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山口敬之氏著「総理」をいまさらながら読んでみた。1

ワタクシ、ブラックボックスダイアリーズを鑑賞後にあらためて山口敬之氏に興味を持ち、彼の代表作となる「総理」を読んでみました。

個人的にはこの本が出版された当時、なんといっても表紙がいろいろとセンセーショナルだったこともあり、もちろん存在は知っていました。

時系列的にはこの本が出版される前に伊藤詩織氏との事件があり、またTBSを辞められ、そしてこの本の出版後に伊藤氏との事件が明るみになったという背景を、最低限、抑えておくとよいのかな、と。

世間の、特に伊藤氏との事件の絡みでよく言われていることの一つに〝安倍元総理のヨイショ本〟といった評価があります。
で、自分がこの本を、このタイミングで読もうと思ったきっかけが、やはり読まずに気安く〝ヨイショ本〟と言いたくはなかったのと同時に、彼のジャーナリストとしての矜持といったもの(まあ、人となり、といったものですかね)がちゃんと知れるだろう、と思ったことにあります。

結論からいうなら、この本は安倍元総理のヨイショ本ではありません。

その結論にたどり着く大きな〝カギ〟となるものがもちろん随所にあるのですが、そのカギとなるものに既にたどり着いている人はそこそこいるだろうと思い、それが見て取れると思われるAmazonのレビューを、一通り見てみました。

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/4344029607/ref=acr_dp_hist_5?ie=UTF8&filterByStar=five_star&reviewerType=all_reviews#reviews-filter-bar


案の定、その〝カギ〟となるものに注目した上で、そのことに触れられたレビューが7つありました。※2026.2.1時点

(前略)あるメモがテレビ画面に映し出されました。
そのメモは、麻生氏の手書きのメモで(達筆でした)、安倍氏に渡されたと思われるものです。しかも内容は、麻生氏の頭の中がわかってしまうという極秘の内容でした。肝心の半分は黒塗りされていましたが、それでも十分、重要かつ極秘であることが伝わる内容でした。なぜ、このようなメモを、TBSが入手することができるのか!?(後略)
※★5つ

(前略)本作の場面は安倍総理の私邸や外遊先のホテルの一室など様々で、著者が単なる政治記者を超えて安倍総理と麻生元総理の仲介役を引き受ける場面もあります。
政治記者というものはここまで政治家に肉薄できるものなのかという驚きから、ページを捲る手が止まりませんでした。(後略)
※★5つ


(前略)著者は安部総理と麻生氏のメッセンジャーとして動き、安部総理の個人的な東北被災地支援に同行し、故・中川氏の戒名を、託されるるほどの人でした。(後略)
※★5つ

(前略)圧巻は、2014年の消費増税見送り・衆議院解散の判断を巡って、メルボルンで交わされた安倍と麻生の激突。
両者は同じホテルの1階違いに宿泊しながら、互いに言葉をかわさず、この山口を仲介者として意思を伝達し、帰国後の解散記者会見に向けた準備を固めたのだ。(後略)
※★5つ

(前略)本書では、山口氏が安部氏の滞在しているホテルに直接呼ばれて1対1で話をしたり、麻生氏とのコミュニケーションの仲介を頼まれる場面が紹介されており、一介の記者がここまで内閣総理大臣という立場の人間と近しいことがあり得るのかと思うかもしれませんが、実際世の中はそうやって回っているのだと思います。(後略)
※★4つ

(前略)やっていることは政治家同士の間を繋いだり、伝言をつないで政治家間の絆を強めたりコミュニケーションを円滑にしたり…といったフィクサー的立ち回りに終止している。(中略)
それほど山口氏が安倍周辺で果たしている『役割』は大きい。そして、それはジャーナリストとしての働きではなく、フィクサーとしてのそれである。『観察者』ではなく、はっきりと『行為者』になっている。(後略)
※★2つ

(前略)読み進めると著者は時に政治家のアドバイザーになり、時にメッセンジャーボーイとなっていることが分かる。印象として著者は、それらを喜々として書いている。(後略)
※★1つ


では、ワタクシがその〝カギ〟となる箇所について、「総理」本書から、特に代表的なものについて触れます。


私(山口氏)と麻生が折に触れて情報交換しているのを安倍は知っている。自分がいかに麻生に感謝しているかを、私からも麻生に伝えて欲しいと思ったのかもしれない。
P36

(麻生氏が、当時の内閣改造の麻生氏なりの人事案を書き記したメモを山口氏に託して)「人事というのは、絶対不可侵の総理の専権事項だ。これは俺なりの案だが、安倍さんの選択肢をせばめたくはない。だからお前に託すんだ。(中略)安倍さんのところに持っていけ。」
P39

といった経験を踏まえて

安倍の感謝といい、麻生の直筆の人事案といい、記者として政治家と向き合っているとこういう局面に遭遇することはままある。外部からの観察者という立場を超えて、図らずもメッセンジャーとなったり、政局の触媒となったりする。記者の範疇を超えているとして、こうした役回りを担うことを批判する向きもあるだろう。しかし、永田町の最前線に踏み込んだ人間にとっては、政局において一切の役回りを果たさず完全に超然としているのは、事実上不可能である。
P40

※他にもこういった〝カギ〟となる箇所について、P110~116(菅義偉氏と山口氏のやりとり)、P154~162等があります。関心のある方は、ぜひご一読を。

ここまで取り上げてみればもうお解りのように、山口氏はTBSというメディアに属し給料を貰いながら、自民党政権(特に麻生、安倍、菅)に寄与する(上記のレビューにも書かれているように)メッセンジャー、フィクサーといった役回りを〝番記者〟という名のもとに常態的に担っていた、ということになります。

特に後半の文章(P40)は、この本の記者・ジャーナリズムの姿勢たる〝取材対象の距離感〟について述べたのでしょうが、それはハッキリ言って単なる言い訳です。
繰り返しますが、山口氏はTBSというメディアに属し給料を貰いながら、自民党政権に〝加担〟するメッセンジャー、フィクサーといった役回りを〝番記者〟という名のもとに常態的に行っていたのです、彼の主張を基にすれば。
※ちなみにTBSは、取材の政治的中立における倫理規定のようなもので山口氏に問わなかったのか?辞めた後の出版とはいえ、こんなに大っぴらに書いた山口氏を問題にしなかったのか?

いざ伊藤詩織氏の性被害告発で問題となれば、安倍元首相が山口氏との関係を問われ「番記者だったので取材を受けたことはあるが、それ以上でも以下でもない」と宣うのは当然と思われます。
(「アベ友」トンデモ列伝、より)

そこに印象とか感想といった、人それぞれの主観の入る余地はないです。
100歩譲って、仮にこの〝言い訳〟を呑むことで「政治記者は権力内部の、さらに中枢を目指すのである。」というのであれば……。

残念ながら、この本の出版は2016年6月。
安倍元総理という人を語るにおいて、それ以後については結果、全く語られていないので、とても片手落ち、といった感は否めないでしょう。

山口敬之氏はそれ以降、TBSを退社したため、番記者として自民党にかかわることはなくなりましたが(自民党からはお金を貰えない?ので当たり前です)。
もし、それ以降も山口氏が番記者としてかかわり続けたとしたら、福島のアンダーコントロール発言(つまりはウソ)に対して、どういった見解を示したのか?
「裏金」(いうまでもなく安倍派が一番悪質)についてはいつか報道する見込みはあったのか?
森友問題一連について、誰よりも深く切り込むことは出来たのか?
プーチンさんやトランプさんとの微妙な外交については、どんな塩梅で?
統一教会との関係についての見解は……まあ、これは、山口氏の「安倍晋三銃撃事件の複数犯説」の連載が「世界日報」でも取り上げられるような間柄である以上、この指摘に関しては山口氏は、きっとピンとはこないんでしょうね。

【続く】





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