見出し画像

新刊『忙しい人のための美術館の歩き方』はこんな本です。

もう間もなく7月10日頃(書店によって前後するようです)に、ちくま新書から発売される『忙しい人のための美術館の歩き方』。ちいさな美術館の学芸員として3冊目の書籍になります(2冊目の『学芸員が教える 日本美術が楽しくなる話』も好評発売中!)。
「ちょっと気になるぞ」という方のために、どんな本なのか、その内容をざっくり紹介します。

本書はたっぷり5章構成になっています。そして何と言っても本書の肝は最終章の第5章です。
手っ取り早くそこだけ読んでもらっても構わないのですが、前菜やスープを味わってこそメインディッシュの味わいが引き立つように、できれば第1章からじっくり読んでいただきたいところです。

第1章 タイパの真逆にある美術館

「タイパの真逆にある美術館」という章タイトルの通り、第1章では時間があってもあなたがなかなか美術館に行けない理由をじっくり解きほぐしていきます。
昨今の美術を役に立つ教養として取り上げる動きに着目して、余裕のない時代にはどうしても美術にすら実用性が求められてしまう事実を指摘します。

第2章 美術鑑賞の変遷

第2章では、一度原点に帰って、美術館で鑑賞を楽しむという習慣がどのように日本に根付いてきたのかを見ていきます。
ヨーロッパから輸入された美術館制度が日本人の芸術観に与えた影響、そして日本における展覧会の黄金時代にも言及します。

第3章 美術館の新たな取り組み

第3章では、しばらく美術館に行っていなかった人のために最新の美術館事情を解説します。
SNSの普及、デジタル化、インバウンドの推進などに加えて、コロナ禍という荒波を越えて、いまの美術館は大きく変化を見せている真っ最中なのです。

第4章 SNS時代の美術館 鑑賞する側が主役になる

ここまでだいぶ大局的な話が続きますが、第4章ではぐっと視点を鑑賞者に近づけて、美術館を楽しむための具体的な方法を紹介します。
憧れの「美術を語れる人」になるためには、主体的な鑑賞術を身につける必要があるのですが、その実践方法までレクチャーします。

第5章 結局、美術館に行く意味って何?

そしていよいよフィナーレです。第5章は、忙しなく生きている人にこそ美術館が必要な理由をとことん語ります。
たしかに美術はすぐに役立つものではありません。無駄に思えるかもしれません。そして美術館の存在は不要不急の筆頭と言われるかもしれません。それは認めます。全部認めた上で、この章では「だからこそ美術館が必要なんだ!」という大逆転を決めたいと思います(そう思って書きました)。

その試みが成功しているかどうかは、ぜひ本書を最後まで読んで、あなたが判断してください。

***

ここまで読んで「あれ?なんか、ところどころこのnoteで読んだことがあるような内容じゃない?」と気づいた方はおそらくいないでしょう(いたとしたら相当熱心に読み込んでくれている人なので、感謝です)。
実は、本書の内容の一部は、私のnote記事(有料の限定公開記事を多数含む)を加筆修正したものです。とは言え、書き下ろしの部分も多いので安心して(?)お買い求めください!