全体像を見せる授業実践例⑩「見たことを説明させる」だけで授業が変わる。
みなさんこんにちは、数学meganeです。
全国の教員のみなさん、1学期本当にお疲れさまでした。
1学期も残すところあと1週間となってまいりました。
ここまでノンストップで全力疾走してきたからこそ、この夏休みは有意義に過ごしたいですね!
私は家族との時間を大切にしながらも、2学期からの動きや取り組み、授業の構成を考えたり、noteの執筆をしたりなど、やりたいことがたくさんあって、今からかなりワクワクしているところです。
みなさんは、この夏休みをどのように過ごしていく予定ですか?
ぜひ、教えてください。
前置きが少し長くなってしまいましたが、今回の記事では、「見たことをそのまま説明する」「分かるまで何度も説明する」ことの重要性を実感した授業実践についてまとめています。
参考になる部分があるとうれしいです。
【1年生 数学 1次方程式の解き方「移項」について】
パーツ①「活性化」(全体像)
⇒板書には
x+3=7
x+3( )=7( )
x=( )
を提示した状態にしておきます。
T:「全員起立。前回の復習です。( )に入る数を、ペアに言ったら座りましょう。どうぞ。」
T:「では○○さん、ここは?」
T:「これ何してますか?用語をしっかり使ってペアに説明。」
S:「両辺に-3をして、xの値を求めます。」
T:「いいですね。xの値のことをなんて言いましたか?ペアと確認。」
S:「解です。」
T:「はい、数学の用語を使いこなせるようにしましょう。それでは、ノート開いて、日付、タイトル書きましょう。」
⇒等式の性質を使って解いたことを思い出させます。
前時に「両辺」や「左辺」「右辺」などの言葉を確認していたので、説明の時にみんなが意識して使うことができていました。
本時は「移項」を学習し、「もっと効率よく解いていく」ことを目標にしていきます。
パーツ②「例題①」
⇒ x-6=1を板書しておきます。
T:「今日はもっと効率のいい方法で方程式を解いていきます。その名も「移項」と言います。どういうものか、板書します。よーく見ていてください。」
⇒「移項」を使った方程式の途中式を丁寧に書いていきます。
移項した瞬間の途中式を書いた際には、すぐに次の式にいくのではなく、少し全体の表情や目線を見ながら、あえてゆっくり書きます。
「あ~…なるほどね!」「ん?どういうこと?」といった表情を見逃さないためです。
そしてさらに言えば、ゆっくり書くと、生徒が「なぜそうなるのか」を考える時間にもなります。
T:「これが「移項」を使った解き方です。「移項」って何すること?ペアと議論。」
⇒手前で、あえて「移項」の部分をゆっくり書いて意識づけさせたのと、色を変えているので、どこが「移項」なのかは分かっています。
あとは、「見たものをそのまま言葉にできるかどうか」にかかっています。
ここはかなりしつこくやっています。
T:「○○さん。「移項」って何すること?」
S:「え~と…。左から右に移った…?」
T:「もう少し!用語もしっかり使いたい!もう一度ペアでみんな議論して。」
T:「○○さん。「移項」って何すること?」
S:「左辺の数が、右辺に移ること?」
T:「惜しい!99点!あと少しです。もう一度ペアで議論してください。」
S:「マイナスがプラスになって、動いている。」
T:「そう!符号が変わるってことですね。最後に「移項」って何すること?ペアに解説。」
S:「左辺の数を右辺に、符号を変えて移動すること。」
T:「その通り!よくできました!今日やるのはこれだけ!」
⇒ここまで何度も話し合わせることで、“全員”が見たことを再現できるようになります。
そして、最後にこのしょうもない一言がさく裂します。
T:「みなさん、「“移項”はイコールを飛び越えて“いこう”」です!」
⇒突然のダジャレに驚いた生徒もいましたが、すぐに反応が返ってきます。
S:「あははは(棒読み)」
S:「くすくす」
⇒生徒はニヤニヤしながら、この状況を楽しんでいます。そこで、畳みかけます。
T:「ここで全力で笑えないとは…。残念です…。担任の先生に伝えておきます。」
⇒真顔でこの一言をみんなにぶつけます。
すると、生徒はさらにニヤニヤし始め、気遣いの言葉をかけてくれます。
S:「え?先生、おもしろかったですよ?(笑)」
少し前の記事でお伝えした「しょうもない一言」ですが、これが意外と効きます。
その後の授業でも、何人かの生徒がぼそぼそと「イコールを飛び越えていこう!」と言っているのがなんだかおもしろかったです。(笑)
パーツ③「練習問題」
⇒ここからは自由に動いて問題をたくさん解いていく時間です。
用意していたのは全部で6問。
ただし、例題1問だけでは理解できているか把握できないので、6問のうち、最初の1問目は私に持ってくるようにします。
例題とほぼ同じ類題なので、全員が余裕でクリアしていきます。
他の5問に関しても、ただ適当に問題を選択しているわけではありません。
(2)左辺から右辺に移項したときに、-になる方程式
(3)右辺が0になっている方程式
(4)左辺のxと数の順番を入れ替えている問題(x-3=8ではなく、-3+x=8のような)
(5)左辺に負の数を入れた方程式
(6)最後に両辺を割らなければいけない方程式
それぞれに必要な知識や技能があり、それらを問題を解いていく過程で学習することができます。
学力の厳しい生徒も、協働しながら全問クリアすることができていました。
パーツ④「難問シリーズ&振り返り」
⇒ここでは、難問シリーズとして① 4-x=2 ② 3x-2=x+10を提示します。
①は解の書き方を間違えることがよくあります。
よくあるのは「-x=-2」で終わってしまうというパターン。
こういうちょっとしたミスをしてしまう問題を難問シリーズに当てはめてみるのも面白いです。
②は次時の予習的な問題です。
できる生徒はこういう問題にもチャレンジしていきます。
振り返りを書く時間の時には、「移項」とは何をすることか、をまとめるようにします。
机間指導しながら、学力の高い生徒にはこんなことを小耳に入れます。
T:「「移項」って実は移動しているわけではない。等式の性質を利用した知識です。次の時間、移項の本質を少しやりたいから、○○さんは「なぜ移項できるのか」を考えて書いてみて!」
次時につなげるために、そういう仕掛けを入れておきます。
実際にその生徒が書いた振り返りがこちらです。

次の時間は、最初にこの振り返りを全員で分析するところからスタートします。
本質はとても大切ですが、私はやはりまず「できる」をつくりたい。
それにより、全員が同じ土俵に立つことができる。
今回の授業では「移項の本質」にはほとんど触れていません。
問題も「x+〇=△」のパターンしか取り扱っていません。
しかし、そこまで限定するからこそ、全員が「移項」を使いこなすことができるのです。
そして、使いこなせているからこそ、3x-2=x+10こういう問題でも、「右辺から左辺」が存在すること、そしてやることは変わらない、という全体像が見えてきます。
もちろん学力の高い生徒はもっと問題を解きたいと思うでしょう。
そういう生徒への対応もしっかり準備しています。
しかし、その上で、教え合いを大切にする気持ちも育てていきたい。
今回はしつこいほど「見たことを説明する」活動を取り入れて、技能を習得させる授業を紹介させていただきました。
意外と「見たものを説明する」ことも中学生にとっては難しいのです。
しつこいくらいがちょうどいい。
どんどん、説明活動を取り入れていきましょう!
このnoteでは、
・授業でそのまま使える教材・授業展開
・思考力を育てる問題
・実際の授業実践、指導のコツ
を中心に発信していきます。
忙しい中でも「これなら使える」と思ってもらえるような、現場目線の即戦力になるような教材を届けたいと思っています。
