見出し画像

<ショートショート> この地球では、諦めることにも申請がいる  

この地球では、諦めることにも申請がいる。 

夢を諦める。

仕事を辞める。

研究を打ち切る。

すべて、中央管理局への申請が必要だ。

昔、人々はすぐに諦めすぎた。

才能のある研究者が途中で投げ出し、有望な事業が途中で消え、社会は大きな損失を出した。

そこで制度が作られた。

諦める許可制度。

申請書には理由を書く。

審査官がそれを読み、許可か却下を決める。

ある日、男が申請を出した。

夢を諦めたい。  

何年挑戦しても、うまくいかなかったからだ。

数日後、通知が届いた。

結果は。  

却下。  

理由。  

「あなたには、まだ可能性があります」

男は苦笑した。  

それから、もう一度だけ挑戦してみることにした。

ただし。  

中央管理局の倉庫には、誰にも公開されていない書類がある。

そこには、こう書かれていた。

《人類滅亡についての諦め申請》  

申請者:空欄(自動入力不可)

審査官:SYSTEM  審査結果:却下。  

理由:「あなたには、まだ可能性があります」


あきらめについてのエッセイは こちらです。

いいなと思ったら応援しよう!