「やさしいかみさま」
ちいさなかみさまはちきゅうをみつめています。
「ちきゅうはちいさいね」
「いいか、おまえはこれからわたしのかわりにかみさまになるんだ」
「わかった」
「もし、しっぱいしたらつぎのちきゅうがよういされるから、たくさんれんしゅうしなさい」
「ぼくがんばるね」
「いっちょうまえになったら、わしがつくったいちばんおおきなちきゅうをまかせる」
「うん!」
となりにたつおじいちゃんかみさまはそういいながらどこかへいってしまいました。
ちいさなかみさまは、まずちきゅうにみずやりをはじめました。
すると、いきものがうまれます。
「わぁすごい!うごいてる」
それがうれしくて、ちいさなかみさまはどんどんおみずをあげます。
「あれ?」
ちきゅうがびしょびしょになってしまいました。
いきものはすぐにいなくなります。
そして、つぎのちきゅうがあらわれました。
「むずかしいなあ」
つぎは、みずをすこしへらしてみました。
すると、みずのなかにいたいきものたちは、すぐにあしをはやしてりくにあがりました。
「おなかすかないのかな」
ちいさなかみさまは、たねをうえます。
でも、いきものたちはおたがいをたべはじめてしまいました。
「あー!だめだめ!だめだよ!」
ちいさなかみさまはもっとたねをうえます。
すると、たべものがふえいきものたちは、おたがいをたべなくなりました。
「これでだいじょうぶ」
しかし、いきものがふえてくると、また、いきものがいきものをたべてしまいます。
「このおおきいのはわるいこだ」
そういいながら、ちいさなかみさまは、おおきいいきものたちをみな、べつのばしょへうつしました。
すると、おおきいいきものたちは、たべものがなくなりしんでしまいました。
さらに、そのいきものがしんだばしょは、どんどんみどりがなくなり、やがてだめになってしまいます。
「あれおかしいな」
ちいさなかみさまは、なんどもなんどもくりかえしました。
だんだんとうまくなってきて、ついにひとがうまれました。
「このいきものはあたまがいいなあ」
ちいさなかみさまは、おおよろこびです。
しかし、すぐにひとはけんかをはじめます。
「ここにたべものがおおすぎるんだ」
かみさまはたべものをうごかします。
でもけんかはなくなりません。
「つぎはほうせきをとりあってる」
そして、ひとはぶきをつくります。
「わ!そんなあぶないものつくっちゃだめだ!」
「あたまがいいのになんでだろう」
ちいさなかみさまはふしぎにおもいます。
「ん?」
ちいさなかみさまは、ひとがおかねというものをとりあっていることがわかってきました。
「じゃあぼくがこれをつくろう」
そうして、ちいさなかみさまはおかねをたくさんつくりました。
ひとはさいしょはよろこびますが、すぐにまたもとにもどります。
「これがほしいんじゃなかったのか」
「もういいや!かわいそうだから、ほしいものぜんぶあげちゃおう!」
ちいさなかみさまはそういいながら、ひとがほしいそうにしてるものをぜんぶあげました。
「あれ?」
ひとはたてもののなかからでなくなります。
それどころかちきゅうがせいちょうしなくなってしまいました。
「すこしはいいちきゅうをつくれたか」
と、おじいちゃんかみさまがみにきました。
「んーん。これとてもむずかしいよ」
「そうじゃろうな。わしもたいへんだった」
「もっとれんしゅうするね」
「ひとついいことをおしえてあげよう」
「なあに」
「やさしいだけじゃだめなんだ。いきものがしんだり、たべあったり、けんかしたり、それはわしらにはとめるひつようはないんだ」
「どうして?でもかわいそうだよ」
「でもやさしくしたときどうなった」
「なにもしなくなっちゃった」
「そういうことじゃ。やさしさもだいじだが、かんがえてやさしくすることがだいじなんだ」
「かんがえて?」
「そう。かんがえて。かみさまは、がむしゃらにじゃなく、ひつようなときにひつようなやさしさをあげることがだいじなんだ」
「なるほど!」
「もうすこしがんばってみようか」
「そうする!」
ちいさなかみさまはたくさんれんしゅうしました。
だんだんちきゅうがうまくなってきました。
でも、いつまでたってもやさしくてちいさなかみさまは、まんぞくのいくちきゅうをつくれませんでした。
そのまま、かみさまになったちいさなかみさまは、いまもおじいちゃんかみさまにまかされたちきゅうを、がんばってつくっています。
「ここはもっとこうしたほうがいいな」
「もっとへいわになあれ」
[完]
