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山口敬之氏著「総理」をいまさらながら読んでみた。2


この本について書かれていることは、目次にある通り、安倍晋三氏の一度目の首相辞任~再出馬~第二次安倍政権樹立(当時のアベノミクスと外交について少々)といったことだけなので、TBSというメディアに属し給料を貰いながら、自民党政権に〝加担〟するメッセンジャー、フィクサーといった役回りを行っていたことを明かしている割には、山口氏の〝これぞ番記者たる真骨頂〟的な、メディアとしての「取材対象に肉薄する」といった内容が、ハッキリ言ってありません。

例えば、平和安全法制の憲法解釈で沸きに沸いていた当時、その辺について直に安倍首相にお聞きになるのはいいとして「~総理大臣になって何をなすかが重要なんです」なんて程度のものでは全く肉薄できていません。
新総裁論の項にしたって、ではなぜ安保法制か、なぜ原発再稼働か、といった安倍総理の方針〝必要な判断〟にしたって、具体的に説得力をもった取材説明は何もないんです。
2015年の総裁選の安倍氏圧勝も、その時々における内閣支持率の持ち直し?も、不人気法案にも果敢に取り組む姿勢に、有権者は総裁としての安倍の「本気度」を見ているのではないか、といった、単なる山口氏の主観を書いたところで、全く具体的かつ説得力のある説明にはなっていません。


ただ、山口氏のいう「取材対象に肉薄する」という意図は、別の意味で大いに発揮されています。
第1章で、当時官房長官の与謝野馨氏との接触についてのものがその典型です。

そこではワタクシみたいな素人目からは理解しえない、与謝野氏の出自、経歴、才能、そしてバイタリティ溢れる、まさに政治家の中の政治家たるウンチクが語られ、そして山口氏が、そんな与謝野氏といかに知り合い、深い関係を築いていったかが書かれています。
要するに素晴らしい与謝野氏と面識のある山口氏も同じく素晴らしい、といった感じで書くために、それまでに築いた関係性を基に「取材対象に肉薄する」ということをしています。

それは同様の手法として、もちろん安倍氏に対しても、麻生氏に対しても、菅氏に対しても行われています。

……ホント素晴らしいです(~_~)。

繰り返しますが、だから、この本は安倍元総理のヨイショ本ではありません。

そういう意味で、Amasonの五つ星レビューも、皆、著者である山口氏を絶賛しています。


さて、ここまで読んでいただいてお分かりのように、根が邪悪(笑)なワタクシが、さらにこの本で取り上げられている様々な逸話についての所感を述べますと。

まず麻生氏が当時力を入れていたというイスラエル・パレスチナ双方の農業団地。
→例の2023年紛争ぼっ発から2025年時でパレスチナの農業用地がほぼ壊滅、さらにインフラ整備もおぼつかないと。

ODAのサイトもその辺に関する、特に現在の現状記載が未だ見当たらず、やはり麻生氏、葉巻を燻らせている場合ではない。


被災地支援は別に悪くはないです。立派です。
そこで知り合った被災難民である女の子との交流にしても、それはそれでいいと思います(まあ、そういったシュチュエーションは別に安倍氏でなくとも政治家であれば、皆、そうするでしょう)。

こういった、様々な逸話における安倍さんや麻生さん、そして菅さんにしても、自民党内における〝お人柄〟として「取材対象に肉薄する」のであれば、それはそれで貴重な取材記録ではあります。
でもそれがそのまま、自民党内から抜け出てひとたび組閣するとなれば、話はまた違ってくるのです。
要は党内政治(内輪ノリ)と一国の政治は、まるで別物。

例えが悪くて恐縮ですが、盗人も、家に帰れば良き夫、良き父であったりする(そんな事件があったような)。少なくとも人間は、相対する人によってまた印象は変わります。

だから再び総理となった安倍さんは、山口氏との関係を問われ「番記者だったので取材を受けたことはあるが、それ以上でも以下でもない」と宣うのです。

【続く】





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