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作品=アイコン、そう割り切って展覧会を打ち出すのだ

とどのつまり、「アイコンとなる作品」を見つけられるか否かが、展覧会の明暗をわけるのだと思うわけです。

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どうも、ちいさな美術館の学芸員です。
今回はちょっとテクニカルな話をしたいと思います。

学芸員なので、当然ながら企画した展覧会にはなるべくたくさんの人に見に来てもらいたい。そのためにはどうしたらいいのか、日々考えているわけです。

話題になる展覧会をポンポン繰り出す美術館・博物館てありますよね。また、担当した展覧会を高い確率でヒットさせる敏腕学芸員もいます。
予算が潤沢にあれば当たるかと言えば必ずしもそういうわけではありません(もちろん新聞、雑誌、SNS、主要駅の看板などに広告を打ちまくって、力技で認知をあげるという手もありますが)。
で、話題になる展覧会の手法を観察したり、企画した人の話を聞いたりして、ようやくうっすら分かってきた秘訣こそが冒頭に挙げたものです。

アイコンとなる作品、これで何となく伝わりますかね? アイキャッチになる作品、シンボルになる作品と言ってもいいかもしれません。

先にいくつか具体例を出しましょうか。

上で挙げたもののうち、東京ステーションギャラリーで開催予定の「みちのく いとしい仏たち」展などは、一歩間違えば民芸品を集めただけの地味な展覧会と思われてしまいそうなテーマですよね。よその美術館・博物館がやったら閑古鳥が鳴くような展覧会です(内容が悪いという意味じゃ無いですよ!)。でも、おそらくこのビジュアルがフックになって、ある程度集客できると思います。

そう、やはり展覧会があたるか否かは、広報の打ち出し方次第なのです。練りに練った展示構成であっても、長年の調査研究の成果を全部こめた展覧会図録を作っても、そもそも美術館に足を運んでもらい、展示室の中に入ってもらわなくてはいけないわけでですから。

でも、学芸員はどうしても展覧会の中身(コンテンツ)を充実させることに精力を傾けがちです。それが本分だから当然と言えば当然なんですけどね。
そして広報物(チラシ、ポスター、WEB)のビジュアルデザインもついつい深みを持たせたくなってしまいます。
または、あれも重要な作品、これも重要な作品だと言って情報を詰め込みがちになります。作家や作品について知れば知るほど、愛が深まっていくのでどうしてもそうなってしまうんですよね。

そして作家自身は、アイコンのように使い勝手の良い作品を作るつもりなんてありません。学芸員も重々そのことは承知していますから、作品をアイコンとして使うことに抵抗を感じる傾向があります。
美術館・博物館によっては、作品・作家へのリスペクトゆえに、広報物に作品の図版を使う時には「文字のせ禁止」「トリミング禁止」「色の改変禁止」などの制約を課しているところもあります。
こうして無難なデザインが生まれていくことになります。

しかし、ヒットメーカーはそこをしっかり割り切る強さがある気がします。

足し算ではなく引き算。あえて絞る、あえて削る。

そうした思い切りの良さというか、胆力というか、これが展覧会の成否を分けるポイントなんだな、と気づいてきた中堅学芸員でした。
あ、もちろんそれだけで毎回バンバン展覧会をヒットさせられるなら苦労はないわけで、内実が伴わないといけないのは言うまでもないってことで。

みなさんも気になる展覧会があったら、是非そのポスターデザインにも注目してみてください。いろんな意図が隠されていることに気がつくはずです。


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