【天邪鬼戦略】弱者の知恵、戦わずして、コソコソ勝つ
商売において、いかに競合他社にみつからずコソコソ売上げを上げるかを意識すれば、小さな市場は独占できるかも、という話
コソコソ売る技術、大きなトレンドの「取りこぼし」を独占する
先日、仕入先の担当者が「勉強会のお知らせ」を持ってきた。
メーカーが主催する、新製品に関するレクチャーだという。
内容を端的に言えば、「これから市場で大々的に売り出す製品を、皆さんの手でいち早くインストールして売ってください」というもの。
こうしたメーカー主導の動きは、広告宣伝費が投下され、大きなニーズを捉える、という意味では有効な手法だろう。
だが、わたしにとっては、自社でニーズを掘り起こし、独自で市場を開拓することを放棄するという意味に聞こえてならない。
大きな波が起きたとき、あえて足元を見る
大きなトレンドが生まれれば、当然、競合他社はその波に一斉に飛びつく。
メーカーが販促をかけ、意図的に波をつくればひとつの市場がうまれる。そこに飛び込めば、必然的に待っているのは過当競争、すなわち「レッドオーシャン」である。
誰もが同じ条件なら、最終的には価格を削る消耗戦に発展する。
わたしは昔から天邪鬼なところがあるが、その大きな流れが強ければ強いほど、逆にその流れから「取りこぼされた」小さな市場に視点を凝らしたくなる。
皆が最新の流行に夢中になっている隙に、暗がりに残された小さな、しかし切実な需要をコソコソと掘り起こす。
言ってみれば、姑息な生存戦略だ。
だが、この「人に見つからない」ことこそが、小さな商売においては最強の防壁になる場合がある。
「逆張り」という名の涙ぐましい生存戦略
こうした手法を「逆張り」や「ニッチ戦略」と呼べば、いかにも戦略的で格好がつくかもしれない。
だが、実態は、単に競合他社が押し寄せる場所で真っ当に戦うことを放棄した“逃亡”とも取れる、弱者が生き残るための、涙ぐましいまでの生存戦略である。
しかし、この姑息な考えには利点もある。
誰もが見向きもしない市場、あるいは「小さすぎて商売にならない」と大手が取りこぼした領域は、一度構築してしまえば驚くほど安定する。
競合がいないのだから、不毛な価格競争に巻き込まれることもなければ、参入してきた新手に市場を奪われるリスクも低い。
誰も見ていない場所で、小さな市場をコソコソと独占する、書けば書くほど情けない戦い方だが、商売とは華々しい勝ち方だけが正解ではない。
見つからずに売る、という贅沢
大きなトレンドを追いかけるのは、他人の土俵で相撲を取るようなものだ。常にメーカーの意向を伺い、競合の動向を気にかけ、世間の風向きに翻弄されなければならない。
一方で、独自に見つけた小さな市場を静かに開拓し、誰にも気づかれないうちに確実な売上を積み上げていく商売は、精神的な自由度が高い。
皆がスポットライトの当たる舞台でしのぎを削り、消耗しているうちに、わたしは陰に隠れてで静かに成果を積み上げる。
「バレなきゃいい」という感覚は一般社会の振る舞いとしてはNGだが、商売の世界で法律を守っていれば成立する聖域なのだ。
大多数の裏をかく戦略は、整備されていないあぜ道を行くようだが、歩き慣れれば成果をもたらす
