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あすみ小学校ビレッジ ⑳お菓子な送別会 連載恋愛小説

「え~、夏祭り2024を成功裏に終えることができた。みなの尽力に感謝する——と、村長がおおせです」
 オサムに振られたスミくんは、とりあえずシッポを振ってみせた。
「短いあいだでしたが、たいへんお世話になりました。またすぐ会える気がします。湿っぽくならず、きょうは楽しみましょう!」
 打ち上げは、龍次の送別会も兼ねていた。
「曲者たちをまとめ上げるのに骨を折った、いづみやさんに拍手~!」
「曲者ってりゅうちゃんのこと~?」
 善は大人顔負けの合いの手を入れたあと「骨折してないよね……?」と泉のもとへ駆け寄った。

 子どもも参加できるよう、日曜のお昼に商店街の定食屋さんでパーティー。龍次たっての願いで「おしゃべり天国ルミ」全面協力の「じゃんけん抽選会」を実施。
 景品は、瑠美厳選の「わくわく詰め合わせ福袋」。各種珍味・チョココイン・べっこう飴・ポン菓子・きび団子などなど。
 大人と子ども入り乱れての、血で血を洗うじゃんけんバトルがおこなわれた。優勝は善、準優勝は龍次。仲良く健闘をたたえあう。

 長女は、求められる役割をまっとうしがちだ。
 しっかりしていないと、病弱な次女にかかりっきりの両親は気づいてはくれない。
 洗濯や掃除、料理。小学校低学年から真似事はできるようになっていた。
 とくに好きでもなく、上手にこなせるわけでもなかった。ほんとうは友達と遊びたかったし、漫画が読みたかった。
 がんばればがんばるほど、ほめてもらえる。それだけがすべてだった。

 社会人になってからも、その感覚が抜けていないことに泉は気づかなかった。
「ものすんごく、肩凝ってない?」と龍次に言い当てられるまでは。
 その瞬間、心がほぐれた気がした。
 自分は何者なのかよくわからない。誇れるものがなにひとつない。
 今までだれにも言ったことがないのに、気がついたら龍次にもらしていた。
 彼は真顔のまま「てきぱき」「聞き上手」「調整力」「フットワーク」「察する力」とすらすら列挙した。
 鬱屈うっくつした気持ちをさっと打ち消してくれ、一緒にいると安らげる。そんなひとが目の前から消えたら、自分はどうなるのだろうか。

(つづく)

#恋愛小説が好き  #私の作品紹介 #賑やかし帯

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