『デジタル社会に抗う人と暮らす』携帯電話を持たない妻との28年
悟りの境地
先日、妻が仕事で外出中、自宅の固定電話が鳴り、私が出ました。
電話の相手は、知人から紹介を受け、妻に仕事を依頼したい旨で、
初めて連絡をした様子。
電話相手「奥様の携帯電話の番号を教えて下さい。」
私「申し訳ありません。妻は携帯電話持ってないんです。」
電話相手「え?」 しばし沈黙。
私「ご要件をお聞きして、こちらからご連絡させて頂きます。」
私は、要件と連絡先を聞いて電話を切りました。
珍しく、ふたりの娘が隣にいましたが、私達三人は、このやり取りの
電話を25年以上続けています。
長女「もうこうなったら、逆に最後まで、携帯持たないで欲しいわ。」
次女「私もそう思う。持ったら、私のママじゃなくなるから。」
私も子供たちの意見に同意。三人は、「悟りを開いた」のでした。
私の記事も10本目になりました。記念して、今回は、妻の事を書きます。
携帯電話を持たない理由
妻は、ピアニストです。
30年近く前、携帯電話が普及し始めた頃、マナーが確立していなかったのでしょう。演奏直前に、客席の携帯電話が鳴り、集中力が切れて、良い演奏ができなかったようです。
それが原因で、携帯電話への印象が悪くなったのです。
(問題は、携帯電話自体ではなく、使用した人だと思いますが。)
付合い出した当初、私は、携帯電話の利便性を説明しましたが、
妻「別に不便を感じないし、首輪をつけらてた犬みたいで、そんな物に縛られたくないわ。」
その考えは今でも変わりません。
アナログ至上主義者の日常
今でも妻は、フィルムカメラを愛用しています。
自家用車はマニュアルです。
私もマニュアル運転が好きなので、問題ありませんが、娘二人は、教習所でマニュアルを選択する事に。免許取得に苦労して、ここは、ブーイング。
次女が会社の人に自宅の車がマニュアルだと説明すると、
「お母さん、走り屋?」と聞かれたらしいです。
公衆電話がどこにあるかは、めちゃくちゃ詳しく、市内主要箇所はすべて把握しているようで、妻「市内の公衆電話はすべて、私の物。」
電車の中では、紙の本を読み、はがきや手紙を頻繁に書き、年賀状はかなり減りましたが、今でも100枚以上書いています。
「アナログマイノリティ」に社会は優しくあって欲しい
妻は、ある意味、「マイノリティな生き方」をしていて、自分のポリシーに忠実で、「知恵と勇気」で人生に対峙しています。
国民の80%以上がスマートフォンを所有し、社会基盤が「スマートフォンありき」になる中で、世の中が効率化を図るのは、理解できます。
しかし、マイノリティに優しい社会を目指すのであれば、「アナログな人達」への対応もお願いしたいです。
デジタル社会を俯瞰する
妻に「スマートフォンを持たない人生」で感じた事を聞いてみました。
・子育ての時に、ママ友同士がSNSのやり取りでトラブルを起こした。
・謝罪や重要な要件をメールで済ませるのは、「その対応、人として
おかしくない?」と感じている。
・スマホで撮った写真は、その場で終るが、フィルム写真を撮った人に
渡すと、その時の事を思い出し、喜ばれ、感謝された。
便利さにより、人としての本質を失う事があると感じているようです。
もうひとつ、妻と話し合った事は、私達は、「周りの方への感謝を忘れない」です。「妻のこだわり」のために、皆さん(娘たちも含め)に迷惑をかけながら、協力して頂いたおかげで、長年、妻は、フリーランスで仕事ができているからです。ですから、私達も、周囲の方の価値観を尊重し、共に歩む事が大切なのです。
この頃の変化
自宅の留守番電話とFAXは大活躍ですが、さすがに、メール対応を迫られ、数年前から、パソコンのメールは使用しています。当初、周囲は、その進化に驚きの声ばかりだったとか。
自分の演奏の録音は、レコーディングウォークマン(カセット)でしたが、故障で修理に出すも部品がなく、使用を断念。仕方なく買い換えたICレコーダーはリニア録音対応。(一体、何世代飛び越えた?)
印刷された楽譜の集約が必要と感じ、また、複数の楽譜を持ち運ぶ際、妻の年齢ではキツイ様子。そこで、「楽譜のデジタル化」を始めました。ipadを購入し、徐々にですが、楽譜をPDF化し、「譜めくりフットペダル」を使用して、ipadの画面を見ながらの演奏にも挑戦しています。
ipadの使い方も四苦八苦のようですが、子供たちの応援もあり、何とか使いこなしているようです。
でも、スマートフォンを持つ気配は、一切なく、冒頭のように、私も、娘達同様に妻が何処までデジタル社会に抗えるかその結末を見たいと感じています。
おっと、この記事を書いている途中、妻のipadから「猫達の写真」が送られてきました。ちょっとはデジタルの良さが分かったか?
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