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手に入る「愛(LOVE)」と、手に入らない「愛(LOVE)」。 『In the House of Love(2006)』 / Dimitri from Paris

ディミトリ・フロム・パリ(Dimitri from Paris、以下ディミトリ)はトルコ生まれ、フランス・パリ出身のDJ/ハウスミュージシャン。

フランス南部のローカルラジオ局のDJとしてキャリアをスタート。
1986年にヨーロッパ最大のFMラジオネットワークNRJへ転属し、担当を務めたハウスミュージック専門番組『NRJ Megamix』にてフランス国内に初めてハウスミュージックを紹介。

1996年リリースの1stアルバム『Sacrebleu』が世界的ヒットを記録。
マイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ビョークといった世界中の一流アーティストのリミックスワークの他、シャネル、エルメス、イヴ・サンローランといったオートクチュールブランドのランウェイサントラを手掛けるなどワールドワイドに活躍し、ダフト・パンクらとともに90年代のフレンチハウスムーブメントを牽引した。

他方で2000年にリリースした自身初のMIX CD『A Night At Playboy Mansion』がこれまた空前のグローバルメガヒット。
70〜80'sのソウル、ファンク、ディスコをガラージュハウスマナーで解釈した華やかでスタイリッシュなリエディットが特徴で、世界中の主要クラブでレジデント(専属契約)DJを務め、オシャレでハイソなセレブレティ御用達の大人気DJとしても全世界にその名が轟いている。

さてさて、今回紹介する『In the House of Love(2006)』は、イギリスの名門ハウスレーベルDefectedが企画するMIX CDシリーズ『In the House』の一環でリリースされた作品で、ディミトリは2004年リリースの『In the House』に続く同シリーズ2度目の登場となる。

本作のコンセプトはズバリ「LOVE」。
タイトルに「LOVE」を冠した楽曲がズラリと並ぶノンストップMIX CDで、ディミトリらしい洒脱で通な選曲センスは大前提だが、とにかくディミトリのリエディット&リミックスワークの素晴らしさが際立つ傑作となっている。

DJっていうのはただ昔の良い曲をディグってMIX(繋げて)して流せばいい、ってもんじゃなく、リエディット(Re-Edit=再編集)、時にはリミックス(Remix=加工)を駆使しながら、実際のフロアでプレイした際に現行のダンスミュージックと並んでも音負けしないよう音圧もピッチも調整し、スッカスカな原曲にはあらゆるリミキシングでグルーヴ感を纏わせ、それでも原曲の魅力を失わせない、という非常に高度な勘所を求められる仕事である。

例えば、今っぽい極太バッキングのEDMに繋いで70'sのモダンソウルなんかをサラで流して、ダンスフロアの熱気を一気に冷ましてしまうのが「下手なDJプレイ」「ダメなDJ」の典型である。「音薄っ」「ビート弱っ」みたいな。

流れるように絢爛で煌びやかなディスコティークナンバーで埋め尽くされている本MIX CDだが、実際に一つ一つの原曲を聴いた時の「アレ?」感はやっぱりスゴイし、それは逆に言えばディミトリのリエディター、リミキサー、ひいてはDJとしての類い稀な手腕の裏付けなのである。

Down To Love Town(1976) / The Originals

Lookin' for Love(1979) / Fat Larry's Band

The Glow Of Love(1980) / Change


上記に貼ったオリジナル3曲は私もMP3で所有しているが、やっぱり下記に貼った本作『In the House of Love(2006)』に収録されたバージョンの方が断然「ノれ」るし「踊れ」るし「洒落」てる。
これぞディミトリのリエディットの魔術。世界随一のハウスDJたる所以である。

In the House of Love(2006) / Dimitri from Paris

CD盤は3枚組で、DISC3はリエディットトラックのアンミックス(繋がずにトラック分けされてる)CDになっていて、CDJのボリューム調整だけでフロアプレイしたい、みたいなDJ達にも優しいパッケージング。
アンミックスのLP盤は現在、海外では平均100〜500ドルで取引されているほど人気&品薄だが、国内だとまだ乱相場状態なので、あまり価値がわかっていない中古屋さんが激安で売り飛ばしているような今のうちが買いかもしれません。1,000円で買って10,000円で売れちゃうかも。
「LOVE」がコンセプトのアルバム紹介でコスいMONEYの話で締める。
これこそ良くないDJプレイです。


ちなみに自分、プリンスの『I Wanna Be Your Lover(1979)』なんかはオリジナルじゃなくてディミトリのリエディットバージョンばっかり聴いてます。普段踊らない人も踊り出したくなる極上リエディットです。

ちなみにこれも曲名に「LOVE」入ってますが、『In the House of Love(2006)』には収録されてません。アンオフィシャルなプロモ盤の音源なのでCD化もされてません。中古で出回ってる12インチもバカみたいな値段です。残念。

まだまだこの世界は自分の手に入らない「愛(LOVE)」で溢れているようです。

これはいい締めでしょう。

Prince - I Wanna Be Your Lover(2011)/ Dimitri From Stoke On Trent

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