季節はずれのかき氷
「こちらでお召し上がりですか。」
「えっテイクアウトもできるんですか。じゃ、(恥ずかしいから)テイクアウトで…。」
「あっすみません。店内のみでした。」
そんなやり取りをしつつ心の中で店員さんに謝る。いや、小声ですみません、と謝ったかもしれない。暦の上では春、とはいえ、この季節にかき氷を頼むのは私くらいだろう。珍しい注文に気が動転して不思議な質問をしてしまったのも無理もない。でもメニューにあるってことは頼んでもいいんだよね。
ここは新潟県の商業施設のフードコートを中心に展開するファーストフード店。ソフト麺にミートソースをかけたイタリアンなるものが看板商品だ。でも私の目当てはかき氷。流行りのふわふわ天然氷ではない。ゴリゴリの、氷の一粒一粒がはっきり主張するかき氷だ。あの、夏祭りで300円くらいで売っているかき氷。昨今どこの店でもふわふわ氷ばかりの中でここだけはこのチープなかき氷(褒めてる)を続けてくれている。しかも通年出してくれる。ふわふわにはない食べ応え、ガツンとくる冷たさ。たいして暖房が効いていないフードコートで食べると寒さで震える。
ぜひ一度寒い時に極端に冷たいものを食べてみてほしい。視界がぼやけてきてちょっとふらつく。こんな(抱えなくていい)リスクを抱えてでもときどき無性に食べたくなる。なんでこんなに好きなんだろう。かき氷ブームなのに君は違うねって仲間はずれにされている感じがかわいそうだからかな。かき氷って言ったらゴリゴリだよねえ。このチープな感じがたまらないんだよね。ふわふわブームにおされて肩身が狭いだろうけど、ずっとこのままここにいてほしい。私がたまに食べてあげるから。
えっ?夏はコメダのかき氷ばかり食べてるでしょ、ですって?
あ、うん…そうね、うん…
器の中で、全く溶ける気配がないかき氷がまだ何か言いたそうだったので急いで口にかき込んだ。
頭がキーンとした。
