AIエージェントによる医学英語論文執筆"vibe writing"(Codex/Claude Code/Antigravity対応)
イントロダクション
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更新履歴
2025.10.13 初版
2026.02.06 モデル選択とCodexデスクトップアプリについて追記(GPT-5.3CodexでなくGPT-5.2推奨)
2026.02.08 Skillsをベースとした設計に変更してより自動的に。修正歴による好みを反映させる機能も追加
2026.02.22 Claude Code、Antigravityでの利用方法について追記
2026.03.10 モデルはGPT-5.4推奨
2026.03.29 アップデート:サブエージェントに対応しSkillのチェーンを切れ目なくするように改善
2026.05.09 アップデート:Reviewer対応の出力を改善、PDFからの参考文献取り込み、1
つの引用文献の複数箇所利用に対応
2026.06.27 アップデート:引用文献周りの改善、細かいbugの改善
2026.07.20 初心者向けに導入部を全面改稿
知見が蓄積されたり新しいツールが出たら加筆していきます。本技術を取り巻く環境は非常に速いスピードで変化していますので出来る限り最新の知見にアップデートするよう努めて参ります。加筆に伴い値上げさせていただく可能性がございます。
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まえがき:この執筆フローが解決する課題と対象読者について
ChatGPTをはじめとするLLMの登場により、論文執筆の効率は劇的に向上しました。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出す過程で、多くの研究者が共通の「手間の壁」に直面しているのではないでしょうか。
こんな「手間の壁」に心当たりはありませんか?
面倒なコピー&ペーストの往復作業 😫
イントロダクションの構成を練るために、ChatGPTのWebUIとWordの間を何度も行き来します。少し修正するたびにコピペが必要で修正箇所を探すのにも手間がかかります。修正が厄介な文献管理ソフトとの連携 🔗
一度Zoteroなどの文献管理ソフトで引用情報を埋め込んだ後にChatGPTで修正するのは文献のリンクが切れてしまうので厄介です。検索と引用のスムーズではない連携 🔎
論文検索のベースがChatGPTになりつつあり、いざ本文に引用を挿入する段になると結局Zoteroなどの外部ソフトを介さなければならず、ワークフローが分断されて面倒に感じます。投稿誌に合う参考文献スタイルが見つからない 🧷
投稿先のCSLファイルが見つからなかったり、見つけても微妙に形式が違っていることがあるため、最終的にCSLを手動で微調整することになり、確認に時間を奪われてしまいます。査読対応や再投稿に伴う大規模修正の煩雑さ 🔁
査読コメントの一つひとつに対応して本文や図表、レスポンス文書を更新する作業や、投稿規定の異なる別誌へ再投稿するたびに語数・タイトルページ・CSLをすべて直す必要があり、想像以上に時間と手戻りが発生してしまいます。
そもそも「AIエージェント」とは?
本ガイドで使う「AIエージェント」とは、チャット画面の中だけで答えを返すAIではなく、あなたのPCの中のフォルダを直接読み書きできるAIのことです。Web版ChatGPTが「隣の席の相談相手」だとすれば、AIエージェントは「原稿フォルダごと渡して作業してもらえるアシスタント」です。
具体的には、次のような違いがあります。
Web版ChatGPT:あなたが本文をコピーして貼り付け、返ってきた文章をまたWordに貼り戻す必要があります。修正のたびにこの往復が発生します。
AIエージェント:「Introductionのこの段落を直して」と頼むだけで、フォルダ内の該当ファイルをAIが自分で開き、修正案を提示し、あなたが承認すればファイルを直接書き換えてくれます。コピペの往復が消えます。
本ガイドに登場する Codex(OpenAI)、Claude Code(Anthropic)、Antigravity(Google)は、いずれもこの「エージェント型」のツールです。中身のAIモデル自体はWeb版と同じものなので、賢さは変わりません。変わるのは「AIの作業場所があなたのPCになる」という点です。
このワークフローで何が起きるか:全体像
本ガイドのワークフローは、突き詰めると次の4ステップです。
① 材料を渡す
チャットに「アブストラクト(草案で可)」「解析結果・図表」「投稿予定誌の投稿規定」を貼り付けます。ここが人間の主な仕事です。
② AIが設計図を作る
AIが投稿規定を読み込んでプロジェクトの「法律」として固定し、要件定義書と論文の計画書を作成します。不足している参考文献はPubMedを検索して候補を提示してくれます。
③ 承認しながら本文が育つ
Introduction → Methods → Results → Discussion の順に、AIが草稿を「変更案(diff)」として提示します。あなたは内容を確認してOKを出すか、修正指示を出すだけです。文献の引用も自動で挿入されます。
④ ワンコマンドでWord完成
make qa というコマンド一つで、全セクションが結合され、引用番号と参考文献リストが投稿規定どおりに整形されたWordファイルが出力されます。修正したくなったら、元の原稿を直して同じコマンドを打つだけで何度でも再生成できます。
査読が返ってきたら、コメントをそのままチャットに貼り付ければ、対応方針の一覧 → 本文修正 → レスポンスレター生成まで同じ要領で進みます。ジャーナルを変えて再投稿する場合も、新しい投稿規定を貼るだけで語数・書式・引用スタイルの調整案が出てきます。
構成指示・根拠データ・引用情報がすべてプロジェクトフォルダに一元管理されるため、Web版ChatGPTのようにチャット履歴が分断されることがなく、共同執筆や査読対応でも変更履歴を追跡できます。「AIによる自動化」と「研究の再現性」を両立させるのが、このワークフローの狙いです。
近年プログラミング領域では「Vibe coding」という発想が広まりました。AI研究者のAndrej Karpathy氏が「programming by vibe」と表現したツイートを契機に、英語など自然言語で意図(vibe)を与え、LLMにコード生成を進めさせる潮流が注目を集めています。初めて耳にする方には、仕様書の骨子を自然言語で提示し、LLMが試作→評価→改善のサイクルを速く回す設計思想だと捉えていただくと分かりやすいです。
もっとも、Vibe codingは「無計画に任せる」と破綻しやすいことでも知られています。最初に要件を定義せず、評価基準や入出力仕様、禁止事項を曖昧にしたまま生成を始めると、方針の揺れで収拾がつかなくなります。論文執筆も同様で、AIに丸投げする段階にはまだ到達していません。本ガイドのワークフローは、Vibe codingの利点を取り込みつつ、要件定義と計画で暴走を抑える設計になっています。
安全設計:AIに原稿を壊されない仕組み
「AIに自分のPCのファイルを直接触らせるのは怖い」と感じる方は多いと思います。もっともな不安ですが、本ワークフローは三重の安全装置の上で動くように設計しています。
① 承認制(diff)
AIは修正を勝手に実行しません。必ず「変更前・変更後の比較画面(diff)」を提示し、あなたが承認して初めてファイルに反映されます。気に入らなければ却下するだけです。
② Gitによるセーブポイント
フォルダ全体の状態をいつでも保存でき、何が起きても任意の時点に巻き戻せます。ゲームのセーブ&ロードと同じ感覚です。執筆の節目ごとにセーブする習慣を本ガイドの手順に組み込んであります。
③ 元データとの分離
解析データや図表はAIから「参照される」だけで、AIが書き換える対象は原稿ファイル(Markdown)に限定する運用にしています。研究データそのものが壊れることはありません。
つまり、最悪のケースでも「セーブポイントに巻き戻してやり直す」だけで済みます。むしろ、上書き保存しかないWordでの作業より安全とも言えます。安心して試してください。
最初に押さえる用語8つ
本ガイドには耳慣れない用語がいくつか登場しますが、必要なのは実質この8つだけです。すべて「Wordでの作業に置き換えるとこういうもの」という感覚で捉えて構いません。
Markdown:飾りのないシンプルなテキスト形式。# 見出し のような記号で構造を表します。Wordより軽く、AIとの相性が抜群です
リポジトリ/プロジェクトフォルダ:論文一式(本文・図表・文献リスト)をまとめた作業フォルダのこと
diff(ディフ):修正前と修正後の違いを赤(削除)・緑(追加)で並べて見せる画面。Wordの「変更履歴の表示」に相当します
Git(ギット):フォルダ全体の「セーブポイント」を作れる仕組み。いつでも好きな時点に巻き戻せます
Pandoc(パンドック):Markdownの原稿をWordファイルに変換してくれる無料ツール。引用文献の整形も自動でやってくれます
CSL:参考文献の書式(Vancouver形式など)を定義したファイル。ジャーナルごとに差し替えて使います
ターミナル:PCに文字で命令を出す黒い画面。本ガイドで打つコマンドは数種類だけで、すべてコピペで済みます
Skills:AIエージェントに渡す「作業手順書」。本ガイドのテンプレートに同梱済みなので、自分で書く必要はありません
忘れたらこの表に戻ってきてください。ここから先は、これらの用語を断りなく使います。
このガイドの対象と、正直な難易度について
本ガイドは、プログラミング経験がなくても、手順を上から順に実行すれば動くように書いています。実際、必要な操作の大半は「コピーして貼り付ける」「表示された変更案を確認してOKを出す」の繰り返しです。ターミナルで打つコマンドもすべて本文からコピペできます。
ただし正直にお伝えすると、環境によっては途中でエラーメッセージに出会うことがあります。そのときに、
エラー文をそのままAIチャットに貼り付けて「これを解消して」と聞いてみる
分からない用語を検索してみる
という姿勢さえあれば、ほぼ確実に乗り越えられます。エラー対応こそAIエージェントの得意分野なので、「詰まったらAIに聞く」を合言葉にしてください。
逆に、環境設定のトラブルを一切自分で調べたくない方や、まずAIでの論文執筆自体を試してみたい方は、Web版ChatGPTを利用した執筆方法(別記事・継続更新中)から始めることをおすすめします。本ガイドはその次のステップとして最適です。
なお、筆者の動作確認は主にmacOSで行っており、Windowsでの挙動確認は限定的です(WSLの利用を推奨します)。不具合があればXのDMやnoteのコメント欄でお知らせください。
科研費申請のやり方とセットだと少しお得です。
コンセプトの応用性について
このガイドで解説する中核的なコンセプト、すなわち「ローカルのエディタ上で、AIへの指示書と根拠となる情報を構造化して渡し、執筆させる」という原理は、応用が利きます。本ガイドでは主にCodexデスクトップアプリを推奨環境としていますが、Claudeのデスクトップアプリ内のClaude CodeやAntigravityでも同様のワークフローを実現できます。原理的にはClaudeやGemini CLIといった他のツールでも同様の環境を構築可能です。本ガイドではCLIツールの具体的な解説はありませんがそれらのツールを使っている方はレポジトリ内で操作すれば同様に活用可能です。
さらに、本ガイドで構築するワークフローは、査読コメントへのリビジョン対応や、投稿規定の異なるジャーナルへ再投稿する際の調整も自動化できるように設計しています。チャットにコメントや新しい投稿規定を貼り付けるだけで、必要な差分の洗い出し、変更計画の提示、本文やタイトルページ・CSLの更新までを一貫して提案してくれるため、大規模な修正でも手戻りを最小限に抑えられます。
推奨ツールの選び方
ツール選びで迷う必要はありません。答えは次の質問で決まります。
Q. どのAIサービスに課金していますか?
ChatGPT(Plus/Pro)→ Codex を使います
Claude → Claude Code を使います
Gemini → Antigravity を使います
迷ったら:ChatGPT に課金しているなら「Codexデスクトップアプリ」一択です。本ガイドもこれを主軸に解説します。
以下、それぞれの特徴を補足します。細かい違いにこだわらない方は、ここは読み飛ばして準備編に進んで構いません。
🥇 第1推奨:Codexデスクトップアプリ
UIがWeb版アプリに近い感覚で直感的に操作でき、セットアップも簡単です。Automationによる好みの自動反映機能もデスクトップアプリから利用可能で、本ガイドのワークフローとの相性が最も良いです。個人的な印象としてClaudeより能力が高くWeb版と同様に検索機能が強いのも推奨理由です。
🥈 第2推奨:Claude Code デスクトップアプリ(Cowork)
Claudeを普段から使っている方にはこちらが馴染みやすいです。Claude Codeよりも非エンジニアには取っ付きやすいです。長文・複雑な改変に強く、実装能力が高いと評判です。ただし、ストレスなく使うには月100ドル以上の課金が必要になる点は留意してください。
第3推奨:Antigravity
Geminiに課金している場合は無料枠が大きく利用できます。Geminiはエージェントの動きがやや不得手と評判ですが、モデル選択でOpus 4.6も使えるのでそちらを選ぶのもありです。しかし検索機能はGeminiはやはりイマイチな印象です。
その他の選択肢
Cursor(単体/+Codex):
VS Code派生でAI統合が深く、マルチファイル改変に強いです。OpenAI/Anthropic/Google等のモデル切替が柔軟ですが、CursorとAPIの二重課金が必要になることもあり、筆者は使っていません。
Obsidian +(Gemini/Codex):
Markdownの閲覧・発想・軽い推敲が快適です。プレビュー・折りたたみ・内部リンクに強みがありますが、Vault横断の自動一括改変は弱い可能性があります。
詳細比較(こだわりたい人向け)
同じCodexやClaudeでも、「デスクトップアプリ」「IDE(VS Code等の拡張)」「CLI(ターミナル版)」という3つの使い方があります。違いは操作性です。
デスクトップアプリ:Web版に近い感覚で最も取っ付きやすく、本ガイドの第1推奨です。
IDE(VS Code+拡張):ファイル一覧・差分表示・検索置換が強く、「見ながら安全に直す」作業に向きます。Windowsユーザーはこちらが基本です。
CLI(ターミナル版):処理をスクリプト化でき、査読対応の一括変換など大量処理に強い上級者向けです。学習コストが高いため、本ガイドでは扱いません。すでにCodex CLI/Gemini CLIを使っている方は、同じレポジトリ内で操作すれば本ガイドのワークフローをそのまま活用できます。
実務では「デスクトップアプリまたはIDEで設計・確認し、慣れてきたらCLIで反復処理を自動化する」という組み合わせが好相性です。
本ガイドの解説 はCodexデスクトップアプリを主軸とし、VS Code+Codex拡張での操作も併記します。 デスクトップアプリの直感的な操作性を活かしつつ、必要に応じてVS Codeのファイル可視性・差分確認機能を補完的に使う運用を想定しています。
このシステムの癖と運用コツ(メモ)
総論
このシステムはWeb版ChatGPTと比べて指示解釈が慎重で厳密です。誤操作を避けるために自動推測を抑えており、文章生成でも“察して”動くより明示された命令に忠実に振る舞います。したがって、事前に要件定義と計画を明確化しておくことが大切です。設計が定まっていれば、その後の工程は安定して自走します。 最近はそこまで気にしなくても良さそうです。
以下に色々細かい解説が書いてありますが、全部読まなくても大丈夫です。分からなくなったら「次はどうすればいい?」とAIに聞いてください
癖1:指示の粒度を細かく求める
抽象的な指示では意図を汲み取らず、最小限の変更しか行いません。GPT-3.5/4時代のように対象・操作・基準が明記された詳細な指示を必要とします。
対策
曖昧な語を避け、どのファイルのどの要素をどう変えるかを具体的に書きます。
癖2:文意変更が全体に波及しない(ことがある)
単語の置換は自動で全体に反映されますが、主張や前提を変える修正は周囲に波及しないことが多いです。
具体例
ある段落で「AはBである」を「AはCである」に変えても、近くの「AはBであること」を前提にした記述は残ったままになることがあります。つまり、前提変更に伴う前後関係の再構成は(明示しないと)自動で行われないことがあります。
対策
前提を変更した箇所の周囲も確認・指示してください。
「AはBである」前提で書かれた文を検出させる指示を足します。
修正箇所リストを確認します。
癖3:文章が淡白になりやすい
おそらくモデルが(文章ではなく)コーディング最適化されている影響で、文章が簡潔で淡白になりがちです。同じ指示でも、CodexやGemini CLIよりWeb版ChatGPT、Geminiの方が文章としては洗練される傾向があります。
対策
論文執筆では、02_plan.mdを詳細に設計して構成を固め、内容の厚みを補います。
学術文書は「平明・一貫・再現可能」で十分です。高尚な文体である必要はないという考え方もありだと思います。
最終仕上げだけWeb版ChatGPT、Gemini等で文体調整する。
運用上の注意点
実務ではフルオート設定でも途中で処理が止まり追加指示が要ることが多いです。ただし要件と計画が明確なら、後半は自動処理で安定します。現状は「自走力の弱さ」が仕様ですが、モデルが進化すれば介入頻度は減っていくかもしれません。人の操作時間はWeb版ChatGPTよりも短いと思いますが、AIの処理待ちの待機時間は長い場合があります。通知設定を活用すれば他作業と並行できます。
通知設定(Codex IDE拡張)
VS Code設定:`task.notifyWindowOnTaskCompletion` を有効化するとタスク完了時にOS通知が届きます。
拡張機能:「Background Terminal Notifier」等で長時間処理の完了通知を得られます。
OS通知:macOSでは「システム設定 > 通知」でVisual Studio Codeを許可します。`osascript`や`terminal-notifier`で任意コマンド完了時通知も可能です。
Slack連携:Codex IDE拡張のSlack通知機能で完了イベントをチャンネルへ転送できます(要組織設定)。
まとめ
細かい指示ほど正確に動きますが、自動的な文脈修正は行われないことが多いです。
要件定義と計画の精度が自動化成功の鍵です。
処理はやや遅めでも通知を使えば効率は維持できます。
不具合やうまく行かない点があればXのDMかnoteのメッセージ機能、もしくは記事のコメント欄で教えてください。ユーザーの環境要因の部分には私が対応困難な可能性があります(特にWindowsでの挙動は確認していません)。以上の点をご理解いただいた上で、執筆プロセスを次のレベルへ進めたいと考える研究者の方に、このガイドをお届けします。
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英語論文作成と科研費申請をAIで行う方法の解説セットです。論文作成ではAIエージェント(Codex/Claude Code/Antigra…
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