ペーパーマリオRPG リメイク
「スーパーマリオRPG」「マリオストーリー」に続くマリオRPGシリーズ第三弾「ペーパーマリオRPG」のリメイクを先日ようやくクリアした。
思えば長い道のりだった… ペーパーマリオRPGのリメイクが発表された時、「そう言えばスーパーマリオRPGのリメイクもあったな」「マリオストーリーは…スイッチオンラインで配信されてるな」と思い至ったがゆえに、本命の今作をプレイするまで一ヶ月以上の時間を要してしまった。
もっとも、前二作をプレイしたがゆえに楽しめた部分も多かったので、決して無駄ではなかったが(特にマリオストーリー)
まあ前置きはこのくらいにして、早速レビューして行こう。
概要
「ペーパーマリオRPG リメイク」は2024年5月23日にNintendo Switchで発売されたアクションRPGである。原作に当たるゲームキューブ版は2004年7月22日に発売されているので、およそ20年ぶりのリメイクとなる。
ちなみに筆者は原作はプレイしていない。
内容はと言うと、前作に当たる「マリオストーリー」から世界観やゲームシステムをそのまま引き継ぎ、尚且つボリュームを大幅にアップした正当進化と言えるゲームである。
また、前作ではあくまで演出に過ぎなかった、ペーパークラフトのような独特のグラフィックは、今作ではシステムにきっちり反映されており、名実ともに「ペーパーマリオシリーズ」として個性化されていった。
以下では具体的な内容に触れていく
物語
ある日、ピーチ姫から宝探しに誘われたマリオ。
しかし、待ち合わせ場所にピーチ姫はいませんでした。
先に宝探しに向かったかも、と考えたマリオは、
宝の地図を頼りに、ピーチ姫を探す旅にでます。
前作のマリオストーリーは、クッパにさらわれたピーチ姫を救出するという王道ストーリーだったが、今作はマリオシリーズとしてはやや変化球気味の導入となる。
上記のように、ゲーム開始時点のメインの目的は宝探しであり、ピーチ姫の捜索はあくまでついでのような始まり方となる。
だが、宝探しの旅の途中で、世界征服をたくらむ悪の組織・メガバッテンの暗躍と、彼らによってピーチ姫が案の定さらわれたことが判明し、以後は宝探しに加えメガバッテンとの戦いが目的となる。
また、メガバッテン基地を管理するコンピュータ・テックとピーチ姫との関係や、今回の事件のことを知りマリオやメガバッテンを出し抜こうとするクッパの活躍?など、シンプルだった前作と比較してストーリーは深みが増している。
ストーリーの進行について、もう少し詳しく見ていこう。
拠点となる街から出発し、各地を旅してキーアイテムである「スターストーン」を集めるという流れ自体は前作と変わりない。
反面、旅の各地でのストーリーには明確な起承転結があり、それぞれが短いながらも一つのエピソードとして完成されている。
RPG王道のドラゴン退治を依頼されるステージ1、空中に浮かぶ歓楽街で闘技場チャンピオンを目指すステージ3、全体的にホラーテイストで、ボスを倒してからの展開が印象的なステージ4、ロマンあふれる海洋冒険ものの王道を見せてくれるステージ5、爆弾探し・封鎖された跳ね橋の降下・襲ってきた怪物退治の鉄道ものよくばり3点セットなステージ6など、ストーリーのバリエーションも富んでおり、終始だれることなくプレイ出来た。
印象的なのが、今作の冒険の拠点となる街「ゴロツキタウン」。
インパクトのある名称に見劣りせず、なかなか荒れた街であり、中央広場には街のシンボルである絞首台が存在し、東部は盗賊団が、西部はマフィアが仕切っている等、かなりアウトローな雰囲気の漂う街である。
住民も気性の粗いキャラが多く、マフィアが仕切る西部の方がむしろ治安がいいという嫌なリアルさを見せてくれる。
ぶっちゃけ、可愛らしいマリオシリーズのキャラで誤魔化しているだけで、街の治安は神室町と変わらないレベルである。さすがに街中で喧嘩を売られることは普段はないが。
総じて言うなら、前作の手法をベースにしつつさらに完成度を高めた、良質なシナリオと言えるだろう。多くのキャラが登場するが、いわゆる使い捨てキャラがほとんど存在しないことも特筆に値する。
戦闘
今作の戦闘システムは、前作を踏襲しつつもいくつかの要素を加え、主に演出面を強化したものとなっている。
まず、今作の戦闘は舞台の上で行われ、手前には観客が存在しバトルを観戦している。
マリオとその仲間が戦うことで、スターパワー(おひねり)をもらい、溜まったスターパワーを消費することで、強力なスペシャル技を発動することが出来る。
これが今回の戦闘の基本的なルールとなる。
マリオたちは華麗な戦い方をすることで、多くの観客を集めることができ、その分おひねりも多くもらえるため、より戦闘が有利となる。
そんな本作を象徴するのが「アクロバット」と「アピール」の二つ。
アクロバットは技の発動中に追加コマンドを入力することで発生し、観客にアピールすることが出来る。アクションコマンドと違い、技の効果には一切影響がない、純粋な「魅せ技」である。
「アピール」はその名の通り、観客に直接アピールすることで多量のおひねりを頂戴することが出来る。直接コマンドを入力する関係上、一回分の行動力を消費する。
観客もさるもので、アイテムをマリオたちに投げ込んでサポートしてくれる客もいるが、逆にお邪魔アイテムを投げ込んでくる客や、舞台に乱入して戦況をかき乱す客もいるなど、一筋縄ではいかない。
また、舞台そのものにも様々なギミックが仕掛けられており、上からたらいやバケツが落ちてきたり、背景の書き割りが倒れてきたり、スモークが発生して攻撃が当たりづらくなったりなど、まるでドリフのコントのような予測不可能のハチャメチャな戦闘を楽しむことが出来る。
ただ、予測不可能故に戦略が立てづらいという欠点もあり、人によっては煩わしいと感じるかもしれない。
個人的には、演出が強化された反面、戦闘のテンポが悪くなったように感じた。
キャラの動き自体は軽快で、ちょこちょこと可愛らしく動くため最初は楽しめるのだが、舞台演出が戦闘中にしばしば挟まるため、慣れてくるとどうしてもテンポが悪く感じる。
また、肝心の戦闘バランスも、中盤まではうまく機能していたように思うが、終盤になるとマリオが強くなりすぎてスペシャル技に頼ることもなくなるため、システムがほとんど機能していなかった。
ぶっちゃけ、数々の舞台演出はマリオ側に有利に働く場面が少なく、戦闘の障害にしかなっていないように思う。この点もいまいち残念に感じた。
バッジ
前作と同じく、今作もマリオも攻撃力と防御力はレベルアップによって成長しないため、唯一の装備品である「バッジ」で補強する必要がある。
バッジにコストが決められており、マリオのBP内に収まる範囲でしか装備できないのも同じ。
違いは、マリオのレベルの最大値が27から99へと大幅にアップしており、BPの最大値も30から99へとアップしている。
…勘のいい読者なら「あれ?だったら強力なバッジが装備し放題なんじゃ?」と思ったかもしれないが、その通りである。
このシステムを最大限活用したのがファンの間で有名な「HP5マリオ」。
簡単に言うと、HPが5の状態で発動するバッジを複数装備し、マリオを大幅に強化するという戦法である。ちなみにHP5の状態は、レベーラというキャラにわずかなコインを支払うことで簡単に実現できる。
この戦法の恐ろしい所は、「ピンチでガンバル」というHP5以下で攻撃力が2上がるバッジが複数手に入るため、攻撃力を簡単に強化できるということである。
参考までに言っておくと、リスクなく攻撃力が1上がる「パワープラス」のBPが「6」に対して、「ピンチでガンバル」のBPは「1」である。
つまり、同じBPコストで考えた場合、攻撃力に11もの差が付くことになる。しかもこの「ピンチでガンバル」というバッジ、街の遊技場で無限に手に入れることが出来る。
また、「HP5」の状態に不安を感じるかもしれないが、同じくHP5で防御力や回避率の上がるバッジが存在するため、意外と簡単にやられることもない。さらに、戦闘不能状態から自動的に回復する「きんきゅうキノコ」も前作に続き登場するため、総合的な耐久力も決して低くない。
こんな戦法を使えば、バランスもへったくれもなくなるのだが、実際に使ってみると結構気持ちがいい。
それまでが割とタイトなバランスだったこともあり、この戦法を解禁してからはマリオ無双状態となり、爽快感は非常に高かった。
特に、敵全体をジャンプで攻撃できる「ツギツギジャンプ」で雑魚を一気に処理したり、アクションコマンドが成功する限り敵にダメージを与えられる「レンゾクジャンプ」で強敵を瞬殺した時などは、無双シリーズで敵を一気に蹴散らしたときと同じような爽快感を感じることが出来た。
当然だが完全にバランス崩壊技なので、ギリギリの戦いを楽しみたい人は使わない方がいい。
自分としては、こういったシステムの裏をかいて意図的にバランスを崩す戦法は、むしろ好みだったりする。リメイクに当たって調整されるんじゃないかと危惧していたが、そのまま使えるようにしてくれたことに感謝したい。
気になる点
戦闘システムで気になった点は上述した通りなので、それ以外に気になった点を。
まずシナリオ面だが、妙に助長なイベントが多い。
例えば、モニーというキャラが恋人のピートに「百回愛してるって言って!」と要求するイベントがあるのだが、本当に百回言わされる。
てっきり途中で省略されるものと思っていたのだが、本当に百回分のメッセージ送りをさせられた。何が悲しくて人外NPCの痴話げんかの面倒を見なくちゃならないんだ…
それ以上に最悪なのが悪名高い「ホワイト将軍」に関するイベント。
ゲーム後半、この「ホワイト将軍」を捜索するイベントがあるのだが、それまで訪れた街を全て回った後、スタート地点まで戻ってようやく出会うことが出来るという、某サマルトリア以上にプレイヤーが振り回されるイベントとなっている。断っておくが、原作ですら2004年に発売されたゲームである。
しかもようやく探し当てたホワイト将軍はのんきに寝ていたため、彼を起こすために10回以上踏みつけなければならない。サマルトリアでさえ話しかけたらすぐに仲間になったぞ!
他にも、ステージ3のイベントで闘技場のチャンピオンになったにも関わらず、その後のサブイベントでは最低ランクから再び挑戦させられるなど、露骨な足止めイベントが今作は結構目立つ。
もっとも、闘技場はあくまでサブイベントなので無視することも出来るが。
逆にシステム面では、戦闘のテンポ以外ではあまり気になる部分はなかった。
あえて言うなら、アイテムの所持制限が相変わらず厳しく、ダンジョン内でアイテムが手に入っても活用しづらいことだろうか。
バランス調整の一環と言うのは理解できるが、すぐにアイテム欄が一杯になるため、新たにアイテムが手に入ってもいちいち捨てるか使うかの選択をしなければならず、正直煩わしいと感じた。
とはいえ、全体的には任天堂らしくプレイヤーへの配慮が行き届いた、非常にプレイしやすいゲームであると言える。
総評
マリオストーリーから順当に進化した、続編のお手本のような名作といえる。
シナリオは深みやボリュームが大幅に増しており、状況が次々と変化することもあってプレイヤーを飽きさせない。
戦闘も、テンポこそ悪化したが演出面は強化されており、マリオシリーズらしいコミカルなバトルが楽しめるものとなっている。
一部のイベントが助長なことが気になるが、総合的には欠点の少なく完成度の高いゲームである。
また、マリオストーリーの続編ではあるが、ストーリーの直接的な繋がりはないので、今作からプレイしても問題ない。
