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70歳で、はじめてソロアルバムを録った。——Ibrahim Ferrer『Buena Vista Social Club Presents Ibrahim Ferrer』

1998年3月、ハバナ。
Estudios EGREMに、Ry CoderとNick Goldのプロデュースで録音が行われた。 靴磨きをして生計を立てていた男が、スタジオに呼び戻された。
1999年6月8日、World Circuitからリリース。その年のラテンアルバム米国トップ10入りを果たした。

Ibrahim Ferrerというシンガー
1927年、キューバ・サンティアゴ・デ・クーバ生まれ。
幼少期に両親を相次いで亡くし、路上で歌いながら育った。オルケスタとの共演でキャリアを積んだが、ソロとしての機会は長年与えられなかった。
Ry Cooderに「ラテンのナット・キング・コール」と評された この男は、Buena Vista Social Clubのセッションに呼ばれたとき、すでに音楽を引退して靴磨きをしていた。
それが、70歳での奇跡的な再出発となった。

Buena Vista Social Club Presents Ibrahim Ferrer』という一枚
1999年6月8日リリース。World Circuit Records。全11曲。
プロデュース:Ry Cooder、Nick Gold。参加ミュージシャン:Rubén González(ピアノ)、Cachaito López(ベース)、Amadito Valdés(ドラムス)、Omara Portuondo(ボーカル)、Manuel Galbán(ギター)、Eliades Ochoa(ギター)ほか。
第42回グラミー賞にてBest Tropical Traditional Latin Performanceノミネート。初のラテン・グラミー賞ではFerrer自身がBest New Artistを受賞した。
——70歳で、はじめてソロアルバムを録った。
「Bruca Maniguá」の冒頭から、Ferrerの声が空間を満たす。
老いた声ではない——枯れた声だ。長い時間をかけて削ぎ落とされた、余分なものが何もない声。Rubén Gonzálezのピアノがその声に寄り添い、「Herido de Sombras」のボレロでは翳りが深く沈む。
「Marieta」の5分55秒はソンの豊かさを存分に味わわせ、「Silencio」では静寂そのものが音楽になる。
「Como Fue」でOmara Portuondoとデュエットするとき、ふたりの声の間に、キューバの20世紀が全部詰まっている気がする。

どんな夕暮れに聴いてほしいか
何かが遅すぎたと思っている夕暮れに。
間に合わなかった夢でも、先送りにしてきた何かでも。
このアルバムは「遅すぎることはない」と言わない。ただ、70歳ではじめてソロアルバムを録った男の声が、静かに鳴っている。
それだけで十分だ。
ハバナのスタジオで録られたこの声は、時間を超える。

TRACKLIST
1 Bruca Maniguá
2 Herido de Sombras
3 Marieta
4 Guateque Campesino
5 Mamí Me Gustó
6 Nuestra Ultima Cita
7 Cienfuegos Tiene Su Guaguancó
8 Silencio
9 Aquellos Ojos Verdes
10 Qué Bueno Baila Usted
11 Como Fue

70歳で、はじめてソロアルバムを録った。
幻音社


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