け入れられませんでした。
昨日まで普通に家にいて、いつものように話していた妹が、突然いなくなる。
しかも、雪深い山の中で。
父の運転で高速道路を飛ばしている間、私は何度も叔父さんと同じやり取りを繰り返していました。
「見つかった?」
「まだ見つからない」
電話を切っては、またしばらくしてかける。
そのたびに返ってくる答えは同じでした。
それでも、
いつもの明るい鈴が、何事もなかったようにしれっと戻ってくる。
そんな期待を、私は捨てきれずにいました。
けれど、叔父のいる村へ近づくにつれて、窓の外の景色はどんどん白くなっていきました。
道路の両脇には高く雪が積もり、その向こうには白い山々がどこまでも続いています。
この広い雪山のどこかに、鈴がいる。
そう考えるだけで、不安になりました。
村へ到着すると、すでに大勢の人たちが鈴を捜してくれていました。
叔父だけではありません。
近所の人たちや村の人たちが手分けをして、家の周辺から山へ続く道まで、あちこちを捜索していました。
雪の上には、捜索している人達のたくさんの足跡が残っていました。
「鈴ー!」
「鈴ちゃーん!」
遠くから、妹の名前を呼ぶ声が聞こえてきます。
私も何度も呼びました。
「鈴ー!」
返事はありません。
白い山に声だけが吸い込まれていきました。
警察による捜索も始まりました。
警察犬も導入され、鈴の行方を追いました。
雪はしんしんと降り続いていました。
少し前まで残っていたはずの跡も、雪が降れば少しずつ消えてしまいます。
どこへ行ったのか。
どうして外へ出たのか。
誰かと一緒だったのか。
それとも、一人だったのか。
何も分からないまま、一日が過ぎました。
鈴は見つかりませんでした。
そして、二日目。
捜索する範囲はさらに広がっていきました。
それでも見つかりません。
時間が経つにつれて、村の空気も少しずつ変わっていきました。
最初は誰もが、「きっと見つかる」そう言っていました。
けれど、二日経っても何の手掛かりもない。
大人たちの表情から、少しずつ言葉が消えていきました。
そんなときでした。
村の人たちが集まって、何か話している声が聞こえてきたのです。
「山神さまの祟りじゃないのか……」
私は思わず、その声の方を見ました。
すると別の人が、さらに声を潜めて言いました。
「今年は……百年に一度の祀りの年じゃねぇだか……」
百年に一度?
祀りの年?
何の話をしているのか、私には分かりませんでした。
けれど、周りにいた村の人たちの様子が何となく変わったのです。
「バカ言うな、そんなこと……」
さっきまで話していた人たちが、急に黙り込みました。
誰も続きを話そうとしません。
何かを知っているようなのに、誰も口を開こうとしないのです。
「山神様って……?」
私が尋ねても、すぐには誰も答えてくれませんでした。
ただ、お互いの顔を見合わせるだけ。
そして、ある人は山の方へ目を向けました。
雪に覆われた山々は、何もなかったかのように静かにそこにありました。
何でもこの村には、古くから伝わる言い伝えがあるのだそうです。
百年に一度、
山神様を祀る年が来る。
けれど、その先を話そうとすると、村の人たちは口を閉ざしてしまいます。
まるで、
その話を口にすること自体を恐れているようでした。
鈴がいなくなったことと、
その言い伝えに、
何か関係があるのでしょうか。
このときの私は、まだ何も知りませんでした。
ただ――
村の人たちを震え上がらせるほど恐ろしいものだということだけは、
伝わってきたのです……。
つづく
