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「雲をはこぶつばめ」 #3つのお題に空想のひらめきを

青空をつばめが飛んでいる。

鳴上は作業の手を止めて、空を見上げた。
「今年もこの季節が来たか」
鳴上はそう言うと、手拭いで汗を拭った。

「おーい、つばめ小屋を開けるぞー」
鳴上は母屋に向かって大声で呼びかけると、つばめ小屋へ向かった。

鳴上がつばめ小屋の戸を開けると、乾いた土と藁の匂いが流れ出した。
小屋の奥の壁には、たくさんのつばめの巣があった。

「じいちゃん、上の窓開けるよ」
鳴上の背後から、環助の声がした。
「おう。頼むぞ」
鳴上がそう答えると、環助は壁に立てかけられた梯子を、慣れた様子で上がっていった。
環助が上の窓を開けると、日差しが差し込み、つばめ小屋の中が明るくなった。

「明日から、取り掛かるぞ」
「任せといてよ、じいちゃん」

次の日。
鳴上と環助はつばめ小屋に雲を運んでいた。
つばめ小屋に雲の山が出来上がると、二人はその横に座り込んだ。

鳴上は手慣れた様子で、ひんやりとした雲を風呂敷に包むと、上に放り投げた。
その風呂敷を、つばめが空中で器用に咥えて飛んでいった。

環助も、雲を風呂敷に包んだ。
形を整えて放り投げると、一羽のつばめが危なげなく咥えて飛んだ。

「環助もだいぶ上手くなったな」
「えへへ」

「わしらの仕事ぶりで、梅雨が決まるからの。いい加減にするんじゃないぞ」
「わかってるよ、じいちゃん」
二人は黙々と雲を包んで、つばめに運んでもらった。

数日経つと、すっかり慣れた環助は、鼻歌交じりに作業していた。
環助は風呂敷に、もうひとつ雲を押し込んだ。
それに気がついた鳴上が雷を落とした。

「環助、それはだめじゃ!」
しかし、鳴上の制止は一呼吸遅かった。
環助が放り投げたぱんぱんに雲が詰まった風呂敷を、つばめが咥えて飛んでいった。

「馬鹿者!雲を詰めすぎじゃ!」
「えっ?詰めすぎはいけないの?」
「一箇所に雲が集まりすぎる。このままでは線状降水帯が出るぞ」

鳴上の心配通り、その年は、線状降水帯が発生してしまった。
環助は落ち込んでいた。
「ごめんよ、じいちゃん。まさかこんなことになるとは思わなかったんだ」
「わしらの仕事はとても重要なものなんじゃ。環助も肝に銘じておくことじゃ」
「うん」

その後は二人で適切な量の雲をつばめに運んでもらった。
環助も慎重に、作業を続けた。

二人が運び込んだ雲がなくなり、つばめが雲を運ばなくなった。
そうして、梅雨が明けた。

強くなってきた日差しを見上げて、鳴上はつぶやいた。
「次は、雷じゃな」

鳴上の足元から、雲が湧き出していた。


下記お題に参加させていただきました。
「お題④イラストから空想した世界」を書かせて頂きました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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