【地方創生Phase0】AI格闘記⑫・Claudeの記憶喪失と正論の暴走。8班同時のハンズオン支援(後編)
プロジェクトが中盤に差し掛かり、各班の議事録や企画書などの資料が蓄積されてきたある日。
順風満帆だったAIとの協業に、突如として「システム上の巨大な壁」が立ちはだかりました。
絶望のエラーメッセージと「突然の記憶喪失」
壁打ちをしようとすると、突如こんな無機質な英語のメッセージが突きつけられました。
"Your message will exceed the length limit for this chat...""This conversation reached its maximum length. Please start a new chat."
「はあ? 何これ?」
そう思いつつ新しいチャットを立ち上げ、続きを質問してみました。
すると返ってきたのは、これまでの文脈を完全に忘れたトンチンカンで一貫性のない回答。
「使えん!」と腹が立ちました。
延命作業の泥沼
結局、Claudeに「これまでの重要情報を要約して」と頼み、それを新しいチャットの冒頭に貼り付けて記憶を引き継ぐという面倒な延命作業を繰り返すハメになりました。
12月の研修終了までに、全8班×3〜4回です。
優秀な副担任が、ある日突然記憶喪失になり、これまでのあらすじを読み聞かせなければならない。そんな状況でした。
AIの「正論の暴走」を、人間が間引く
もう一つの格闘は、「出力の制御」でした。
ある時、Claudeに「このプランの良い点を3つ、改善点を3つ挙げて」とリクエストしました。
すると、良い点はあっさりしているのに、改善点の方がやたらと細かく、異常なボリュームで返ってきたのです。
AIに悪気はありません。データから最適解を弾き出しただけです。
しかし、現場の人間を育成する立場として、これをそのまま研修参加者にぶつければどうなるか?
細かすぎる指摘は負担にしか感じられず、主体的な活動が「やらされ感」に変わってしまいます。
結局、彼らのモチベーションを潰さないよう、私が目を通し、AIの指摘を自らの手で「間引き(フィルタリング)」して伝えることになりました。
これこそが、AI時代のリーダーに求められる最も重要な「現場知」です。
AIは正しい。しかし、正しさをそのまま投げつけることが、必ずしも人を育てるわけではない。
相手の成長段階に合わせて、情報を「間引く」勇気。これは、AIには絶対にできません。
今年の戦略:NotebookLMとGeminiの頭脳プレー
この泥臭い格闘を経て、今年の研修では戦略をアップデートします。
本命の武器は、NotebookLMです。
NotebookLMの3つの強み
①記憶喪失にならない 長文を読み込ませても、トークン上限で途切れる心配がありません。12月の最終発表まで、安心して1つのノートで伴走し続けられます。これが最大の理由です。Claudeでは5時間ごとの利用制限もあり、これも課題となっていました。
②アップロードした資料のみを根拠にする Claudeのように勝手な推測をせず、的を外さないフィードバックをくれます。Claudeでは頻度は少ないですが、チャット欄が長くなると時折発生していました。
③班別に8つのノートを用意できる 採点基準や過去の様々な出来のプラン、私のレクチャーテキストを読み込ませ、それぞれの班専用の「記憶を持つ副担任」として機能します。これは昨年Claudeでも行い効果的でした。
Geminiで「プロンプト設計」を事前に練る
出力の暴走を防ぐため、今年は事前にGeminiと壁打ちを行います。
時期ごとの進捗に合わせ、「参加者のやる気を引き出し、やらされ感を生まないプロンプト」をGeminiに作らせるのです。
「プロジェクトの進捗度応じてフィードバックの数をコントロールしろ」という指示も含めて。
AIは万能ではない。最後は人間の「現場知」だ
AIは万能の魔法ではありません。
暴走もすれば、記憶喪失にもなります。
最後にプロジェクトを成功に導くのは、AIの出力を現場の温度感に合わせて「間引く」ことができる、人間の泥臭い「現場知」なのです。
昨年の失敗が、今年の戦略を磨きました。
8つの班を再び支援する日が、今から楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 「現場知工房」の今後の発信にもご期待ください。 スキやフォローをいただけると、これからも泥臭いAI実践知を届ける励みになります。
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