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ポーズの完成は目的ではなく目標──ヨガが苦しくなった人に知ってほしい“本来の役割”

ポーズの練習が楽しくてヨガを続けていたはずなのに、
いつの間にか、ポーズの練習に行き詰まり、
ヨガが楽しくなくなってきた人はいませんか?

そんな人たちは、ポーズに対する誤解を一つ解くだけで、
また楽しく、しかもより深いところでヨガができるようになりますよ。

今回は、ヨガにおける最大の誤解の一つである
「ポーズの目的の誤解」についてお話します。

多くの場合、ポーズを練習する目的というのは

  • 柔らかくなりたい

  • 〇〇のポーズがとれるようになりたい

となるかと思います。

もちろん、それを思って練習するのはとてもよいことです。
でも、それが目的になってはいけません。
それは、あくまでも目標です。

ヨガにおいてポーズをとることの元々の目的は
「良い状態で瞑想にはいれるように身体を整えること」
だからです。


ヨガの歴史から見るアーサナの在り方

実はこれは、最近言われ始めた考え方ではありません。

15世紀ごろにまとめられたヨガの古典
ハタヨガ・プラディーピカー
では、アーサナ(ポーズ)は
「長く、安定して、快適に座るための身体をつくるもの」
と位置づけられています。

「84のアーサナがある」という象徴的記述はありますが、
実際に紹介されるのは15のみ。
しかもその中でも

・シッダーサナ
・パドマーサナ

の二つの座法が特別重要とされています。
(興味深いことに、スカーサナですら15の中には出てきません)

立位・フロー・連続運動は出てきません。
ポーズの完成や数を競う話も、そこにはありません。

乱れない呼吸と、静かな意識。
それを邪魔しない身体を用意すること。
調和、そして悟りに向かうための器づくり。

それが、アーサナの役割でした。


 科学からみるアーサナの在り方

ここで紹介する研究は、ヨガのポーズを検証したものではありません。
ただ、「姿勢が呼吸や神経反応にどう影響するか」という点で、
古典ヨガの視点と重なる部分があります。

座位で体幹姿勢を変えたときの
心拍や自律神経の反応を調べた生理学研究があります。

その結果
前屈や回旋などで呼吸空間が狭まる姿勢よりも、
呼吸を邪魔しにくい中立に近い姿勢のほうが、
身体の反応が安定しやすい傾向が報告されています。

この研究自体はヨガのポーズを対象にしたものではないし、日常生活とのつながりで見るとやや極端な姿勢で試してます。
それでも、「呼吸を乱さない身体を用意する」という古典ヨガの視点が、現代の生理学とも響き合う部分がある。
そこに、嬉しさと力強さを感じますね。

参考文献

Wang H, et al. (2022)
Effects of trunk posture on cardiovascular and autonomic nervous systems: A pilot study
Frontiers in Physiology
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9623330/


🟢 今週の結論

ポーズは完成形ではなく、
瞑想を快適にするための
“身体づくりの地図”

できる・できないを決めるものではなく、
今の身体を知るためのチェックシートの役割です。


ポーズは競技ではない

ヨガのポーズは、
点数をつける競技ではありません。

柔らかさを比べるものでも、
難しい形に進むための関門でもありません。

先ほどお伝えしたとおり、
本来ポーズは、瞑想に入るための準備でした。

瞑想の時に、

・長く座っていると苦しい
・呼吸がなめらかでない
・身体で気になる場所がある

そんな状態では、
身体そのものが雑念になってしまいます。

その身体を、
今より少し安定して、
少し心地よくする。

それがポーズの役割でした。
僕もわかりやすく「ポーズ」と表することが多いですが、
「アーサナ=姿勢」という意味の方がより正確な表現かとも思います。

つまりポーズは、
ゴール(目的)ではなく、在り方(姿勢)であり途中過程にすぎません。


本来、目的に向かっているだけで人は幸せ

本来、目的に向かって進んでいるだけで、人は幸せです。

目標は、その途中に置かれた目印。

だから、
目標が達成できなくても、
目的の方向に進んでいるなら、それだけで意味があります。

そして、もし目標が達成できたなら、
それはより幸せな出来事。

目的が自分に力を与えてくれる存在であれば、
目標が達成できなくても幸せ。
目標が達成できれば、超幸せ。

このくらいお気楽に練習するくらいで、ちょうどいい。

※補足(心理学の視点)
結果よりも「過程」や「取り組みそのもの」に価値を置く姿勢は、
学習の継続性が高く、燃え尽きにくいことが示唆されています
(いわゆるプロセス志向)。

Tuominen-Soini et al. (2012) Learning and Individual Differences
https://doi.org/10.1016/j.lindif.2012.01.002


でも、
目的と目標を混同しはじめると、
話は変わってきます。

目標が目的にすり替わると、

・目標を達成できない=不幸
・達成できても、次がなくて空虚

という状態が起きます。

幸せの条件が、
「結果が出るかどうか」だけになってしまうからです。


ヨガでも、同じことが起きています。

シャバーサナが心地よくなる、
身体の違和感が減る、
呼吸が通る心地よい場所を見つける。

それが目的

ハトのポーズができる、
柔らかくなる。

それは目標

この順番が保たれている限り、

うまくできない日があっても、
練習は、ちゃんと意味を持ちます。

甲子園に行けなかった球児が不幸で意味のない時間を過ごしたなんてことはありません。
そこに向かう道で得た体力・気力・仲間は甲子園に行く以上の財産のはずです。


今日できなかったポーズは、
あなたを不幸にするものではありません。

目的に向かう途中で、
身体がくれた情報です。

静かに横になったとき、
呼吸が少し楽になっていたなら。

それだけで、
今日の練習は成功です。


🌿 今日の小さなワーク(noteでの準備)

少しでもシャバーサナが楽になる体験をしましょう。

① 片脚でのワニのポーズ

身体を少し丸め、腕も開かずに手を肋骨の上にのせておきます。
呼吸が楽にできるようにを最適化した状態でワニのポーズをしてみてください。
5呼吸してからシャバーサナに入ってみると、上側にしていた半身が、ふっと緩んでいるのを感じられますよ。

② 両脚でのワニのポーズ

一方両脚でのワニのポーズ。
最初はあえて、「形がそろっていること」だけを重視してやってみてください。
両肩が床についているか。両脚がそろっているか。まずはそこだけ。
5呼吸後のシャバーサナに特に変化はないと思います。

ここから大切なことは2つ。
1つは、片脚でのワニのポーズのような感覚を求めて両脚でのワニのポーズを行うこと。その際に多少形が崩れてもかまいません。その後のシャバーサナが楽になっていることが大切です。
もう1つ、そもそも最初から片脚のワニのポーズだけを行うこと。もっと柔軟性が高まってから両脚のワニのポーズにとりくむこと。

どちらもワニのポーズの形の完成を一番においていないからできること。
シャバーサナに焦点をあてることで、ポーズへの取り組み方そのものが変わってきます。


📺 今週のYouTube

👉YouTube動画|ポーズの完成は目的じゃない|ヨガが苦しくなった人に知ってほしい“本来の目的”|ポーズの誤解①
https://youtu.be/I38KBnYSChk

目次
00:00|オープニング
00:14|ポーズの目的について
03:16|ポーズの時に意識すればいいたった2つのこと
04:00|目的を見失わずにポーズをとってみよう基本編(ワニのポーズ)
06:29|目的を見失わずにポーズをとってみよう応用編1(開脚)
09:45|目的を見失わずにポーズをとってみよう応用編2(ハトのポーズ)
12:18|まとめ


🧶 今週のまとめ

ポーズは、
あなたを評価するためのものではありません。

身体の今を教えてくれる道具です。

ポーズに失敗はありません。
それは、成功への気づき。
そして、形が不格好だろうと、心地よくさえあれば、
その後のシャバーサナが少しでも楽になっていれば成功です。

本当のことを言えば、ポーズは「完成」しません。
ただ、洗練され続けるだけです。

昨日のポーズよりも、少しでも何かが洗練されていれば、
よい道を歩けていると胸を張ってくださいね。


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