気づきの種#65_『月と砂時計』~失うことで気づく成長~
人生を楽しく生きるための『気づきの種』を“短い物語”にしてみました。
「投資」「習慣」「幸福」「考え方」などが中心ですので楽しんでもらえましたら何よりです!
【まえがき】

↓“物語”の前に私の想いを少しだけ…↓
先日、これまで大切に乗ってきた車を手放しました。
既に新しい車は発注しており間もなく納車になるのですが、納車の前に車検が切れてしまうため、入れ替えではなく先行してお別れすることとなりました。
我が家には2台の車があるのですが、長女(小2)にとっては、生まれてからずっと一緒にいたのはこの車だけということもあり、思い入れが強く誰よりも別れを惜しんでいました…。
手放す最終日は、
『今日じゃなくて来月の間違いじゃない??』とか
『やっぱり、さよならしない方がいいんじゃない!?』とか
『まだ直してもらえば乗れるんじゃない!?』とか
言いながら必死に食い止めようとしてきました。
そんな、お別れの最終日。
『最後に一日ドライブしてからさよならしようか!?』
と提案したところ
『行く!』
と返事が来たので家族4人でドライブすることにしました。
道中は車の思い出などを話しながら笑顔もありました。
このような時の時間が経つのは早いもので、やがて午後になり、日が傾いて来た頃いよいよお別れが近づいてきました…。
長女は、『このまま時間が止まればいいのに…』と言い、助手席に座りながら目には大粒の涙を溜めていました。
それにつられ後部座席の次女(年長)も、号泣…。
車屋さんについても車から出ようとせず、私が手続きをしている間もずっと車の中にいました。
手続きが終わった後、用意してもらった代車に娘たちは渋々移動し、いよいよ本当にお別れのとき…。
車屋さんに
『よろしくお願いします』と言った長女が少し成長したように私には映りました。
大切にしてきた物や事を手放す決断は、大人になっても簡単にはできないので長女にとっては、成長に繋がる大きな一歩になったのではないかと思いました。
夜寝るまで、涙の途絶えることのない一日ではありましたが…。
それでは、少しのお時間ですが”短い物語”をお楽しみください!
『気づきの種』になる!?かも・・・。
『月と砂時計』~失うことで気づく成長~
福美(ふくみ)は東京の片隅にある小さなアンティークショップを営んでいた。
店の扉を開けるたび、古びた真鍮のベルが澄んだ音を響かせる。
彼女は古いものが好きだった。
物に刻まれた時間や、そこに宿る人々の想いに触れることが、何よりの喜びだった。
ある日、一人の老紳士が店を訪れた。
彼は埃をかぶったひとつの砂時計を指差した。
「その砂時計、譲っていただけませんか」
彼はそう言って、福美が今まで見たこともないほどにきらびやかな宝石が散りばめられた砂時計を差し出した。
「この砂時計と交換で、あなたの砂時計を譲っていただきたいのです」
福美は戸惑った。
彼女が持っているのはただの古い砂時計。
対して、老紳士の持つものは芸術品のようだ。
老紳士は静かに微笑んだ。
「人生はトレードオフです。何かを得るためには、何かを失わねばならない。この砂時計は、あなたがこれから経験するであろう、多くの喜びと引き換えに、あなたが失うものを教えてくれます」
と彼は言った。
福美は好奇心に駆られ、交換に応じた。
老紳士は
「くれぐれも、後悔しないように」と意味深な言葉を残して店を後にした。
翌日から、福美の人生は一変した。
交換した砂時計を眺めるたび、福美の店は繁盛し、仕事は順調に進んだ。
次々と新しい顧客が訪れ、彼女は次々と新しいアンティークを手にすることができた。
しかし、その砂時計の砂が落ちるたびに、福美の人生から大切なものが少しずつ失われていくことに気づいた。
彼女を支えてくれていた家族や友人との時間が減り、親友との約束を忘れてしまうこともあった。
幸福感は増したが、その反面、心の中には虚無感が広がっていく。
ある朝、福美は鏡の中の自分を見て愕然とした。
彼女の瞳は喜びで輝いていたが、その奥には深い悲しみが宿っているように見えた。
その時、彼女は気づいた。
この砂時計は、失われた時間、失われた愛、失われた友情を、その美しさで隠しているだけなのだと。
彼女は迷うことなく、その美しい砂時計を窓から投げ捨てた。
粉々に砕け散った砂時計から、まばゆい光が放たれた。
光が消えると、そこには元々彼女が持っていた、古びた砂時計が転がっていた。
彼女は再び、大切な人たちとの時間を過ごし始めた。
店は以前ほど繁盛はしなかったが、穏やかな日々が戻ってきた。
そんなある日、再びあの老紳士が訪れた。
「またお会いしましたね」と彼は微笑んだ。
「あの砂時計は、あなたが本当に大切にすべきものが何なのかを教えてくれたでしょう」彼はそう言って、店を出て行った。
福美は店の外に出て、彼の背中を追いかけたが、もうそこには誰もいなかった。代わりに、道端には一枚のカードが落ちていた。
そこにはこう書かれていた。
「月は、太陽の光を借りて輝いている。しかし、その輝きは、太陽の光がなければ存在しない。私たちは、誰かに与えられるばかりでは、真の幸せは手に入らない。あなたがあの砂時計を捨てたとき、あなたは、あなた自身で輝くことができるようになったのですよ」
福美は、老紳士が何を言いたかったのか、ようやく理解した。
あの砂時計は、彼女が本当に大切にすべきものを自ら手放し、そして再び手にするための、一種の「卒業試験」だったのだ。
ゼロよりイチ!
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