「フルトンVS.フィゲロア2」の結果と感想
WBC世界フェザー級王座を獲得し復活の狼煙を上げたスティーブン・フルトンは、フェザー級転向2戦目で早くもベルトを手にした。
フェザー級初戦は危うさを見せる内容で、フェザーでは厳しいと感じるような戦いになっていたが、今回のタイトルマッチでは技巧派の強みを活かしたフルトンが闘牛のようなフィゲロアを制して見事タイトルの獲得に成功している。
フルトンは持ち前の技術力を活かしてフィゲロアのインファイトに対処しながらコツコツとポイントを稼いでいった。
階級を変えても技術力が下がることはないので、その部分ではフルトンの強みは失われず活きることになったが、王座を獲得に成功してもまだ彼に対する疑問は残っているようだ。
相性とデータ

フェザー級のパワーと耐久力にフィットしていくことが出来るのかどうか、肉体的な強度の変化によって活かすことが出来る技術幅が狭くならないか。
フェザー級初戦の内容から様々な疑問が向けられ不安視されていたフルトンだったが、今回のタイトルマッチを制することが出来た。
その理由の一つとして「相性とデータ」があるのではないかと思われる。
フィゲロアと一度対戦し攻略しているフルトンは彼に対するデータをすでに把握している上に、フィゲロアのファイトスタイルはフルトンにとってはさほど難しいものではなく、むしろ相性が良いものになっていたのではないだろうか。
ただフェザー級でも階級の壁に押し負けることなく同じように勝利の方程式をなぞることが出来たフルトンの実力は評価されるべきポイントになるだろうし、実際に今回の試合を観てフェザー級のフルトンを評価している人もいる。
ここでフィゲロアに敗れてフルトンが王座の獲得に失敗していたら「フェザー級には通用しない」という烙印を押されていたと思うので、そういう意味ではフェザー級にも通用することを今回のタイトルマッチで証明することが出来たとも言えるだろう。
しかし、勝ち方や攻略法をある程度把握しファイトスタイルに対する難易度もそこまで高くなかったことを考慮すると、フェザー級王者の実力証明に値する試練にはなっていなかったのかもしれない。
勝つための要素を活かし切り、しっかりと目標にまで辿り着くことが出来るだけの技術力は確かに凄いが、フェザー級でも問題なく通用すると感じられるほどの強さを見せることが出来ていた訳でもなかったのではないかと思う。
「相性とデータ」を活かすことが出来たために勝利とベルトを手にすることは出来たが、実力評価には疑問符が付く結果となった、そんなタイトルマッチになっていたように感じる。
また今回のタイトルマッチがそうなった原因の一つにブランドン・フィゲロアのパフォーマンスが挙げられるのではないかと思う。
強度と修正が求められるブランドン・フィゲロア

王座獲得に成功したフルトンに微妙なリアクションが一定数向けられることになってしまった原因はフルトンのパフォーマンスだけでなく、対戦相手のフィゲロアにも問題があったことを示している。
スーパーバンタム級時代に及ばなかったフルトンを相手に同じような戦法で臨むのであれば、パワーやフィジカルといった体格で優れる利点を活かしながらアドバンテージを取っていく必要があったと思われるが、フィゲロアがそれだけのパフォーマンスを発揮できていたとは思えない。
もしくはファイトスタイルに工夫を凝らして、前回の戦いを参考にしても対応できない幅の広さを準備しておく必要があったのではないかと思う。
しかし、そういった要素もほとんど見られなかった。
そうなると初戦の時と同様に技術でリードするフルトンがフィゲロアを上手く捌いていく試合となり、展開に広がりのない戦いとなっていってしまう。
フィゲロアが新たな要素やアクションでフルトンを追い詰めることが出来ていれば、フルトンも新たなカードを切っていく必要に迫られるため、展開に広がりが出来ていたかもしれないが、フィゲロアのパフォーマンスの強度が既存のカードで対応できてしまう程度ならば、フルトンはそれを徹底すれば目標を達成することが出来てしまうので、それ以上頑張る必要がなくなってしまう。
その結果、グーに対してひたすらパーを出していくのような単調で変化のない試合となってしまい、勝った方の強さが感じられる要素も少なく、また面白味にも欠ける試合内容となってしまったのではないかと感じている。
疑問視されたフィゲロアの調子

そんな試合内容だったこともあって、中にはフルトンの活躍よりもフィゲロアの不調に着目する声もあった。
もしかしたら実際にフィゲロアは自分らしさを出せないくらいに調子が悪かったのかもしれない。
フルトンもフィゲロアのスピードの無さを感じ取っていたと思われるコメントを残している。
しかし、そういったことが一切考慮されずそれを含めて実力と見なされてしまうのがプロ格闘技という険しい世界の中にある「厳しさの一つ」だと思うので、もしも本当にタイトルマッチにマックスを持ってくることが出来なかったのだとしたらフィゲロアは早急に何かしらの対策を打っていく必要があるだろう。
スポーツの世界には「どうしようもない相性」というものが存在していると感じるので、もしかしたらフィゲロアはスタイル的にフルトンを超えることが難しいタイプになっているのかもいしれない。
それでもフィゲロアは再びフルトンと戦うことを望んでいる。
今回王座を獲得したフルトンもスーパーバンタム級時代のようにフェザー級の王座を守れるとも限らないので、何処かでフルトンが陥落するようなことがあれば、3度目の戦いが実現する可能性もあるだろう。
井上尚弥が参戦する可能性のあるフェザー級は王者に動きが出る激戦区であり、井上はその中でもベルトを持っている存在と試合を行う可能性があるので、それを考えるとフェザー級での一戦は、これまで井上尚弥が行ってきた試合の中でもトップクラスの見応えを感じられる戦いとなるかもしれない。
井上尚弥VS.フルトン2があるのかどうかという点を含めて、フェザー級はより注目される階級へと変化していっていると感じている。
