見出し画像

最後の外科医 楽園からの救命依頼

 

 本屋で何となく面白そうだと思い買いました。無免許で法外な診療報酬を取るけど、かなりの敏腕外科医カイが主人公です。まるでブラック・ジャックを彷彿とさせるキャラです。

 ブラック・ジャックと同様に彼の元にはあらゆる所から超困難な症例ばかりが舞い込みます。ブラック・ジャックは助手のピノコと共に崖の上の小さな家にいます。しかし、カイのいるところは銀座の一角です。

 一見すると煌びやかな所に合言葉を言うと開くドアの先と言う秘密めいた所に入るのです。中のスタッフは依頼を取り仕切るカイの昔馴染みの神園に敏腕ナース華と正体不明のハッカーことルシファーです。

 また、都内有数の大病院である播州会新宿病院が手術室を貸したりなどして後援しています。そんなカイの活躍を描く連作短編集です。今回初めて全5作品が収録されています。

 瀕死の重傷を負った大企業の御曹司、末期癌を押して世界タイトルに向かうボクサー、瀕死の心奇形の小学生の女の子、自分の顔を変えてまで身分を隠したい大女優に脳内にある弾の破片を障害なく取り除く手術が要求される傭兵と様々です。

 どの依頼も手術の難易度もさることながら、依頼主とその周囲を取り巻く人間が危ない連中ばかりなのでより難易度が高まります。時には依頼を断ろうとしますが最後には全力を尽くして倒れ込みます。

 依頼人の背景設定の見事さとここまでなるまでにカイが歩んできた壮絶な生き様が強く心に残ります。手術シーンの書き方もリアルでありキビキビとしていて読んで爽快感があります。

 カイの謎めいたキャラクターも興味を惹きつけます。最高に読み応えのあるさすがに外科医が書いているだけあると思えました。続編もありますので、益々楽しみに読んでいきたいと思えました。


いいなと思ったら応援しよう!