【タワーマンションはもうそんなにいりません】
1.そんなに多くのタワーマンションが必要なのでしょうか
都心3区は安全性も利便性も快適性も高いので、多くの対価を支払ってもそこで暮らしたいと思う人が多く、法的にも経済的にも合理的なので。タワーマンションが林立しています。隣接5区(文京、渋谷、品川、江東、隅田)でも既存の高度商業地域内や大規模再開発が行われる地域内にタワーマンションは建ち続け、周辺15区でもターミナル駅周辺に次々と建築されています。しかし、既存の商店街や街のコミュニティを破壊する結果になってしまうような再開発で、タワーマンションを建設するのはいかがなものでしょうか。
2.タワーマンションの魅力とは
東京カンテイの調査によると、20階以上のタワーマンションは、2025年12月末時点で1602棟(42万1782戸)前年比42棟増、2026年の速報値ではさらに39棟増の1641棟です。その魅力は窓やベランダから見える景色やきらびやかな夜景ですが、数週間で見飽きてしまいます。東京タワーやスカイツリーが数年後には、他のタワマンや高層ビルの建築で見えなくなることもよくあります。豪華な共用スペースも、数回使ったら飽きてしまいます。コンシェルジュが叶えてくれることは、有能な管理人と大差がありません。
3.眺望とプライドを維持するために不便な生活をしなくてはなりません
タワーマンションに住んで数か月すると、エレベーターの長い待ち時間がストレスになってきます。部屋の玄関を出てからエントランスホールまで6分~7分を要し、忘れ物を取りに戻ると15分を要します。宅配業者のために開錠してからも10分近くも待たねばならず、買い物は勿論ごみ捨てにも多くの時間がかかります。部屋から外に出るのがだんだん面倒になって、部屋の中にいる時間が多くなります。そんな暮らし方は特に高齢者や子供には、体にも心にも深刻な悪影響があるようです。
4.遮音性の悪さと災害時のリスク
建物の固定荷重を軽減するために、タワーマンションの建築には軽い資材を使うので、遮音性能が低くなってしまいます。隣の部屋の生活音や話し声が聞こえたり、排水管を流れる水の音や強風時の風切り音が聞こえたり、駅直結だと電車の騒音も聞こえます。そして、深刻なのは災害時のリスクです。2019年10月の台風による浸水で、川崎市武蔵小杉のタワーマンションの地下室が浸水して、電気も水道もエレベーターも使えなくなり、復旧までには1か月近くを要しました。
5.タワーマンションの修繕積立金は徐々に値上げされて高額になります
鉄筋コンクリート造のマンションの管理費修繕積立金の月額は1㎡当たり500円程度ですが、タワーマンションでは1㎡当たり1,000円~1,500円で、今後更に上昇が見込まれます。パネルで構成されている外壁の繋ぎ目に充填されているコーキング材は、10年ごとに交換しないと劣化して漏水が発生します。30年ごとに交換が必要な高性能ポンプや高速エレベーターは高額で、工事が高所作業になると労務費は通常の倍以上必用です。70㎡の部屋の管理費修繕積立金の合計額は、築後30年以降は15万円以上になるでしょう。
6.解体費や管理費修繕積立金を負担できるのでしょうか
タワーマンションが将来老朽化して危険な状態になったときに、組合員は解体費を負担できるのでしょうか。最古のタワマンとされる三田綱町パークマンションは、1971年に建築された鉄骨造19階建ての建物です。新築から55年を経た現在でも1㎡当たり260万円で取り引きされています。100㎡以上の住戸が多く価格はおよそ3.5億円です。このような立地の良いタワマンなら、敷地売却で解体費用を賄えますが、管理費修繕積立金の上昇で売り物件が増えて価格が下落したタワマンの所有者は解体費用を負担できるのでしょうか。
7.タワーマンションは終の棲家ではありません
1億円程度までのタワーマンションは、世帯年収1,500万円以上であれば、大企業や外資系企業のサラリーマンやパワーカップルでも購入可能です。3億円程度までの物件の購入者は、自営業者や開業医、ITや不動産関連企業の役員や財産家のシニアが多く、セカンドルームや投資目的での購入が約半数を占めています。地方の富裕層がセカンドルームとして、華僑などの外国人が投資目的で購入しています。国土交通省の調査結果では、2025年1~6月の東京都内のタワマンを含む新築マンションの購入者の3%の住所は海外でした。
8.コミュニティを破壊して空き家を増やしたら街は崩壊してしまいます
円安で割安感のある東京23区内の新築タワーマンションの住戸の一定割合は、投資目的で外国人が購入しています。彼らが管理費修繕積立金を滞納すると、その回収は簡単ではありません。転売目的の空室の増加は管理の障害です。所有目的や経済事情が異なる組合員間の利害は一致しないので、管理組合の運営は困難です。単に需要があるからという理由だけで、実需で購入してその街に住むのではない人が多数の部屋を所有するような、タワーマンションの建築は迷惑です。街に必要不可欠なコミュニティを壊してしまうからです。
9.都心の中古タワーマンションの収益価格を試算してみます
タワーマンションでの生活はそれほど快適ではないと気付き、最初は月額5万円だった70㎡の部屋の管理費修繕積立金がやがて15万円になることに、大規模修繕工事が実施される頃になると、工事費があまりにも高額なので気付きはじめます。そのまま所有し続けていると、売り希望物件が増えてきて、売却価格は下落し続けます。1㎡当たり5,000円で貸せても家賃は35万円なので、還元利回りを4%として計算すると、収益価格は(35万円-15万円)×12か月÷0.04=6,000万円です。その時の売却価格はそれ以下かもしれません。
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