そーだ、サイダーミュージアム行こう|掌編小説 シロクマ文芸部
1036字
夏休みの絵日記を書くためだと、久美は言いはる。
限られた水資源問題を考えるためだと、言い慣れないのか、亜美も噛みながら添える。
「こんなに暑いんで、ゴックンしませんか?」としばのんが直球ストレートを投げてきた。
「……しかたないなあ。最高気温38度予報の日に出かけるなんてどうかしてるけど、行きますか」
わあ、とも、うひょー、ともつかぬ歓声が上がり、私はやれやれと日傘を取り出した。
先日、リニューアルオープンしたサイダーミュージアムにおじゃますることになった。
すでに秋まで予約はいっぱいらしいが、久美の嗅覚によりスタートダッシュが早かったので、すべり込みに成功したのだ。
こんな日は、キンキンに冷房を入れた部屋でごろごろするに限る――それが「ぐうたらポリシー」のはずだけど、遊びとなれば話は別。
オセロをひっくり返したように、皆、活発になる。
常磐色と銀色のミラーボールに迎えられ、すでに久美のテンションは最高潮。
まずは、動画や展示でヒストリーのお勉強。
瓶とラベルの移り変わりかあ。
歴史好き、紙もの好きとしては興味深い展示だ。この渋いラベルをシートシールにしたら、局地的にヒットしそうな気がする。
製造ラインを見学し、昔の機械とのちがいに目を丸くした。
引き出しを開けてフレーバーを嗅ぎ、ドリンクを当てる。サイダーのはじける音と香りを体感させ、シュワシュワ欲を高める仕掛け。
芝生と青空デザインの「シュワシュワホール」でお待ちかねの試飲タイム。大小の丸い照明がぶら下がり、遊び心がニクイ。
「うお! この自販機、全部ゼロ円って書いてあるー。まさに魔法の自販機じゃい」
鼻にツーンとくるのがニガテな久美は、目を白黒させながら飲んでいる。食べ物に妥協を許さない、勇者のふるまいだ。
「梅ソーダで熱中症対策。さわやかー。サイダーWってトクホだって! 炭酸なのに中性脂肪や血糖値の上昇を抑えるって、どゆこと!?」
おなかの中から、たぽんたぽんと音がすると、亜美はウケている。
フォトスポットで撮った写真を見つめるしばのん。
私がのぞき込むと、ゴトリとスマホをテーブルに落とした。
「わわ。……中谷さんと炭酸に溶けてるなんて、夢のようです」
「そう?」
「ハイ! 家宝にします」
「それより、この手ぬぐい、かわいいよね? カルピスポチ袋も、使うのもったいないなあ」
ギフトショップで、グッズの多彩さにときめいた。
今年の夏、改めて学んだことがある――水玉模様は最強のデザインである、と。
(おわり)

シロクマ文芸部に参加いたします

準備中です(`・ω・´)ゞ
炭酸×いちごつみテーマでお送りします
お楽しみに🥤.。o○
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