Photo by
kajino
心が軽くなる、あの日の「以上でございます」
「お前じゃ話にならんから上司代われ」ヘッドセットから漏れて聞こえてくるような怒鳴りかたで、何を言われているか容易に想像がついた。
「上司に代わっても、お伝えする内容は同じでございます」
その中でも一番前の席に座っている男性がふんぞり返って対応している。
見た目は金髪、腕にはタトゥーが少し入って、ジャラジャラのネックレスがついた男性スタッフが、その部門の責任者っぽい。
たまたま別部署に研修にきていた時のことだ。
当時、自分も責任者という立場だったが、激怒クレームを真に受けてしまうタイプだった。
心の底から謝り倒していた自分は、ある秘技を編み出した。
音量を極限まで小さくして、相手を「こびと」が喋っているように見なすことで、なんとか乗り越えていたのだ。
そんな時、あの金髪の責任者の対応を目の当たりにした。
「上司に代わりましても、お伝えする内容は同じでございます」また言っている。
さすがだ!
まったくこの客なに言っちゃってんの?
とでも言いたげな涼しい顔で対応している。
仕事で感情を無にできる人って最強なんじゃ?
未だに思う時がある。
「お客様、こちらの対応は以上でございます」 あ!切ってる!
感情を無にするのは難しいけれど、あの潔さを思い出すたびに、少しだけ心が軽くなるのだ。
