59歳。最近気づいた。「人生後半の旅は、出発前から始まっている」
■ はじめに:近年は「急がない旅」がテーマです
20代、30代、40代。
会社員時代の、毎週の出張。 プライベートの、あれもこれも詰めた旅行。 そして、55歳で独立してからの、張り切り全国出張。
気づけば私は、日本全国47都道府県すべてを訪れていました。
でも振り返ると、「旅をじっくり味わった」というより、表面だけを駆け巡ってきた感覚の方が強いのです。
そんな私ですが、ここ数年、ようやく旅の楽しみ方を変えています。
「数をこなす旅」から、「じっくり味わう旅」へ。
人生後半になって、今さらですが、そんな旅ができる心の余裕が生まれた気がしています。
■ ラグジュアリーより、その土地の空気
私たち夫婦は、高級ホテルや豪華な食事に、そこまでは興味がありません。
それよりも、
地元の活気あふれる市場
歴史を感じる古い街並み
地元の人に愛されるローカルフード
ゆらゆら揺れる路線バスや、珍しい野菜などが並んだ知らない名前のスーパーマーケット
「その土地の人たちの日常」に触れる時間が大好きです。
海外でも国内でも、 「もし、この土地で暮らしたらどんな毎日なんだろう」
そんなことを想像しながら歩き回っていると、気づけば1日2万歩、3万歩。 それもまた、私たちのいつもの旅の日常です。
旅の費用は、資産運用の中から無理せず、でも惜しまず使っていく。 それが、近年の家内トレンドです。
■ 実は、旅に出る前が一番楽しい
そして最近、私には密かな楽しみがあります。
風呂上りの時間帯に、パソコンを開いて、航空会社のマイル予約サイトで「空想のシミュレーション」を繰り返すことです。
この時間では、実際に旅に行くかどうかは、あまり関係ありません。
「この都市に行くなら、どの季節で、どのルートが最適解か」 「こんな飛行機の乗り継ぎも、旅情があって面白そうだ」 「何泊くらいが、ちょうどいい街かな」 「ホテルの立地はどこがいいかな」 「現地の移動は、鉄道にするか、長距離バスにするか」
そんなことを考えながら、画面の中で「架空の旅行計画」を立てる。 これが本当に、時間を忘れるほど楽しいのです。
隣で妻に呆れられるほど、私はこの時間が好きです。
航空券の予約ボタンは押さなくても、もう私の気持ちは、世界のどこかへ旅行をしています。
時には、本当に行くつもりになって、現地のYouTubeまで観て楽しんでます。
■ 飛行機が好きになった一冊の本
実は昔、飛行機での移動はどちらかと言えば苦手でした。 特に海外出張が続いた時期は、いつも「早く着かないかな」「また来週も疲れる飛行機か」と時計や時間ばかり見ていました。
そんな退屈で苦痛だったフライト時間が、ガラリと気分や考え方が変わったきっかけがあります。
マーク・ヴァンホーナッカー著の『グッド・フライト、グッド・ナイト』という一冊の本との出会いでした。
この、現役ボーイング747のパイロットが語った、その美しいエッセイを読んで以来、
「今、地球のどのあたりを飛んでいるんだろう」 「この雲の下には、どんな国や都市が広がっているんだろう」 「昔の人は、星を頼りにどうやって旅をしていたんだろう」
そんな風に、空の上でいつも考えて、心地よい時間を楽しめるようになりました。
せっかくの移動、その時間もすべて旅の一部として楽しもう。そう思えるようになったのです。
■ まとめ:次は、どこへ行こうか
若い頃は、いつも「いつかお金と時間ができたら、様々な国や場所へ旅行したい」と思っていました。
仕事と借金返済、そして子育てに必死で追われていた40代。 独立して、自分の仕事に夢中だった50代。
そして、59歳になった今。
「次は、どこへ行こうか」
そう考えている時間そのものが、今の私にとって最高の幸せです。
旅先で過ごす数日間が楽しいのは、言うまでもありません。
でも今の私は、飛行機のルートを調べ、 現地の市場やレストランを探し、 まだ見ぬ街を自分が歩いている姿を想像しています。
そんな時間こそが、「人生で一番贅沢な時間」なのかもしれません。
人生後半の旅は、 飛行機に乗り込む前から、もう始まっている。
今夜も私は、パソコンの前で世界のどこかを旅しています。
そして、隣でそんな私を見ながら、妻はきっと呆れた顔で言います。
「またいつもの旅行してるの?」
そんな時間も含めて、今の私は結構気に入っています。
