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早めに頼んだのに待ちが出た朝、必要な時刻を伝え直す


朝の工場に、キーンという加工音が響いていました。

機械の横には、次の製品に使う材料と工具が並んでいます。ただ、交換に必要な段取り部品だけが届いていません。

段取り部品とは、機械を次の仕事へ切り替えるときに使う治具や部品、道具などのことです。これがないと、準備を進められない場合があります。

新人の私は、前日に早めにお願いしますと伝えていました。そのため、もう届いていると思い込んでいたのです。

時計を見ると、予定していた切り替え時刻が近づいています。手元は止まり、胸のあたりが少しざわつきました。

まだですか。

思わず出た言葉に、相手も困った顔をしました。依頼を忘れていたわけではなく、別の急ぎ仕事を先に進めていたようです。

こちらは早めのつもりでも、相手には必要な時刻が見えていなかったのかもしれません。では、待ちが見えた時点で、どのように伝え直せばよいのでしょうか。

1. 早めに頼んでも待ちが出る理由


早めにという言葉は、使いやすい一方で、人によって受け取り方が変わります。

今すぐに近い意味で受け取る人もいれば、今日中でよいと考える人もいます。複数の依頼を抱えている人なら、締め切りが明確な仕事を先にすることもあります。

ここで大切なのは、相手の動きが遅いと決めつけないことです。依頼する側が必要な時刻を言葉にできていなかった可能性もあります。

新人のうちは、急かしていると思われないか心配になり、言い直しにくいことがあります。ただ、時刻を伝えることは、相手を責めることではありません。

お互いの予定を合わせるための確認と考えると、少し伝えやすくなります。

2. 必要な時刻を数字に置き換える


伝え直すときは、早めにではなく、いつ使い始めるかを数字に置き換えます。

たとえば、午前十時三十分から段取りを始めるため、午前十時二十分までに必要です、と伝えます。使い始める時刻と、手元に欲しい時刻を分けるのがポイントです。

部品を受け取った後に、数量確認や清掃、取り付け準備が必要なら、その時間も含めます。十時三十分に使うから、十時三十分に届けばよいとは限りません。

必要な数量も添えると、相手は優先順位を判断しやすくなります。全部が間に合わない場合でも、最初に使う二個だけ先に届ける、といった調整ができるかもしれません。

時刻を細かく決める目的は、相手を縛ることではありません。できる方法を一緒に探しやすくするためです。

3. 相手が動きやすい順番で伝える


伝え直すときは、現在の状況、必要な時刻、遅れた場合の影響、相談したいことの順にすると整理しやすくなります。

たとえば、次の段取り部品がまだ届いていません。午前十時三十分から交換を始めるため、十時二十分までに三個必要です。難しい場合は、一個だけ先に受け取れるか教えてください、と伝えます。

遅れた場合の影響も、短く添えると背景が伝わります。交換開始が遅れると、次の加工開始も遅れる見込みです、という程度で十分です。

さらに、相手の返事まで確認します。何時ごろになりそうか、部分的に先出しできるかが分かれば、こちらも別の準備を先に進められます。

返事があいまいなときは、では午前十時にもう一度確認します、と次の確認時刻を決めておく方法もあります。ただ待ち続ける時間を減らしやすくなります。

4. 次の段取りに残したい小さな工夫


今回の待ちを、誰かの注意不足だけで終わらせないことも大切です。

依頼票や連絡欄に、使用開始時刻、必要時刻、数量、受け取り場所を書けるようにしておくと、次回から伝達がそろいやすくなります。

また、段取り開始の少し前に確認する時刻を決めておく方法もあります。たとえば、一時間前に部品の準備状況を確認すれば、届いていない場合にも調整する余地が残ります。

現場のムダは、手が止まった時間だけではありません。届くか分からず何度も時計を見る時間や、聞きに行くか迷う時間も、小さな負担になります。

必要な時刻が共有されると、作る側、運ぶ側、使う側が同じ時間の流れを見やすくなります。段取りを早くするというより、待ちが生まれにくい流れを整える考え方です。

新人のうちは、言い直すだけでも勇気が要るかもしれませんが、まずは使う時刻と手元に欲しい時刻を一つずつ伝えるところから始めてみてください。


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