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便利屋修行1年生 ⑬天使の護衛 連載恋愛小説

 ストーカー被害者の付き添いをすることになった。対象者は女子高生、キューティクルがまぶしい田代映美えいみ
「こっちのイケメンのがいい」
 沢口のこめかみがピクリとした。
「えーと、男の人だと目立つし、犯人を刺激するかもしれないので……」
 映美は綾の正気を疑うかのような目つきになる。
「え? なんでそんなテンションなんですか? めっちゃかっこいいですよね! 背え高いし」
 ヤバくないですか、と言われても。

「表向きはこちらの本上ひとりですが、念のため私も同行します」
 営業スマイルの沢口にさとされ、毎日会えるとご満悦の映美。
 どうしても確認したいことがあると、別人のような思い詰めた表情に。
「妻帯者ですか?」
 サイタイシャ……? ふたりしてほうけてしまった。
「俺ですか」
「そうです。オレです」
 妻子はいないと聞いて、ガッツポーズ。
「あ、ちなみに彼女いても気にしないんでー。あとわたし、来月で18。オトナ、です」
 世渡り上手だなあと感心してしまった。

「それにしても、パワフルな空元気でしたねえ」
 沢口が意外そうに眉を上げた。
「気が紛れるかもしれないんで、思いっきりやさしくしてあげてください。しかめっ面禁止で」
 しばらくすると、映美は綾になついた。
 沢口への興味はというと、観賞用なんで、と実にドライ。
 関心が持続しないのは、心がざわついて落ち着かないせいだろう。不安を押し殺す気持ちは痛いほどわかるから、綾は時間の許す限り彼女の話を聞くことにした。

「え……終了? 長期護衛って聞いてましたけど」
 所長はどこか歯切れが悪い。
「は、まさか。沢口さん、手を出し……」
 綾が疑いの目を向けると、雑に頭をはたかれた。田代映美の身は心配ないと説明される。
「じゃあ、ほかに問題があるんですね?」
 所長と沢口がつかのま顔を見合わせる。
 気の多いストーカーなのか、早くもターゲットが変わったらしい。
「よかったあ。強がってたけど、すごいおびえてたから。これで映美ちゃん、安眠できますね!」
 働きだして間もないバイトの分際で、綾は有給をとらされた。便利屋はもうからないとしょっちゅうこぼしているのに、所長の言動は矛盾している。

(つづく)

#恋愛小説が好き #私の作品紹介 #賑やかし帯



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