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皇位継承議論における「当事者不在の中の人権軽視」の異様さについて ― 皇室会議に限定的提案権を与えるという考え方


皇位継承問題議論に対する違和感

  私は、最近の皇位継承問題をめぐる議論を聞いていて、強い違和感を覚える。

 もちろん、皇位継承は国家の根幹に関わる重要問題である。

伝統。
憲法。
国民統合。
歴史。
制度の安定。

 そのどれもが軽いものではない。

 だが一方で、現在の議論は、あまりにも「当事者不在」ではないだろうか。

 皇位継承問題の中心議題として、性別、結婚、出産、養子縁組といった、本来、極めて個人的な問題が公の場で討論されている。

 しかも、その対象は、自ら望んで皇族になったわけではない人々である。

 こうした議論を繰り返している人々は、自身や家族が、そういった立場に立たされた場合のことを少しでも考えたことはあるのか。

 

 皇位継承問題議論の中で、
「皇族の人権や尊厳といったものが、あまりにも軽んじられている」ことに危機感を覚えている。

 もちろん、天皇家はもちろん、宮家を含む皇室は一般家庭ではない。

 完全に私人と同じ自由を持つわけではないことも理解している。

 しかし、
「公的存在だから」という理由で、
一人の人間としての尊厳まで軽視され始めれば、

皇族だけではなく、公的立場にある者、社会的地位の高い者、ひいては一般国民の人権軽視にも繋がりかねない。


 そもそも、現在の皇室制度には、構造的欠陥がある。

 皇室制度の当事者である皇族方が、
ほぼ完全な受動的存在として扱われており、それが当然とされている。

 もちろんこれは、
天皇・皇族の政治関与を避けるという、日本国憲法上の重要原則によるものだ。

 だが、その結果として、

「外側の政治や世論だけが議論を進め、
 当事者側には発言権がほとんど全く与えられていない」

という極端過ぎる状態になっている。


皇室会議に対する限定的提案権の付与

 私は、この構造そのものを少し調整する必要があるのではないかと思っている。

 そこで考えたのが、

「皇室会議に限定的な提案権を与える」

という方法である。

 もちろん、これは、
皇族に政治権限を与える
という話ではない。

 重要なのは、
「決定権」ではなく、
あくまで「提案権」に限定することである。

具体的には、次の二段階を想定している。


第1段階

皇室会議の提案権に関する皇室典範改正

 内閣主導で、

「皇位継承に関わる重要事項について、
皇室会議が政府に対して制度改正の素案・意見を提出できる」

という限定条項を皇室典範に追加する。


 ここで重要なのは、
政治責任の主体を最後まで政府・国会側に残すことである。

 つまり、

皇室会議
↓(意見・素案)
内閣
↓(法案提出)
国会
↓(審議・議決)

という構造である。

最終決定権は、あくまで国会にある。

 したがって、
これは「皇室による政治決定」ではなく、
「政府による制度設計変更」である。


 当然、この第一段階では、

・皇族の政治介入ではないか
・事実上の政治圧力にならないか
・政府が皇室を利用しないか

といった強い批判が出るだろう。

 だが、その批判の矛先は、
皇室ではなく、
制度変更を行う内閣へ向かう。


 私は、それで良いと思っている。

 本来、この種の政治責任は、
政府が負うべきだからである。


第2段階

新ルールに基づく運用

新制度の下で、

① 皇室会議が、当事者の尊厳に配慮した制度素案を作成
② 内閣が、素案を踏まえ、必要な修正の上法案化
③ 国会が国民代表として審議・議決

を行う。

 ここで重要なのは、
皇室会議が国家意思を決定するわけではないという点である。

 あくまで、

「当事者側の制度的意見表明ルート」

を限定的に設けるだけである。

 私は、
現在の皇位継承議論には、
この“制度的緩衝地帯”が必要だと思っている。

 もちろん、この制度設計には大きな難しさがある。

 特に日本では、
「陛下のお気持ち」
という言葉が持つ影響力は極めて大きい。

 法的には単なる提案でも、
政治的には強い重みを持ち得る。

 だからこそ、
・提案権範囲の限定
・議事運営の慎重化
・超党派的合意形成
・政府による政治利用の抑制
など、多重の安全装置が必要になる。

だが、それでもなお、
現在のように、

「当事者の人生だけが公の場での討論の対象となり、
 当事者には一切の発言権が無い。」

という極端な状態を放置するべきではないと思う。

 皇室を政治化してはならない。

 しかし同時に、
皇室を“完全な無言の存在”として扱い続けることも、
また危ういのではないだろうか。


まとめ

 私は、

今回の皇位継承問題の議論を機会とし、

皇室を、
「国民統合の象徴」のまま、
その人権に配慮し、

政治権力化はさせない」

そのための制度改革を、
真剣に考える時期に来ているように感じている。


古稀ブロガー(シンちゃん

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