踊っているのでないのなら踊らされているのだろうさ
別れた女と半年振りに行き合ったのでホテルに誘った。一応渋るような応対をされたが、もともと体の相性は悪くない。平日の昼間っぱらから、『レトロホテルポコルペ』の暖簾をくぐった
「ダンス、ダンス、ダーンス」ってスティーブン・パーシーも歌ってるね。
女の名はU子、ルッキズムに抗って姿形の描写はしないが、敢えて言うなら一から手作りのカニクリームコロッケを振舞ってくれた子だ。感動したね。
グラハム・ボネットにはダンサーがあるね。
回転ベッドに壁やら天井やらに貼られた鏡、昭和レトロという奴? 感動するね。何と無く横目で見ると、素っ裸でへこへこ腰を使ってる自分の姿がやけに滑稽で、思わず目を背けちゃった。
もんたは「ダンシング・オールナイト」って叫んでたけど、それは無理。ご休憩は2時間だし、次の予定もあるしね。
彼女さんに悪いよね。
U子は言うけど、お前の方こそ俺を切って別の男に走ったのにそいつについてはどうなのと、何やら複雑な気持ちになる。
デカダンス・ダンスざんす。ヌーノ、ファンキーに決めてくれ。
俺の上、体を揺らしながら、お立ち台で気怠く踊るような感じでね、俺の名前でない名前を口にする、K子。と、俺も女の名前を間違えてる。
どうでもいいや、踊り明かしちゃおうぜ、デイヴが歌う。
明日の夕食はコロッケだと妻が言う。彼女はカニクリームコロッケを作ってくれない。めんどくさいのだと言う。そうなのかと俺は思う。
「踊り続けろ、baby ,baby」、ポールが叫ぶ。
ポーコ・ルーペ、音楽用語。少しずつ崖に近づくように不穏に。
K子はミョーザを作ってくれたな。妙な餃子で、ミョーザ。
М子はポークビッツ入りのカレー。
チョータイム終了。大谷クン的に言うならば。
目眩く1時間はこれで終わり。
わんこと踊れ!
了
