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ひとまずモナリザ級の日本美術を見つけるところから始めません?

「ひとまずみんなでモナリザ級の日本美術を見つけるところから始めません?」とXでポストしたら、たくさんの候補作が出てきてとても面白かったです。
ひとつひとつここでは紹介しきれないので、ぜひ下記ポストの返信や引用をご覧ください。「なるほど、それもあったか」という作品が色々あります。

ポストにも書きましたが、「モナリザ級」とはそれすなわち1点の作品であることを超えて、その国の文化のアイコンとして通用するということです。

アイコンとして通用すると言われてもピンとこないかもしれませんが、たとえば静嘉堂文庫美術館の《曜変天目》がかなりイメージとしては近いです。

《曜変天目》は、作品そのものの情報としては、世界に3碗しか現存しないとか、美しい斑紋は焼成の過程で偶然生み出されるとか、斑紋の光彩は構造色という現象だとか、室町時代には唐物の最高ランクとして評価されていたとか、色々あります。

ただそうした情報を抜きにしても、もはやあの模様を見れば「あ、曜変天目」とみなさんすぐに頭に浮かぶのではないでしょうか。それをスカーフにしようが、アロハシャツにしようが、曜変天目のイメージがしっかり付いてきます。
これがアイコンとして通用するということです。

ただし《曜変天目》は、現存する3碗はすべて日本に伝わっていますが(と言うよりも、日本にあったからこそ失われることなく今に伝えられたのですが)、作ったのは中国です。
日本で国宝指定されていますが、日本美術のアイコンにするわけにはいきません。作品の枠を超えてアイコンになった好例として挙げさせてもらいました。

《曜変天目》は静嘉堂文庫美術館が戦略的にアイコンになるまで浸透させたと言うべきですから、作品自体の力はもちろんのこと、それと広報の掛け合わせなんだろうな、と思います。一朝一夕にはいかないですね。

そういう意味では、お札や硬貨に使われている作品は画像が無限増殖して、人々の目に刷り込まれていくわけで、アイコンとしてはかなり有力候補ですよね。

2024年から発行された千円札の葛飾北斎《神奈川沖浪裏》
2004年から2024年まで発行されていた五千円札の尾形光琳《燕子花図屏風》
十円硬貨の《平等院鳳凰堂》
平等院鳳凰堂の屋根の鳳凰は2004年発行の一万円札にも使われていましたね

こうやって見比べると、うーん、光琳の燕子花がなんか弱いんですよねぇ。

誤解の無いように言っておくと、私は《燕子花図屏風》こそ、中国でもヨーロッパでも生まれ得なかった日本絵画の筆頭だと思っています。
ただ、五千円札を見てもわかるように、この作品は絵柄の一部を切り取って見せてもただの「お花の絵」になってしまうのが悩みどころ。

絵画とデザインがフラットに融合している面白さとか、どこまでも平面的でミニマムな画面の気持ちよさとか、音楽的なリズムを感じさせる構図とか、この絵の魅力はどうしても六曲一双の屏風全体(つまりかなり横長)で見ないと伝わらないというもどかしさがあります。

ここが、パッと絵柄を出しやすい《モナ・リザ》や《神奈川沖浪裏》と大きく違うところです。

いや、でもこれはデザイナーではない私の素人考えなのかもしれません。

今は、作品を損ねるような改変をしてはいけないという制約があるから、単純に部分をトリミングするぐらいの加工しかできませんが、静嘉堂のように「この作品をアイコンにしていくぞ!」という方向に振り切ったら、《燕子花図屏風》でもプロの力でもっとうまい見せ方ができる気もします(希望的観測)。

まぁ、絵画作品なのでいずれにしても常時公開はできないわけですが、そこは「逆に期間限定でプレミアム感を出していく作戦」で行くということで。


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