パネル作りという学芸員のニッチな技術
どうも、『学芸員が教える 日本美術が楽しくなる話』絶賛発売中です。
さて、ここから本題です。
学芸員を長く続けた結果、なにか特殊技能が身についただろうか?と考えると、私の場合ぱっと思いつくのが「パネル作り」の技術です。
展示室に作品と一緒に並べる解説パネルやキャプションの制作については、以前詳細に写真つきで説明したことがあります。
パネルなんて外注すればいいだけの話ですが、そんなお金はないのですから自作するしかありません。
さて、一口にパネルと言っても色々な種類がありますが、なかでも私が磨いた技術というのが巨大パネル作りです。と言っても、せいぜいA1サイズぐらいのものですが(つまりA3の4枚分)。
パネルの土台は、貼りパネルとかのり付きパネルと呼ばれるスチレンボードです(片面がシールになっている)。このボードに印刷した紙を慎重に貼って、余分なところを切り落として完成。これがパネル作りの基本です。
特大サイズで出力できる業務用プリンタを持っている美術館は、A1サイズだろうがそのままデータをプリントアウトすればいいのでしょうが、悲しいかなそんなものはありません。
だからどうするかと言えば、非常にアナログなのですが、データを4分割して、それぞれをA3サイズで出力し、ミリ単位でそろえながらパネルに貼っていくのです。なるべく継ぎ目が目立たないように。紙が重なっては凹凸が目立つし、隙間が空いてもやっぱり目立ちます。
えらいもんで、失敗を重ねる内にだんだん手先は器用になっていきました。
それと同時に知恵もついてきて、たとえば文章のあるパネルだったら文字の途中に継ぎ目がくると難易度が高くなるので、データを微調整して行間に継ぎ目がくるようにする、とかですね。
て、ここまで書いて冷静に考えると、やっぱりこの技術ほかのところで1ミリも役に立つ気がしない(泣)。
