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絵にストーリーを宿すということ


「そんなに時間かけるんですか?」

LINEスタンプの制作について話すと、よく驚かれます。
1個のスタンプに2〜3時間、時にはそれ以上かかることもあります。
描いている間、あるいは構成を考えている間、私はずっと
「こまならこんな表情するかな…?」
「たんたんなら、このシチュエーションだとどんな行動をするだろう…?」

そんなふうに、キャラクターの性格と重ねながら、延々と考え続けてしまいます。
気づけば、時間があっという間に過ぎていることもしばしばです。
それは、ただ絵を描いているのではなく、たんたんとこま、ふたりの気持ちを形にしている時間だからなのだと思います。

グルメスタンプ「生きてる?」

効率よりも心を込めること

AIなどを活用して仕事の効率化や短縮化が重視される昨今の流れに、私はまったく逆行しているのかもしれません。
“効率が悪い”  “要領が悪い”  “合理的ではない”
そんなふうに見えることもあると思います。
でも私にとっては、時間をかけることそのものが、創作の大切な一部なのです。
今回は、そんな私なりの創作への想いとこだわりについて、少し綴ってみたいと思います。

映画や映像制作から得た気づき

私は映画が好きです。
子どものころから観てきた映画が、自分の生き方に影響を与えたり、人格や価値観、信念の軸に関わってきたように感じます。
物語そのものももちろんですが、それ以上に惹かれるのは、作品の裏にある“人の想い”です。
監督のこだわり、技術者の工夫や苦悩、役者の演技を越えた個性。
そうした“人間らしさ”がにじみ出ている作品には、深みがあると感じます。
以前、長期にわたってある映像制作に主として関わったことがあります。
そのとき私は、視聴者の目を引く派手な演出よりも、人の表情やふとした仕草に宿る“生きた瞬間”を大切にしたいと思っていました。
悩んでいる顔、何かに集中している横顔、ふと笑ったときの目の動き、動き出そうとした瞬間…そうした一瞬一瞬を丁寧に拾い集めて、紡いでいくような編集をしていました。
そのため、ひとつの映像を仕上げるのに100時間以上かかることもよくありました。
今思えば、あの頃から私はずっと、“人間らしさ”を伝えたかったのだと思います。
そして、生き生きとした表情、個性、仕草と向き合う中で、私は強く思うようになりました。
「人の心を動かすものは、人にしか作れない」と。
その想いは、今の創作にもつながっています。

感情スタンプ

こまとたんたんは"キャスト"であるということ

こまとたんたんは、単なるキャラクターではありません。
私にとっては、個性や意思、想いや葛藤をもった“ひとりのキャスト”です。
だからこそ、スタンプひとつひとつの表情やシチュエーションにこだわってしまいます。
こまなら、こんな場面でちょっと照れるかも
たんたんなら、ちょっとぶっ飛んだことをしてしまうかも
そんなふうに、ふたりの気持ちや心情を想像しながら描いています。
40個あるスタンプのすべてに、こまとたんたんらしい背景や気持ちを込めたい。
それが、私の創作の原動力になっています。

グルメスタンプ「了解です!」

絵にストーリーを宿すということ

以前、「ストーリーテリング」について少し学んだことがあります。
“人はストーリーで伝えた方が、印象や共感を持ちやすい”
これは、事実やデータだけでなく、エピソードや体験談を語ることで、
相手の記憶に残りやすく、感情に訴えかけることができるという考え方です。
企業のプレゼンテーションや営業活動など、さまざまな場面で活用されていますが、私はそれ以上に、創作や表現の場面でこそ大切な考え方だと思っています。
ドキュメンタリー作品を観ていて、どんどん引き込まれていく感覚になることがあります。
それは、そこに登場する人物のストーリーが見えてくるから。その人の生き様、個性、苦悩が見えてくるからこそ、作品そのものに深く共感し、心を動かされるのだと思います。
このことは、動画や静止画でも同じだと私は感じています。
キャラクターの個性や生き方が、ストーリーとして伝わってくるとき、その作品は“生きたもの”になる。
だから私は、スタンプの構想段階からそのことを念頭に置いています。
時には何段階も掘り下げて、深く考えてしまうこともあります。
その結果、絵が複雑になったり、キャラクターが少し小さくなってしまったり、理屈っぽくなってしまうこともあります。
それでも私は、「絵にストーリーを持たせること」が大事だと思っています。
それは、ふたりの世界を“生きたもの”として描きたいから。
スタンプの中に、ふたりの気持ちや日常がにじむように。
使ってくれる人の心に、そっと寄り添えるように。

映画ロッキーをオマージュした「金曜日の気持ち」

創作を続けるということ

創作は、時に時間がかかりすぎてしまったり、心身に負担がかかってしまうこともあります。
でも私は、それでも描き続けたいと思っています。
非効率的でも、不合理でも、要領が悪くても、こまとたんたんの世界を少しずつ、丁寧に紡いでいきたい。
今回の記事では、そんな私の創作へのこだわりを、少しだけ綴ってみました。
読んでくださって、ありがとうございます。
よかったら、ふたりのスタンプや物語も、のぞいてみてくださいね。

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