「親の期待をそっと裏切った少女」と「不良を続ける同級生」に見る 抗いとインモラルの正体
人は成長すると「変わる」ものだと、どこかで信じます。しかし、「変わらないこと」にも同じくらいの勇気が必要です。
最近、「変わる」と「変わらない」の正反対のふたりの人の事を思い出しました。ひとりは妻のピアノ教室に通う中学一年の女の子で、もうひとりは中学時代の同級生です。ふたりの姿を並べたとき、私の中で「成長」や「自分らしさ」の揺らぎを感じました。そして、「抗い」や「反逆」には自我を貫く強さが必要なのです。
親に従順だった少女のちょっとした「抗い」
妻のピアノ教室に通う生徒さんのあやみさん(仮名)。この春、中学校に進学したばかりの女の子で、家が隣なので数秒で来られます。
環境が変わってもピアノは続け、親の言う事を聞く「ちゃんとした子」というのが私の印象です。だからこそ、ある日聞いた彼女の選択は、私の中に小さな引っかかりを残しました。
お父さんは、いわゆる「士」的な職業で個人事務所を構えていて、教育熱心なご家庭で、あやみさんは、有名私立中学を受験し、希望校に進みました。ご両親は音楽に造詣があり、自分達が吹奏楽部だったので、あやみさんにも吹奏楽部に入る事を強く勧めたのです。しかし、彼女は両親の許可もなく、黙って合唱部に入りました。その行動は、私にとって意外でした。
妻の話を聞く限り、あやみさんは、今まで親御さんの意に反する行動がありませんでしたが、初めて「自分がこうしたい」というものが出たのではないかと思いました。
「自分を貫く生き方」をしていた同級生への羨望
以前、50歳になった頃、中学の同窓会がありました。
ひとりの同級生が姿を現しました。影山君(仮名)、中学当時、いわゆる不良少年でしたが、中途半端というか、ビビリというか、小物感がある子でした。私は、仲がいいわけではありませんでしたが、ちょくちょく馬鹿話をした覚えがあります。
そんな影山君の同窓会での姿は、革ジャンにリーゼント、鎖のアクセサリーをつけ、中学の雰囲気そのままで、言葉使いや下品な会話も全く変わっていなかったのです。「ドン引き」している同窓生もいましたが、大半は、彼の会話に大笑いし、大いに場を盛り上げてくれました。
私の隣にいた女子の同窓生が「影山君、全然変わってないね。あんな風に人生が送れるなんて、羨ましいわ。いつまでもあんな感じでいて欲しい。」と話しました。周りに居た人達は、激しく同意して、頷きます。
人は歳を重ねるごとに落ち着き、同調圧力を感じる傾向にあり、自分のスタイルを貫き通すのは難しいものです。しかし、それを実践している彼に私達は羨望の眼差しがあったのです。
「背徳」に惹きつけられる私達
あやみさんは「親の期待」から脱却し自我の欲求が芽生え、影山君は「周囲にどう見られようが構わない」という外界からの独立があるといえます。ふたりには、外部の目や期待と内なる欲求とのせめぎ合いのなか「自分で選び、行動する」強さを感じます。
「ダークヒーロー」や「背徳」がテーマの小説や映画は多数あり、善悪という基準ではなく、そこには「貫く」という生き様があります。
私たちが、冒険、孤独、無頼といった強い生き方に惹きつけられるのは、無意識のうちに「独立心」が駆り立てられるからかもしれません。
今の時代「いいねと空気」が正解だという風潮があり、自分の選択がどこまで正しいか時々わからなくなります。しかし、「自分の意思を貫く何か」で人間は成長するとも感じます。
私自身、人生の中であまり反抗してこなかったのが良かったのか、悪かったのか今だによく分かりません。しかし、「ワル」への憧れがあるのも事実です。ですから、管理職に就く私としては、部下から「抗い」を受ければ厄介だと思いますが、それを真摯に受け止める事が組織や部下にとっての成長だと考え、会話していくことにしましょう。
皆さんも日常の中で人を傷つけない程度のちょっとした「不道徳」な発言などしてみると、何か違う景色がみえるかもしれませんよ。
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