Photo by
humble_dahlia809
<ショートショート> この地球では、諦めることにも申請がいる
この地球では、諦めることにも申請がいる。
夢を諦める。
仕事を辞める。
研究を打ち切る。
すべて、中央管理局への申請が必要だ。
昔、人々はすぐに諦めすぎた。
才能のある研究者が途中で投げ出し、有望な事業が途中で消え、社会は大きな損失を出した。
そこで制度が作られた。
諦める許可制度。
申請書には理由を書く。
審査官がそれを読み、許可か却下を決める。
ある日、男が申請を出した。
夢を諦めたい。
何年挑戦しても、うまくいかなかったからだ。
数日後、通知が届いた。
結果は。
却下。
理由。
「あなたには、まだ可能性があります」
男は苦笑した。
それから、もう一度だけ挑戦してみることにした。
ただし。
中央管理局の倉庫には、誰にも公開されていない書類がある。
そこには、こう書かれていた。
《人類滅亡についての諦め申請》
申請者:空欄(自動入力不可)
審査官:SYSTEM 審査結果:却下。
理由:「あなたには、まだ可能性があります」
あきらめについてのエッセイは こちらです。
