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曲作りが進まないあなたへ|書評「Making Music: 電子音楽づくりの創造的戦術74選」

はじめに

ぼくの作曲のバイブルは、Abletonが発行している、Making Music: 74 Creative Strategies for Electronic Music Producers(このnote記事のタイトルはぼくの意訳)だ。

なにかに引っかかって曲作りが進まなくなった時には、この本を開いて前に進むモチベーションを得ている。

読みはじめた当時(2021年)はちょうどコロナ禍で、ありあまる時間を使ってはじめての洋書を読みたいという気持ちも高まっていたため、"都合よく"和訳されていないこの本を読むに至ったのだ。

ぼくは当時、Kindleで1,200円を出して買ったはずなのだが、全編が無料公開されている。いま気づいた。ブラウザ版だから、日本語に翻訳しながら読むこともできるはずだ。

どんな本?

↓こんなテーマの本。

(以下 意訳)

曲作りは壁だらけだ。そもそもDAWを起動する気力がわかないし、空っぽのプロジェクトの前でアイデアが湧かずに立ち尽くす。ようやくワンフレーズができたって、そこで止まってしまって5分のフル尺の曲にはなりやしないし、無理やり尺を伸ばした結果、展開も単調になる。結果。なんて素人くさい曲ができてしまったんだ。あーあ。もうやめやめ。

そんなあなたに!モチベーションを継続させる方法を伝授しよう!以下略。

みたいな本だ。

章立ては大きく3つに分けられている。

  1. Problems of Beginning (曲作りに手がつかない!)

  2. Problems of Progressing (曲がうまく展開できない!)

  3. Problems of Finishing (曲がうまく完成しない!)

ひとつひとつのTipsを細かく紹介しても意味がないので、自分がこの本の中身をどういうふうに解釈して、どういうアクションを取っているかを書いていく。

1.曲作りが手につかないとき

まあ、DAWは無理やり立ち上げたとしよう。でも、ぼくらは、DAWを立ち上げた瞬間の空っぽの画面の前でフリーズする。

どうするか。ぼくが身につけたアプローチは、大きく5つ。

(a)「シンセでいい感じの音色ができたらそこからGO」方式

とりあえず、Serumを立ち上げて、ノコギリ波をロードする。フィルタとエンベロープをいじって、いい感じにニョワニョワしてきたら、ユニゾンや歪み系エフェクトを足してみる。そして、モジュレーションノブに、カットオフやレゾナンス、その他お好みのパラメータをセットする。

モジュレーションノブを左から右に動かすにつれて、音がいい感じに激しくなっていったら成功だ。本当は3つ4つのモジュレーションをウニウニいじれるようにするのもオツなのだが、そうすると音色の管理ができなくなるので、ぼくは最終的にいじるノブは2つまでにしている。

あとは、録音しながらノブをたくさんいじって、よかったテイクを採用しながら曲を作り上げていく。たのしいよ。ちょっと、ハードウェア中心で作曲をしている人のアプローチに近いような気がする。右脳的、直感的アプローチだ。

しかし、Serumって、ウェーブテーブルシンセサイザーだから、本当にたくさんの波形がプリセットされているけれど、みんな、矩形波やノコギリ波、三角波といった基本波形が大好きだよね。ぼくもまだまだSerumを使いあぐねている。

(b)「既存の曲の構成要素をパクって全然違う曲を作る」方式

この方法では、DAWに既存の曲を読み込ませて分析する。

スペクトラムを分析したり、メロディを実際に打ち込んで「耳コピ」のようなことをしたりしながら、その曲のテンポ、コード進行、メロディのかたち、よく聞かないと気づかない隠し味などなどをひたすらに吟味する。その過程で、いいな!と思ったものをメモする。

1曲に1時間くらいかけたっていい。

これを数曲繰り返して、いいな!のリストを作り上げて、ブランクのプロジェクトを立ち上げる。

ここからは、元の曲たちのことは一旦わすれて、「いいな!」のリストのアイデアを使いながら曲を作っていくのだ。ぼくはしょせん、既存の曲に似せた曲を作るスキルなどないものだから、人の真似をしたとしても、元の曲とは似ても似つかないものが完成する。だから、ちょうどいいのだ。もしかすると、絶対音感があったり、コピー曲を作るのがすごく得意な人がこの方法を使ったら、元の曲に似すぎて、パクリ疑惑が出てしまうかもしれない。

とにかく、このやり方は、ぼくにとってはめちゃくちゃ強力だった。

(c)はじめて触る機材などを使って新鮮味を活かす方法

ブランクのプロジェクトを立ち上げたら、なんでもいいので、これまでに触れたことがないものをロードする。新しいシンセ、新しいリバーブ、新しいサンプルパック、ここ3年間触ってこなかった機材、なんでもいい。とにかく、その機材や音色を使って曲のコアを組み上げてしまうのだ。

ぼくの場合は、Ableton Suiteに同梱される大量のモジュールやサンプルパックを一つダウンロードしては曲作りにトライし、だめならその次、ということを繰り返している。

(d)「過去のゴミプロジェクトが実は宝の山」方式

先日、2020年以降のすべてのプロジェクトファイルを開きなおした。そうすると、宝の山が出てくる出てくる。

どういうことかというと、上の(a)~(c)で少し組み上げたものの挫折してしまったプロジェクトが山のようにあるのだ。この中には救いようのないプロジェクトも当然あるけど、今聞くと、「うわあ、これ、いいアイデアだけど、膨らませ方がわからなかったんだな!」というものがけっこうな割合で入っている。意外と、過去は立ち止まったけど、今なら曲として完成させられる場合も多いのだ。過去との自分との対話、たのしいので、とってもおすすめです。

(e)「きらいなジャンルのいいところを取り入れる」方式

これは、まだ手探り中なので、あんまり自分の言葉になっていない。

とにかく、きらいなジャンルを聴いて、そのなかのいい部分を取り入れてみろ、とのこと。

きらいっていうのはあんまりないので、これまでほとんど触れてこなかったジャンルとして、アメリカの1950年代ブルースを聴いてみた。

密な音とリズムの洪水で踊らせるクラブミュージックとは違って、空気でグルーヴを感じさせる雰囲気がある。これは、曲の中にあえて空白を作るアイデアに転用できた。単にキックを抜くといっただけではなく、1パートを除いて全部の音をミュートにするような…。

ここだけ浅い。浅すぎる。笑。もうちょっと修行が要ります。出直してきます。

2.曲がうまく展開できないとき

スタート地点は、とりあえず最初の難関をクリアし、「これは曲になりつつあるぞ!」と手応えを感じはじめた段階だ。ここまでくると、ぼくでいうと、4小節から16小節くらいのループはできている感じだ。

少なくとも、この小さなループとしてはカッコイイ!いけてる!っていう感じなんだけど、曲というのは3分とか5分といった尺が必要で、この「ループしている何か」を「曲」に育て上げないといけない。

これがなかなかにしんどいのだ。自分で「やっている」と言える解決策は1個しかないかなぁ。

既存の曲の展開をパクって今回の曲に当てはめてみる

まず考えられるのは、0(展開のないループ)から1(展開のある曲)を生み出そうとするのがしんどいのだから、すでにある曲の展開をまるまるパクってしまうことだ。ぼくは、展開づくりに苦しむみんなはそうすればいいと思っている。

展開って、べつに似たジャンル・似た曲から持ってくる必要もなくて、テクノをつくっているときに、お気に入りのハウストラックの展開やブレイクの入れ方を真似たっていいわけだ。

3.曲がうまく完成しないとき

さて。ここまでくると、5分の曲にはなっているけど、なんか素人くさいのである。とくに、楽器を右においたり左においたり、音量バランスをととのえてみたりして、荒削りだったトラックの身だしなみを整えるような作業がしたいのだけど、具体的にどうしたらいいかわからないのである。

ミキシング(音色の配置とか)を考える

ここで、基本的な概念をお伝えする。

音楽と絵画は同じだ。

ぼくはこれを知るまえと知ったあとで作品のクオリティが大きく変わったとおもう。

絵、たとえば風景画では、手前のものほど明るく、奥のものほど暗いか、くすんでいる。それは、現実がそうだからだ。空気が完全な透明ではないからってことだと思っている。

音楽もまったく同じで、手前ほど明るく、奥ほど暗いか、くすんでいく。それは、現実がそうだからだ。

絵画と音楽は同じ

さて、音楽でいう明るい・暗いとはなんだろうか?それは、音域、周波数帯である。メインを張ることがなく、奥の山々のようにくすませたい音色は、バンドパスフィルタとかを使って低音域・高音域の周波数帯をバッサリ削ってしまうのである。

音色によるEQ処理の違い

おわりに

曲作りが途中で止まってしまうそこのあなた。この本を読もう!ここでは紹介しきれなかった、もっと細かくてたのしいTipsがたくさん書いてあるよ。

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