カラオケBanBanアプリ「検索させない検索」の舞台裏
こんにちは。
GENDAでプロダクトマネージャーをしている船坂です。
今回は、私が担当しているカラオケBanBan公式アプリの店舗検索機能を企画・開発した際の裏話をまとめました。
カラオケBanBanアプリとは
カラオケBanBanアプリは、全国のカラオケBanBanで使える会員向け公式アプリです。
アプリを開くとデジタル会員証が表示され、受付で2次元コードを提示すればチェックイン完了。来店や会計に応じてポイントが貯まり、会員ランクもアップしていきます。ランクの昇格で割引クーポンが増え、貯めたポイントやクーポンはそのまま支払いに使えます。
そのほかにも
クーポン/イベントのお知らせがプッシュ通知で届く
店舗検索・店舗詳細(場所、料金、フードメニューなど)の閲覧
といった、来店前・来店後どちらでも役立つ機能をまとめています。
本記事では、この中の店舗検索まわりをどう設計・実装したかにフォーカスします。

体験設計の流れ
1. そもそもの課題
旧バージョンは「会員証を見せる」「クーポンを使う」といった来店時専用 の使われ方が中心でした。
そのためDAU(Daily Active Users)は来店者数とほぼ等しい状態。運営側としては成長の余地がなく、ユーザーにとっても「紙の会員証と大差ない」と感じやすい状況でした。
そこで、ユーザージャーニーを「来店前」に遡り、起動タイミングを増やす機能として店舗検索を再設計することにしました。
(※旧アプリにも簡易的なWeb店舗検索はありましたが、使いこなすには慣れが必要でほぼ使われていませんでした。)

2. ユーザー行動の分解
どのような体験をゴールとするかを定めるため、店舗検索に関する現状のユーザー行動の分析から着手しました。

大ざっぱに分けるとこの3つの分類になります。
今回目指したのは、この3タイプすべてで地図アプリより速く・深い体験を提供することです。
3. 体験設計:近くならどこでも派 — 起動=答え に振り切る
上記の通り、「近くならどこでも派」はすでにGoogleマップで「カラオケ」と入力するだけで求める結果は得られています。
これを速さで超えるために、
「検索画面を開いた時点で、求めている店舗がすでに画面に表示されている(=検索しない)」ことを必須の要件として設定しました。
このターゲットが求めるのは「現在地に近い店舗」なので、体験は下記のように設計しました。
アプリ起動
店舗検索タブをタップ(位置情報を即取得)
距離ソート済みリストを表示(ゼロ入力)
検索ボックスに触れなくても「ここにしよう」が決まることを最優先。
ただし、位置情報NGのときはエリアで絞り込み→店舗リスト一覧表示の2ステップで妥協しています。

4. 体験設計:こだわり派 — マップアプリにない絞り込み を載せる
次に「こだわり派」です。この層は、滞在中の体験に対してのこだわりがあったり、カラオケで利用する端末(コマンダーと言います)の操作感や採点システムにこだわりがあったりするので、その条件を満たす店舗を求めています。
これらの店舗に付随する情報はGoogleマップではサポートされないため、カラオケBanBanの公式アプリとしての価値の出しどころとなります。
そのため、下記の条件で店舗を絞り込む事ができるようにしました。
利用できるコマンダーの機種(DAM / JOYSOUND の各機種)
設備・サービス(24H営業、フリーWi-Fi、ソフトドリンクバー、ファミリールーム、駐車場など)

5. 体験設計:行きつけ派 — お気に入り店舗をトップ画面に常駐
最後に「行きつけ派」です。この層は、基本的には行きつけのお店に行くので、店舗検索とは縁がないように思われがちですが、店舗の混雑状況は毎日違ったり、いつもと違うメンバーで行くときの料金体系がわからなかったりと、店舗情報を調べるシーンがあることがわかりました。
そこで、アプリ内に新規で店舗のお気に入り機能を搭載。
お気に入りした店舗には、アプリを起動後1タップで店舗情報ページに遷移 / 店舗へ直接電話ができるように、専用のビューを設けることにしました。
お気に入り登録は 最大 10 件
起動時の初期画面にお気に入り店舗の中で最近来店した3店舗までがトップ画面に出現
1 タップで店舗詳細・電話へ

6. 実装中に決めたこと・捨てたこと
設計をするにあたり、検討したものの採用しなかったアイデアもありました。
主要なものをご紹介します。

どちらも、パッと見ると良さそうな機能ですが、企画初期に目的を明確にしていたことで、機能を落とすことができました。
このおかげで実装コストも下がり、当初の計画より1ヶ月以上早くリリースすることができました。
カラオケBanBanは、全国数百店舗で毎日たくさんのお客様にご利用いただいています。
リリースが1ヶ月早くなるだけで、使っていただけるシーンは数千から数万増えることになるので、とても大きなメリットです。
リリース後の変化
DAUはおよそ1.5倍に
DAUあたりの来店者率が減少
→“店選びフェーズ”での起動が増えた証拠
条件を追加設定していない検索の実行回数が9割以上
→「近くならどこでも派」がゼロ入力で目的を果たせている

定性的なユーザーコメントは収集中ですが、ひとまず定量指標は設計意図通りに動いており、アプリにプラスの効果を生んでいることがわかります。特にアクティブユーザー数の伸びは想定以上で、「ユーザージャーニーに沿って新しい起動タイミングを作る」ことの強力さを改めて実感する事になりました。
これから
今回のリリースで、カラオケBanBanアプリは「来店前に開かれるアプリ」 に近づきました。
次は「開いた人が“行きたい”と思う仕掛け」をどう作るかがテーマです。
具体的な施策はまだ書けませんが、引き続き、ユーザーにもっとカラオケBanBanを楽しんでいただくための機能を計画しています。
まとめ
既存の最適解(Googleマップ)をベンチマークに体験目標を設定
検索強化≠入力欄を増やすこと
近く派→ゼロ入力 / こだわり派→独自絞り込み / 行きつけ派→お気に入り常駐
UIを削り込むほど “迷わず決められる体験” ができ、結果DAUが伸びた
同じような課題をお持ちの方の参考になればうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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