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押入れの中のくま。10

ヒトの体をしたくまくんは、
さっきから冷蔵庫を全開にしたまま、
ずっと中を覗き込んでいる。

(くまくん、用がないなら、閉めて。
電気代、高いんだよ)

くまくんは、諦めたように
冷蔵庫をそっと閉じた。

「レイちゃん、食べるものが
なんにもないよ」

くまくんは、しょんぼりした顔で
私の方を見た。

――恐れていた事態が、ついに来た。

(くまくん、今日はお買い物しようか?)

「えっ? お買い物?
お外に出られるの?」

(うん。でも、約束事、守れそう?)

「人前で、レイちゃんと声をだして
話しちゃだめなんだよね?」

くまくんは、
得意げにそう言った。

好奇心でキラキラした目を見て、
やっぱりダメとは口が裂けても言えなかった。

――この任務、
無事に遂行するしかない!!


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