画像利用申請への対応
美術館学芸員の仕事は多岐にわたりますが、あまり表に出ない地味な仕事として外部からの画像利用申請への対応があります。
美術館の収蔵品を、本の挿図として使いたい、テレビに使いたい、論文に使いたい、などなど。
これが東京国立博物館ぐらいの大きな組織になると、画像利用に関してはDNPアートコミュニケーションズに委託する、ということもできますが、まぁこれは例外。
そこまで行かなくても、そこそこの規模の美術館だったら、外部からのこうした問い合わせに対応する事務スタッフがいる場合もありますが、それでも利用を許可するか否かについては学芸員が判断するというところも多いです。
さらに所帯の小さな美術館となると、この対応もすべて学芸員が行わなくてはいけません。
私はかつて、利用希望が多い有名作品をたくさん抱える美術館にいたので、わりとこの画像利用申請への対応が忙しかったです。
外部からの問い合わせの窓口となってくれるのは、事務方の職員でした。一週間に一度くらいのペースかな、ある程度利用申請の件数がたまると、それをまとめた回議書が回ってきて、学芸員たちで一つ一つ許可するか否かを検討しなくてはいけません。
画像利用と一口に言っても、厳密には
ポジフィルムを貸し出す
デジタル画像を提供する
既存の図書からの転載を許可する
と様々です。
作品の写真はプロのカメラマンに撮影してもらっていたのですが、私が入った頃はまだフィルムでの撮影でした。それが徐々にデジタルカメラでの撮影に替わっていったので、「この作品はポジフィルム」「この作品はデジタル画像」という混ぜこぜ状態。
デジタル画像ならデータ送信するだけなので楽なのですが、ポジフィルムしかない場合はなかなか面倒です。
まずフィルムの原版は貸しません(これは館によって方針が違います)。オリジナルのフィルムを傷つけられたり、紛失されたりしたら事ですから。
そこでどうするかというと、フィルムの複製を作ります(デュープフィルム)。出入りのカメラ屋さん(いくつも現像所をもつ大手の会社)にオリジナルフィルムを渡して、複製フィルムを作ってもらいます。その費用は申請者に請求します。
外部からの問い合わせには窓口のスタッフが対応してくれても、フィルムやデータの管理は学芸員が行っていたので、こうした画像やフィルムの手配、それからフィルムがきちんと返却されたかの確認などは日常的に行っていました。
後日、その図版をつかった成果物(出版物やテレビの放映データ)が送られてくるので(これも許可条件に入っている)、それも変な使われ方をしていないかチェックしなくてはいけません。
最初に言ったように、わりと図版使用申請が多い美術館にいたので、来る日も来る日もこうした対応に追われていた記憶があります。
展覧会の企画だけではない、これも学芸員の仕事なのです。
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