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学芸員と大学教員はここが決定的にちがった!

突然ですが、論文を書き上げたぞ!

振り返ると、7月末までは間もなく書店に並ぶ『元学芸員の美大教員が教える美術鑑賞の楽しみ方』の最終校正に追われ(それで翌月には刊行されるんだからすごいよね)、8月に入ると今度は秋に刊行予定の本の1回目のゲラ校正が始まり、それを集中して1週間で仕上げて出版社に返送し、そこからようやく取りかかった論文執筆。次のゲラが送られてくるまでが勝負でしたが、何とかその前に形にできました。

こんな具合でここしばらくは勝手に一人綱渡り状態でした。
ひとまずよくやった自分!

さて、今回は論文を書きながら感じたことを備忘録としてまとめておきます。

私は現在大学教員。ちょっと前まで美術館学芸員。
この二つの職業は、どちらも調べたことや考察したことを文章にして発表する点は共通しています。学芸員であれば展覧会の図録や館の紀要、大学教員であれば大学の紀要や学会誌が発表の場となります。

言うなればどちらも研究職です。
もちろんそれがすべてではありません。学芸員の業務は「資料の収集、保管、展示及び調査研究」(博物館法)ですし、大学教員は研究の他に教育(つまり授業や学生指導)が大きな仕事であり、他にも学務をこなさなくてはいけません。
でも自分の専門分野を持ち、研究を進めていくところはやっぱり同じだと思います。

しかし、両方体験した今、研究職という観点で見た場合でも学芸員と大学教員には決定的な違いがあるなと感じています。

その違いとは、研究内容を選ぶ自由度です。

まず学芸員の方から説明しましょう。
学芸員は採用される時に(もっと言えば公募の段階で)「絵画担当」とか「彫刻担当」とかおおまかに決められています。
採用されてからは、その担当分野の中で自分なりに研究を深めていくことになります。でも何でもやっていいわけではありません。所属する館のコレクションが研究の基盤となるからです。
つまり絵画担当学芸員として採用されたからと言って、尾形光琳の作品を1点も所蔵していない美術館で光琳研究をすることはできません。どうしてもやりたいならプライベートでやるしかありません。
だからどの美術館に就職するかで、自分が取り組むべき研究内容はある程度決定するのです。レールが敷かれているというほど選択肢が狭いわけではありませんが、手持ちの札で勝負を組み立てる、というイメージに近いかもしれません。

対する大学教員もまた、採用される時に担当分野は決まります。日本美術史の教員として採用されたのに、西洋美術史をやることはできません(当たり前か)。でも制約はそれぐらいです。
あとは具体的にどんな研究をするかは完全に自由です。学芸員のように所属する館のコレクションに応じて研究内容を考える、ということがありません。

長年学芸員をやってきてから大学に移ったので、なかなかこれに慣れませんでした。何でもしていいとなると、何から手を付けていいのやら途方に暮れてしまうのです。
まぁ結局学芸員時代に積み重ねてきたことを土台にして、そこから自分なりに道筋をつけて新しい方向に進んでいくしかないんですけどね。

そう言えば、大学院生から学芸員に就職してしばらくは、コレクションに関する研究しかできないという制約がとてももどかしく感じていたことを思い出しました。懐かしいなぁ。

でも今こうして「さぁやりたいことを何でもやっていいよ」という状態になると、今度はその自由度の高さにオロオロしてしまっているんですから、しょーがないやつだなと自分でも呆れます。
それでも、ようやく気持ちの切り替えができてきて、こうしてがんばって論文も書き上げたので許して下さい。

学芸員だけだったら、または大学教員だけだったら、こんなこと考えもしなかったでしょう。今回の話は特に誰かの参考になるようなものではないでしょうが、まぁちょっと珍しい体験談として聞いてもらえればと思います。

では!

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\間もなく発売!読んでもらえるとうれしい!/

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