展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.2
美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです(前回の記事)。
全工程はこちら(↓)をご覧ください。
04 作品や作家の情報収集を開始する
展覧会の担当となった学芸員は、その企画に見合う作品や作家のリストアップを始めます。
他館で行われた過去の展覧会図録を読んだり、画集に目を通したりして、作品をおさえていきます。
まずここで、主要な作品、外せない作品がどれなのかをおおまかに把握し、展覧会プランを練るときの参考にします。
その作品を所蔵している美術館はどこか、個人の所蔵家は誰か、画廊はどこか。
その作家について、先行研究を行っている研究者は誰か。
書籍や図録として公開されている情報だけでは分からないことも多いので、そのジャンルに詳しい学芸員に連絡をとって色々教えてもらうこともあります(情報交換はお互い様ということで)。
05 展覧会企画概要書を作る
さて、作品や作家についての全体像がつかめたところで、展覧会の企画概要書作りに取りかかります。
簡単に企画書と言ってもいいんですけど、これから各方面と交渉していく時に必要となる重要なものです。
企画書にまとめる情報としては、
展覧会タイトル
会期
会場
主催者
展覧会の趣旨
主な出品予定作品
こんなところでしょうか。
これも暫定版の企画書です。すべてに「(仮)」がつきます。
展覧会タイトルひとつをとっても、集客効果がおおきく違ってくるものなので、おおいに頭をひねります。いいタイトルが思いつくまでは「(作家名)展」とか「○○宝物展」とかざっくりした仮タイトルをつけて話を進めます。
タイトル付けのセンスがある学芸員はうらやましいなぁと思ってます。
会期もこの時点ではフィックスしきれません。この後の出品交渉の結果次第で、変更せざるを得なくなることもあるので、あくまで仮のものです。
そんなわけで、企画書はこの後もブラッシュアップしながら、最新版をその都度使うという形になります。
06 作品調査を行う
机にかじりついているばかりではありません。
いよいよ出品予定作品の調査を始めます。
その作品が、自分の美術館の所蔵品である場合でも、自分(展覧会担当学芸員)が見たことがなければ収蔵庫から出してきてしっかり調査します。
台帳(データベース)に作品の基礎データは入っていますが、そのデータをどこまで信頼できるかは美術館によって違うでしょう。
あらためて調査したら作品の材質、技法、寸法などが台帳の情報と違っていた、なんていうことはざらにあります。
また、しばらく見ていない間に作品のコンディションが悪化していた(カビがはえていた、虫に食われていた)なんてことがあったら大変なので、できる限り一点一点確認します(展示の時に初めて出してきて「ぎゃー!」ということが無いように)。
そして、他の美術館に作品が所蔵されている場合。
どうしても借用して出品したい作品、借用するかどうか判断に迷う作品、いろいろあると思いますが、これも先方に依頼して可能であれば調査を行います。
現実的には、全国から作品を借用するような場合、事前にその一つ一つの所蔵館を行脚して調査するようなことは、予算的にも日程的にも不可能です。
なので優先順位をつけて、可能な範囲で出張して作品調査を行います。
またこの時に、出品交渉を兼ねることもあります(出品交渉に関しては後ほど説明します)。
***
ふぅ、まだまだ序盤……。
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