【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第26回 「半天狗」
漫画「鬼滅の刃」に登場。
鬼舞辻無惨配下の「十二鬼月」にて「上弦の肆」として登場するそこそこの大物の鬼。
その見た目は老人の頭に角が生えた異形の姿をしているが、性格は臆病で常におどおどしており、「ひいいい!!」という悲鳴を上げている到底悪党とは思えない性格をしている。
しかしその反面性格は被害者意識が強く、常に「自分は被害者であり、他者は加害者」「世界で一番自分は可哀想」という思考回路をしている。
鬼舞辻無惨に113年に呼び出されたことで、無限城に集合するが、他のメンバーはお互いにマウントをとりあったり、口ケンカをしたりする仲、一人だけ怯えて地面に平つくばっていた。
そんな性格をしているからか、上司・鬼舞辻無惨からも特に何とも思わておらず以外にも「普通」「たまにうざいけど許容の範囲内」といった評価に落ち着いている。
なぜこんな奴を短気な無惨が粛清しなかったのか不明。
鬼の性質上人を食わなければいけないのだが、逆にここまで他責志向が強い彼だと人間を食い殺しても一切の後悔や未練は生まれていないのだろう。
人を食えば強くなる鬼の性質と彼が鬼の組織で幹部クラスの地位のある上弦に到達しているということを考えると、こいつは100年以上の長きにわたり他の人間を食い殺し生きていた、そしてそれでも自分は弱者と思い込んでいるまさに「傲慢」な性格をしている。
無惨に命じられて、「刀鍛冶の里の在り処の情報」という情報を元に同僚・玉壺と共に里に侵入。
また、玉壺は半天狗の事がうざくないのか、あるいは、そこそこ仲がいいのかどうやら一緒に刀鍛冶の里に飛ばされたようだ。
仲がいいならどういう会話をしているのか気になるところ。
里に侵入するや否やまるで夏に湧いて出る虫のように突如、炭治郎一行と遭遇。
このいきなり出てくる感じは正直「エイリアン」のようで、読んでいてゾッとしたのを覚えている。

流石にビビった一味からの攻撃を受けても泣きだし怯えて逃げるというまさかの珍行動を発揮。
しかしなかなかしぶとい半天狗は一行の攻撃をすりのけていく。
それでも、とうとう追いつかれてあっさり首を殺されて死んだ‥‥と思いきや、自身とは違い個性的な感情をむき出しにした複数の分裂形態を誕生させ、しぶとさを発揮する。
ここから半天狗の本領で、空喜・可楽・積怒・哀絶という喜怒哀楽それぞれの感情を司る四体の分身はそれぞれ鬼殺隊メンバーを攻撃、こいつらが想像以上に強く炭治郎は苦戦を強いられてしまう。
ちなみにこの複製体どもは、お互いに仲が悪くお互いに顔を見合わせると喧嘩を始めてしまう。
このあたり、恐らく半天狗は精神分裂症あるいは多重人格者の状態になっていたことが推測される。
ところが、なんとこの半天狗の浅ましさはそれだけではなく、なんと本体はミニサイズに変貌してこっそり逃げていた。
最終的に炭治郎にみつかってしまい、攻撃を受けるがこのミニサイズも実は皮膚が非常に屈強で攻撃を受けてもビクともしないというチートじみた性能を持っていた。
本体が攻撃されていると知ると、複製体のリーダーである積怒は他の複製体たちを強制的に吸収して、憎珀天という最終形態に変貌する。

この際に他の複製体は感情を消して恐怖の表情をあげていることから、自分の分身ですらも自分の生存のための捨て駒にしか見ていない半天狗の傲慢さがよく出ている。
この憎珀天は、どうやら鬼殺隊たちを「半天狗をいじめる悪人」と思い込んでおり、「悪人ども」と断罪し攻撃し始める。
これは恐らくビリー・ミリガンというアメリカの有名な多重人格者の中で、ビリー本人を守るべく屈強な人格が生まれたという話があるが、恐らくそれにかなり近いものがあるだろう。
半天狗は弱者であるからこそ、自分を守る楽な方向に逃げるという気持ちが強くその気持ちを反映した分裂体を生み出すという特殊能力を有していたのだ。
かなり強くしぶとい憎珀天に苦しむ一行であったが、炭治郎・善逸たちの追跡を受けてとうとう本体に追いつくことになる。
しかし、またここで半天狗は巨大な分裂体を生み出し、炭治郎を苦しめることとなる。
ところが、妹である禰豆子の協力もあり、炭治郎はようやく半天狗をしとめることに成功。
本体が倒されたことで、憎珀天と巨大な複製体も消滅。
殺される寸前に半天狗は自分の過去を思い出す…。
大正から遡り、江戸時代、半天狗は盲目の振りをして盗みを行う手癖の悪い小悪党として奉行所に捕まる。
ただの盗人ではなく、苦言を呈した他の盲目の人間を殺していた描写もみえる。
捕まった奉行(描写から察すると、恐らくほかの盲目の人間もあんまとして快く受け入れた人間の鑑である)から追及されるとなんと『この手が悪い』つまり『自分自身は悪くない』と言い出すなど、とんでもない回答をみせる。
奉行所はすでに、半天狗が過去の街で行っていた殺人や窃盗も知っており、死刑を宣告する。
しかし、死刑寸前で半天狗のすさまじいエゴに感服したのか鬼舞辻無惨がやってきて、彼から鬼に変える能力を得て、生存することに成功。
ついでに奉行も殺してしまい、それ以降は人ではなく鬼として生きることとなる。
また本編では描かれていないが、半天狗には過去に妻子がいたが、些細な事で逆ギレしてしまい妻子を殺した過去が描かれている。
なんと、生前からサイコパスであった半天狗。
とうとう彼の責任から逃げ続けた最期を最悪の形で迎えることとなるのだった。
さて、そんな半天狗であるが…ただ今の自分は被害者であり、他人の権利を侵害してもいいという安易なエゴイズムに走っている人間が多い世の中では、かなりリアルな悪役といえるのではないだろうか。
無論こんなことを書いている、俺もそうだろう。
皆の心の中には半天狗がいる。
自分こそ救われるべき弱者であると常日頃を思い、傲慢になっていないだろうか?
そんな時、半天狗はあなたをみつめている。
彼はただの漫画の悪役ではなく、誰の中にでもある他罰的なエゴイズムそのものなのだ。
ちなみにアニメ版では、半天狗本体は古川登志夫さんが演じ、複製体たちも山寺宏一さんや梅原裕一郎さんといった大物声優が演じ、半天狗のウザさ・狂気・不気味さを引き立たせている。
陰湿性:S(生前から殺人を繰り返している根っからの悪)
頭脳:B(複数の分裂体はそれなりに考えていたようだが、本体はそのような描写がない)
強さ:A(本体よりも強い分裂体を複数作成、かなり主人公を追い詰める)
主張:S(わしは悪くない!)
人望:B(無惨からの評価は「普通」、何が普通なのかわからない)
権力:C(権力はほとんどない)
